コカ・コーラ カンパニーCGO フランシスコ・クレスポ

 

7月25日、ザ コカ・コーラ カンパニー(米国本社)は2018年第2四半期決算を発表しました。決算発表の数値は、企業の短期的な業績と同時に、より長期的な戦略の進捗状況を示すものでもあります。

今回はザ コカ・コーラ カンパニーのCGO(Chief Growth Officer:最高成長責任者)を務めるフランシスコ・クレスポにインタビューを行い、同氏の現在の役割と、持続的成長を実現するための体制づくりを中心に話を聞きました。ぜひ、第2四半期決算ハイライトとあわせてお読みください。

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続々と成果を出し始めた成長戦略。ザ コカ・コーラ カンパニー 2018年第1四半期の業績ハイライト

文=スコット・リース

 

コカ・コーラ社の未来のカギを握る“成長のプロフェッショナル”

──「CGO(最高成長責任者)」という肩書はあまり聞きなれませんが、どのような役職なのでしょうか?

クレスポ 成長はザ コカ・コーラ カンパニーにとっての最優先事項であり、社員一人ひとりがその実現に向けて尽力しています。私たちが目指しているのは、単なる規模拡大ではなく、きちんと利益が伴った成長です。私が統括する成長部門は、各事業がそのような成長の道を切り拓くための手助けをしています。当社では、成長を志すことは一種の行動規範であると捉えています。つまり、そのような姿勢で事業に向き合い、強みを発揮することによってのみ、持続的な成長は実現すると考えているのです。

成長部門の役割は、成長の可能性がどこにあるかを見出し、それを最大限実現するための最もシンプルで、迅速かつ効率的なやり方を特定することです。戦略においては「取捨選択」がすべてですから、“これからできること”の可能性にワクワクするのと同じくらい、“やるべきでないこと”を定期的に洗い出すことも重視しています。

 

■飛躍への布石が打たれた1年

──ここ1年で、ザ コカ・コーラ カンパニーはどのように変わりましたか? CEO(最高経営責任者)のジェームズ・クインシーをはじめ、ご自身を含めた経営陣の多くが、着任して比較的日が浅いですが。

クレスポ 企業文化と運営の両面で、全社的に多くの変化がありました。成長部門自体も、クインシーの主導のもと、かつてないほどのスピードで新設された部署です。また、社内外から抜擢された優秀な人材が、多くの事業部門のトップに新たに着任しています。

社内の意思決定プロセスやさまざまなオペレーションの合理化も進んでいます。事業部門のガバナンス体制や指針をより明確にすると同時に、レポーティング業務を単純化・自動化させ、成長分野への理解を深めることに注力できるよう、事業企画のプロセスを進化させているんです。当社の機動力を高め、大きなリスクを取ることを可能にし、人材開発を継続するために、これ以外にも多くの改善がなされています。

さらに、学びと変革のサイクルを加速させるために、失敗に対する許容度を上げつつ、実験的な取り組みを増やしています。2018年第1四半期には、実験的取り組みの数は前期から30%以上増加しました。 それから、収益に貢献していない製品、パッケージ、プロセス、アイデアを“ゾンビ”と呼び、積極的な“ゾンビ狩り”に努めています。

 

■炭酸飲料部門には大きな成長の余地がある

──ザ コカ・コーラ カンパニーの主要事業の一つである炭酸飲料部門は、今後も成長が期待できるのでしょうか?

