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日本初の缶入り炭酸飲料となった「コカ・コーラ」(写真左 / 1955年)。/ たくみなキャッチコピーとマーケティング効果で、
「コカ・コーラ」は瞬く間に人気が拡大した(写真中 / 1962年)。/ 大型びん「ホームサイズ」が登場したのは1964年のこと(写真右)


 これまでは、社会の大きな変化に応じて取引先や消費者のニーズを深く理解することで成果をあげてきた。しかしそれは結局、ただ現状に甘んじずに、より迅速な対応が可能な地域の競争相手に後れを取ることを良しとしないという、企業としてのマインドセットを持つということでもあった。
 世の中の健康・ウェルネスを重視する傾向が強まる中、それを受けて「おいしい」にプラスアルファの価値を提供する製品開発も盛んになってきている。日本コカ・コーラでは、「からだすこやか茶」ブランドから特定保健用食品(トクホ)、「からだ巡茶」ブランドと「爽健美茶」ブランドからは機能性表示食品を発売するなど、既存のブランドのもと、お客様の目的に合わせて選べる製品の選択肢をよりいっそう充実させてきた。この取り組みは「コカ・コーラ」の製品開発にも採り入れられ、「コカ・コーラ」ブランド初のトクホ製品「コカ・コーラ プラス」が2017年に誕生した。日本市場専用に開発されたこの製品は、食後の血中中性脂肪の上昇を穏やかにする食物繊維「難消化性デキストリン」の配合が製品特性となっているが、その開発は簡単ではなかったという。130年以上にわたり守り、受け継がれてきた「コカ・コーラ」独自の味わいを損ねずに、トクホ製品としての機能を兼ね備えた製品づくりは困難を極めた。
「納得のいく製品に仕上げるために、100種類以上のフォーミュラを試し、開発プロセスには6年をかけました。優れたイノベーションは一朝一夕に成し得るものではなく、試行錯誤を重ねながら生み出されるものであることを改めて実感しました」

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コカ・コーラシステムは健康で安全、
おいしい製品をつくり続けることはもちろん、
容器や包装を含めたすべての面においてイノベーションを起こすことを重視している。
その姿勢は今後も変わらない


たとえ長い時間がかかっても開発を続ける原動力はどこにあるのか。 「日本のお客様は、ライフスタイル、あるいは日常生活のシーンに合わせて、飲料を選び分けて召し上がります。1日の中でも時間帯や場面によって一人のお客様がお飲みになる飲料の種類はさまざまです。製品イノベーションに挑戦し続けることなくして、このように幅広いお客様のニーズに私たちが応え、価値ある製品を提供し続けることはできないのです」
 米国、中国に続く3番目の市場規模を誇る日本で、今後も日本コカ・コーラが消費者に製品を訴求していくために必要なことは何か。
「日本コカ・コーラは定性的にも定量的にも徹底した市場調査に基づく製品開発を行ってきました。それは、優れた洞察力を養い、常にお客様が何を求めていらっしゃるのかを把握して、改善を重ね、新たな価値を地道に発掘する作業にほかなりません。
 今、ビジネスは、マス・マーケティングからマス・パーソナライゼーションへと急速に移行しています。地球上の何十億人もの人たちに対して、個人の嗜好に合うようにパーソナライズされた飲料やさわやかさを提供していきたいと思います。そのためにはサプライヤーや、取引先、ビジネスパートナーと協力して、皆様から期待される最高品質のおいしい製品をお届けできるよう努力を続けていかなくてはなりません」
 日本人の生活に寄り添うように、時代とともに洗練されてきた日本の清涼飲料のバリエーションは、グローバルネットワークの中で、さらなる深化をとげる可能性もある。
「コカ・コーラ社のDNAは本当に起業家精神に溢れています。コカ・コーラ社には、常に新しい取り組みにチャレンジしている仲間が世界中にいるのです。彼らとアイデアを交換し、協力し、学び合うことで、日本のイノベーションパイプラインのヒントを得ることができます。逆もまた然りで、日本の事例が海外のビジネスユニットでの製品開発の参考になることもあります。イノベーションは難しいことではありますが、同時に、ワクワクと心躍るものでもあります。これからもコカ・コーラシステムで力を合わせて、日本のお客様においしさだけでなく、喜びやワクワク感をお届けできるような斬新な提案や製品づくりに真摯に取り組んでいきます」

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カリル・ヨウンス/2014年より日本コカ・コーラ副社長、マーケティング本部エグゼクティブバイスプレジデント。国内外のマーケット事情に精通し、新規事業の起ち上げなども行う。

日本コカ・コーラの設立60周年に寄せて

全国清涼飲料工業会 甲斐喜代美さん

 清涼飲料業界の業界団体である私たちは、1955年より社団法人として活動をしてきました。その2年後に設立された日本コカ・コーラとは、ほぼ同じ時代を歩んできたことになります。
 この60年余りの間に、日本の清涼飲料の生産量は約60倍にまで増えました。その種類も豊富で、現在の国内の清涼飲料のアイテム数は約6,000にのぼり、毎年約1,000アイテムが新しいものに入れ替わっています。
 マーケットの成長には、業界各社が起こすイノベーションが欠かせませんでした。中でも日本コカ・コーラは、画期的なことを次々に行う業界のけん引役だったといえます。古くはびん販売機の導入や、缶製品でのプルトップの初採用。容器の軽量化や新しい自動販売機の開発にも積極的です。SNSと連動したサービスも一歩進んでいます。
 今、日本の大手飲料メーカーは海外に進出する傾向がありますが、グローバルのネットワークを持つ日本コカ・コーラはその逆で、海外からさまざまな情報を持ってきてくれます。他社と違う視点を持つ会社があることは、業界全体にとっても有益なこと。今後も清涼飲料業界を盛り上げてくれることを期待しています。


かい・きよみ/一般社団法人全国清涼飲料工業会 広報部 広報室長。飲料業界紙の編集記者を経て、2010年に全国清涼飲料工業会に入社。同会発行の季刊広報誌『清・飲・彩』の編集にも携わっている。