潤いのある健康な土の上に美しい花が咲くように、
適切な水分補給が美人のベースをつくります。
暑い季節が本格的に到来した今こそ、美容と健康のための
水分補給について勉強しておきたいところ。
飲料メーカーとして、女性の美容と健康を考えるコカ・コーラ社が
泌尿器科とアンチエイジングが専門分野の平野敦之先生に、
ヘルシー美人をつくるための“水分補給のコツ”を聞きました。

文=平井莉生
写真=村上悦子


1. こまめな水分補給が、潤いのある体を保つ

Q. 1日に摂取するのに適切な水分量を教えてください。

それぞれの生活パターンや性別、年齢、体調によっても適切な水分摂取量というのは異なるものなのですが、体重1kgあたり30mlを目安にすると良いでしょう。50kgの人だと1500mlということになります。その数字を目安に、1日の活動量や気温に合わせて、水分を摂取する量を調整していくことが大切です。脱水症状を引き起こしてしまうと、喉が乾き、皮膚が乾燥してしまうだけでなく、酷くなると精神的な症状も引き起こしますし、各臓器の働きも落ちてしまいます。日常生活でも水分が不足すると様々な弊害があるのです。


Q. 摂取するのに良いタイミングはあるのでしょうか。

若いうちは、水分が少し足りなくなってくると、きちんと“喉が乾いた”と脳から水分を欲する指令が発信されるので、そのようなときに水分補給をすれば良いでしょう。ただ、“喉が乾いた”と思ったタイミングですぐに水分補給ができない可能性もあるので、運動前など水分を消費しそうなときにはあらかじめ補給しておく、という方法が有効です。人の体は、必要以上の水分が体に入ってくると心臓や腎臓の働きによって尿として体の外に排出するようにできています。だから、常に体内に多めに水分を保有しておく、ということができないのです。できるだけこまめに水分補給をすることが、体に一定の水分を保有するコツです。



2. 寝る前の水分補給をコントロールして、良質な睡眠時間を確保

Q. 寝る前に水分補給をすると、血液がさらさらになると聞いたことがあります。

実は、その説が世の中で言われるようになってから、夜中の頻尿で悩んで泌尿器科を訪れる患者が増えたのです。排尿に関して研究をしている機関で、“寝る直前にコップ2杯の水分補給をした人”と“水分補給を控えた人”の血液を検査する実験が行われましたが、その結果は“全く差がない”というものでした。「寝る前に水分補給をすると、血液がさらさらになる」という説に関する医学的な根拠は、世界の論文を探してもほぼ見当たりません。逆にその実験では、水分補給を多めにした人は睡眠の間に2度、3度と尿意を感じて目を覚まし、水分補給を控えた人はぐっすりと眠れたとの結果も出ています。医者の立場からすると、昼間の活動量が多い時間帯に水分補給をしっかりとして、寝る直前には控えて良質な睡眠時間を確保するのが、健康にも美容にも良い効果があると言えるでしょう。寝ている間には汗をかき水分を失っているので、目覚めてすぐの水分補給が、健康にも美容にも効果的です。


Q. 食事のときに効果的な水分補給の方法はありますか。

ダイエット中で食べる量を減らしたいのなら、食事の前に炭酸水を飲んでお腹を膨らませるということも有効だと思います。少し糖分の入ったものを選べばさらに空腹感を抑えることができます。ただ、食前にたくさん水分補給をしてしまうと、食べたものを消化するための消化液を薄め、消化を悪くしてしまうこともあるので補給する分量には注意が必要です。おすすめなのは、食事の後半や食後に適量の水分を補給すること。これで消化液を薄めずに消化を良くすることができるでしょう。



3. 飲み物の種類と摂取するタイミングを工夫して、賢く水分補給を

Q. アンチエイジングと水分補給の関係を教えてください。

アンチエイジングの観点から見ても、様々な説がありますが、過度の水分補給はあまりおすすめできません。必要以上の水分を摂取すると、尿や汗として体外に排出するときに、カルシウムや血圧を調節するカリウムなどの体に必要な電解質が失われてしまいます。また、アンチエイジングに効くと言われる飲み物の代表に、お茶とコーヒーがあります。お茶にはカテキン、コーヒーにはポリフェノール(クロロゲン酸など)が含まれますが、そのどちらも、ガン、心臓病、脳卒中などの生活習慣病の原因である活性酸素の活動を抑える“抗酸化物質”だからです。しかし同時に、お茶(特に煎茶などの緑茶類)にもコーヒーにもカフェインが多く含まれます。カフェインには利尿作用を高め、興奮させる効果があるので、飲み過ぎはよくありません。特に寝る前に飲むのは控えた方が良いでしょう。1種類の飲み物だけを過剰に摂取するのではなく、様々な飲み物をバランスよく組み合わせて水分補給をすることが大切です。


Q. むくみに効果的な水分補給の方法はあるのでしょうか。

適度な水分の補給とともに、タンパク質やミネラルの積極的な摂取を心がけましょう。むくみは体の中にあるタンパク質の不足が原因のひとつです。ダイエットでお肉を食べるのを控えてしまっていたり、塩分を極端に制限している方に多く見られる症状です。水分を血管のなかに一定に保つためには適度な塩分とタンパク質が必要なのですが、それが足りないと、いわゆるむくみとして体の表面に現れてしまうのです。食事で摂るのが難しければプロテインやマルチビタミンなどのサプリメントを摂取するのも良い方法です。また、部分的にむくみがある場合は、長時間同じ姿勢をとっているなどの原因で、体の中の動かしていない部分に水分が溜まっている可能性があります。その場合はマッサージやストレッチなどをして溜まった水分を流してあげるとよいでしょう。何事も、適切な量を摂ることが大切です。自分の体調やその日の気温などを見極めて、水分補給とうまく付き合っていってください。

Drinking Water for Beauty
「美しくなる」水分の摂取法

<プロフィール>
ひらの・あつゆき/東京国際クリニック副院長(泌尿器科部長)。専門は泌尿器科、抗加齢医学。和歌山県立医科大学卒業。和歌山県立医科大学 泌尿器科准(助)教授、米国ピッツバーグ大学留学(移植免疫の研究)、葉山ハートセンター、四谷メディカルキューブ、高輪メディカルクリニックなどを経て、2014年4月より現職。和歌山県立医科大学で非常勤講師を務める。