生物多様性と里地里山の暮らしcontentsheader


自然環境に働きかけ、恵みを享受してきた暮らしの循環が、生物多様性を作ってきた
-里地里山では、人間はどのように暮らしていたのでしょうか?
生物多様性を知る 2.自然環境への働きかけと恵みの享受-01

竹田: 里地里山を簡単にいうと、中心に農家があって、まわりに田んぼや畑があり、そのまた周辺に自然があるところです。私は子どものころ、茅葺き屋根の家に住み、薪でご飯を炊いて、ニワトリのタマゴを食べたりしていました。薪は里山から取ってきます。米を作る田んぼの水は山から引いてきます。タマゴは庭で飼っているニワトリから。茅葺き屋根は、葦という植物で屋根を作るものですが、その葦は山(茅場)で育てます。ここは毎年刈らないといい葦が取れないんです。このように里地里山では人間がすっぽり自然の中に入っているわけです。自然を汚すような環境負荷もありません。
生物多様性を知る 2.自然環境への働きかけと恵みの享受-02

宮林: 里地里山での暮らしは自給自足ができていて、自然に教わりながら多様なものを生産し、生活してきました。それゆえに里山での暮らしは感動も大きいんです。肉体や五感を総動員して自然と接し、「どうすれば作物がよくできるか」など工夫しながら暮らしてきています。それに一人では生きていけないから、コミュニティでの共同作業も多くなります。そしてみんな得意不得意があるので、自分なりの役割を果たして貢献します。大人も、子どもも、お年寄りも、みんな役割があり、働いて生きてきたのです。そうやって生きるのはたいへんですが、疲れを癒す仲間もいる。労働の後に一杯飲みながら笑っていれば疲れも飛んでいきます。収穫のときの喜びはひとしおです。そういう共生の暮らしの中で地域特有の里山文化が生まれ、子どもたち、孫たちに受け継がれていきます。

竹田: 里地里山では農作業、山仕事、畜産など全部やっているんですからね。農家のことを「百姓」と呼ぶことがありますが、本当に100のことをできる力、知恵が必要です。里地里山には、昔からある日本の暮らしと文化があります。そういう集落が失われることは、自分たちの文化をなくしていることでもあるんですね。

生物多様性を知る 2.自然環境への働きかけと恵みの享受-03

-里地里山では、人間はどのように暮らしていたのでしょうか?

竹田: 里山は人間が入らないと下草が生い茂り、うっそうとした森になります。ところが人間が薪や食べものを採りに入ることで、光が差し込み、空気が流れ、環境が良くなります。また里山における水の保水力も強まり、田んぼや井戸の水も潤っていきます。

宮林: 人間が食べる山菜は、実は弱い生きものなんですよ。普通に育てれば雑草に負けてしまう。ところが人間が山菜を採るときに、まわりの草も除くから、山菜がまた育つ。そして次に採りに来るときのために、新しい芽は残しておく。こうして人間が採り続けることで、山菜は絶えることなく生長できるんです。里山においては、人間が生きるために自然に働きかけることが、自然を活性化させ、生物多様性につながっていたんですね。

生物多様性を知る 2.自然環境への働きかけと恵みの享受-04


1.生物多様性と里地里山の暮らし
2.自然環境への働きかけと恵みの享受
3.自然を「レンタル」しているということ
4.子どもたちへのメッセージ