「チャレンジする文化」の中から生まれたバイオディーゼルトラック

安藤 ボトラー社さんと協働で実践された事例として、「ルートトラックのハイブリッド化推進」や「廃食用油を使用したバイオディーゼルトラック」というものがあります。この辺のお話も具体的にお聞かせください。

中村 街中で、コカ・コーラ社の飲料を積んだトラックが走っているのを見かけるかと思います。私が入社した2008年くらいからでしょうか、そのトラックの中に、ハイブリッドのトラックが少しずつ導入されだしたんです。ただ当時は、ハイブリッドだからと言って、今のように何10%も燃料使用量が減らせたわけではなく、(トラックの)メーカーさんは更なる効率化に向け試行錯誤していました。そんなときです。メーカーさんと私たちトラック使用者とで手を携えて、まずは全国のボトラー各社と協働でトラックのハイブリッド化を図ってみましょうという話がまとまったんです。まず私の方でサポートプログラムをつくり、実際に各社でハイブリッドトラックを導入し、そして得られたデータを共有し、効果を検証してみることになったんです。

安藤 結果はどうでしたか?

中村 最初は全然ダメでしたね。燃費の効果が思うほど上がりませんでした。ひたすらみんなで試行錯誤していたのですが、あるとき利根コカ・コーラ社がある 実証実験のデータを出してくれたのです。それは、運転方法を工夫することで、軽油の使用量をメーカー側の期待値に近い値まで削減できたというデータでし た。その後徐々に燃費の良い車が発売されだしたこともあり、今では多くのハイブリッド車両が導入され、燃費の向上と配送時のCO2排出量削減に寄与してい ます。
 これがさらにバイオディーゼルのプロジェクトに発展します。環境モデル都市である帯広市では、地域にある未利用資源から燃料をつくって活 用するサスティナブルな街にしたいという構想があり、その実現に向け市と協働で開始したプロジェクトです。具体的には、市内の事業者が回収された天ぷら油 や廃食油から環境にやさしいバイオディーゼル燃料をつくり、それと軽油を混合した燃料を、北海道コカ・コーラ社の札幌と帯広をつなぐ大型の20tトレー ラー等で使用するものです。
 トレーラーの走る道東地域の峠は冬場マイナス30度近くにもなり、「軽油も凍る」と言われる地域でした。事業者とし ては、バイオディーゼルがこんな苛酷な環境でも問題なく使用できることを確認したく、また私たちが率先利用することで市が進める「バイオディーゼル燃料の 一般普及促進」、「低炭素社会の実現」を後押しできればということで開始しました。

安藤美冬のPeople in Coca-Cola
〜ハッピーを届ける社員スタッフの素顔〜
第1回 植物生物由来燃料で走るバイオディーゼルトラックの開発企画からヤンバルクイナの生態調査まで関わる日本コカ・コーラ社のリーサルウエポン(後編)

安藤 そうでしたか。これは、大手企業によってバイオディーゼルが本格導入された日本初のプロジェクトとのことですよね。このような前例のないことをやろうとすると、企画が潰されてしまうことが日本中で起きていると思うんですけど、なぜリスクを承知の上で、コカ・コーラさんは新しいチャレンジをしたのでしょう?

中村 コカ・コーラが「チャレンジすることは良いことだ」という文化を根っこに持っているからだと思います。あとは、「地元の期待に応えたい」というボトラー社の気持ちが強いからではないでしょうか。

安藤 企業文化もそうですが、私が特に面白いなと思うのは、コカ・コーラ社の業務内容の幅の広さです。コカ・コーラ社の製品に私たちは日々接していますけど、まさか社員の中に中村さんのように「バイオディーゼル」や「ヤンバルクイナの生態調査」(*2)にまで関わっている人がいるとは思わないですよね。これは、某大手就職サイトでもなかなか巡り会わない情報です(笑)。

中村 確かに(笑)。

*2)ヤンバルクイナの生態調査についての取り組みについて。 (URL:http://www.cocacola.co.jp/stories/poc3