日本初!
自然環境音からヤンバルクイナ保護のために
必要な条件の抽出に成功
—飲料自販機を活用した「絶滅危惧種 ヤンバルクイナ生態調査」よりー
日本コカ・コーラ株式会社(以下:日本コカ・コーラ)、
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写真提供: NPO法人どうぶつたちの病院 沖縄 |
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ICレコーダー付自動販売機 *上部右の黒い丸型のマイクで鳴き声を集め上部にある赤いレコーダーに録音します。 |
本プロジェクトは、
沖縄社が提供した清涼飲料の自動販売機に、どうぶつたちの病院 沖縄がICレコーダー録音機注2を設置し、1日24時間・730日以上に渡りヤンバルクイナの鳴き声・時期・鳴き方などを録音しました。さらに、国立沖縄工業高等専門学校の協力を得て、同校の開発した技術により膨大な音データの中からヤンバルクイナの鳴き声を電子処理により抽出することに成功し、どうぶつたちの病院 沖縄が抽出された鳴き声データを調査・解析してまいりました。
その結果、やんばるの森の環境音には、虫の鳴き声、風や草のこすれる音などの自然音がほとんど入らない空白の周波数帯があり、ヤンバルクイナはその空白の周波数帯の中で極めて特徴的な波形の鳴き声を出すことが判明しました。
このことにより、ヤンバルクイナはお互いの姿が見えないやんばるの森の中で、鳴き声によるコミュニケーションを重要な手段とし、より遠方までコミュニケーションをとることが可能であり、そのことがやんばるという限定地域での生息を裏付けると推察されます。
また、2007年と2010年には環境省よりヤンバルクイナの交通事故の多発を受けて非常事態宣言が出されており、その後も防止策が検討されておりますが残念なことに平成24年1月1日から12月11日までで42件と過去最多のロードキルが確認されています。
どうぶつたちの病院 沖縄では今後、人工音がヤンバルクイナの生活に与える影響を研究し、この空白の周波数帯を含む周辺環境音と車両走行音などがヤンバルクイナの生活とどう関係するのかを解明すれば、多発傾向にあるロードキル防止などの対策に活用できる事と期待しています。
特に雨の日には、自動車の接近に気づきにくいと推測されることから、ヤンバルクイナのロードキル防止に向けた、より実効性の高い事前防止策の検討が可能になります。
このような、自然環境音からのヤンバルクイナ保護のために必要な条件抽出の成功は、日本初となります。
なお、ICレコーダー付自動販売機は、約1年の技術検証を経て、やんばる地域の一つである国頭村(くにがみそん)内に2ヶ所、大宜味村(おおぎみそん)内に1ヶ所の計3ヶ所に設置されています。
本プロジェクト実施にあたっては、鳥の研究を専門とする日本で唯一の研究機関である、「公益財団法人山階(やましな)鳥類研究所」より企画段階から、技術的アドバイスの提供を受けております。
■コカ・コーラと本プロジェクトについて
日本コカ・コーラと全国12のボトラー社で構成される日本の
やんばる地域は沖縄本島唯一の水源地域であり、本島のほとんどの水需要はこの水源域からまかなわれています。これまで沖縄社は地域の水資源を使用する清涼飲料メーカーとしての社会的責任を果たすべく、水源地域である森の健全さのバロメーターともいえるヤンバルクイナの生態把握を目的とした本調査プロジェクトをどうぶつたちの病院 沖縄と協働で実施してまいりました。
この調査は、飲料自販機を通じた環境保全(生物多様性保全)への取り組みにより、地域社会に貢献するものでもあります。
沖縄社では、2006年からやんばるの水源地域での植樹活動を行っており、その地域に生息するヤンバルクイナの保護支援を目的として、国頭村および関連する団体への支援も行なっています。
今後も地元の自治体・企業・教育機関・NPOと協力し、水源地域の保全活動を継続してまいります。
■「絶滅危惧種 ヤンバルクイナ」
ヤンバルクイナは、1981年に新種として発表され、世界中で沖縄本島北部の自然豊かな森の、やんばる(山原)地域にのみ生息する飛べない鳥です。1982年12月には国の天然記念物に指定されましたが、近年その個体数が減少しており、日本の鳥類の中でもっとも絶滅の危機が迫っている種の一つといえます。さらに、個体数が少ないことからその生態には不明な点が多く、その生息状況を正確かつ継続的に把握することが強く求められています。
注1:NPO法人どうぶつたちの病院 沖縄:環境省関連施設のヤンバルクイナ飼育・繁殖施設の運営管理を受託するNPO法人注2:録音データには電算処理を施し、ヤンバルクイナの鳴き声のみを記録しています。
コカ・コーラ 公式アカウント