クレスポ そのことに疑いの余地はありません。炭酸飲料が当社の中核製品だからそう言っているわけではなく、莫大な成長余地の存在が、計算によって導き出されているからです。それ以上に、世界中の人々が炭酸飲料を愛しているということを私たちは知っています。実際、投資とイノベーションを加速させた結果、第2四半期には炭酸飲料部門の世界的な小売売上高が5%伸長しました。

当社は130年を超える歴史を誇り、世界中で二つを除くすべての国と地域で事業を展開しているにも関わらず、「コカ・コーラ」を飲んでいる消費者は世界で13億人にとどまるのが現状です。米国やメキシコといった当社にとって最大級の市場を含め、「コカ・コーラ」を飲める環境にいながら届けられていない潜在的な消費者は、何億人にも上るのです。これは「コカ・コーラ」ブランドだけを考えた数字ですから、「スプライト」「ファンタ」「シュウェップス」といった当社の他のブランドが同じく潜在的な消費者を抱えている可能性も想像してみてください。

他の飲料カテゴリと同様、炭酸飲料部門は今後数十年にわたって成長を続けていくと、私たちは確信しています。

──「成長は行動規範である」という考え方について、もう少し詳しく説明してもらえますか?

クレスポ その行動規範に沿うためには、成長機会を見出そうとする姿勢と、その機会がもたらす価値を自社に還元しようとする姿勢が必要です。世界の人口を75億人として、1日8回くらいはのどが渇くと考えると、ユニットケース(*流通用のコンテナ)換算で約25億ケース分が毎日消費されている計算になります。コカ・コーラ社が販売する製品は、そのうちのわずか3%ほどに過ぎません。私たちは常々、「130年以上の歴史があるコカ・コーラ社も、消費者が1日に飲む飲料のうち、最初の一口分程度しか提供できていない」と話しています。しかし、これは裏を返せば、そこには多大なる成長の余地があるということです。

当社にとって、成長とは私たちの強みと能力に裏付けられた行動規範であると考えています。たとえば、その規範の下で、私たちは“エッジ”と呼ぶものの定義と構築に取り組んでいます。“エッジ”とは、各ブランドと消費者にとって重要な意味を持つ、他社とは差別化された独自の価値のことを指します。

当社の成長部門は、ここに挙げた行動規範を推進する役割を果たしています。私たちはもはや縦割りの組織ではなく、統合されたチームとして規律ある成長に取り組んでいるのです。消費者、顧客、営業チーム、デジタルなエコシステムといった視点をすべて包含した成長を実現するために、“エッジ”に基づいた戦略を推進しているといえるでしょう。

 

■さまざまな側面でイノベーションを起こしていく

──イノベーションとは、主に新しい製品を発売することを指すのでしょうか?

クレスポ 私たちが考えるイノベーションとは、単に新製品を開発することだけではありません。たとえば、新たな原材料の調達もその一部です。現在最も成功しているイノベーションの分野にはパッケージがあり、新たな飲用シーンや価格帯に合わせて、パッケージのバリエーションを拡充することに注力しています。

また、イノベーションは製品やパッケージにとどまらず、あらゆる接点において消費者とステークホルダーの皆さんに喜びと価値を届けることをも意味します。それによって、私たちの競争優位性も高まります。たとえばコカ・コーラ フリースタイルという新型のファウンテンディスペンサー(*濃縮シロップを飲料水や炭酸水で希釈し、その場でドリンクを製造するマシン)は、お客様にもっと喜んでいただくために開発された当社独自のシステムであると同時に、新しいビジネスも創出しているのです。

私たちはすべてのイノベーションを、「コカ・コーラ社にとって新しいか」「世界にとって新しいか」という二つの視点から見ています。たとえば南米発の大豆飲料「AdeS」は、欧州に「AdeZ」として展開されましたが、これは限定された地域で販売されていた既存のブランドを新しい市場に導入するという、比較的成果を出しやすいタイプのイノベーションといえるでしょう。一方、「コカ・コーラ フリースタイル」はコカ・コーラ社としても、世界にとっても、まさに革新的なソリューションです。こうしたイノベーションを通じて業界を変革させるべく、当社の研究開発部門は熱心に努力を続けているのです。

真のイノベーションとは、他社が真似できない形で、お客様に明確な価値を届けることです。そして、それは多面的な進化を促し、当社の競争力を高め続けてくれます。

──成功を測る指標は何でしょうか?

クレスポ とてもシンプルです。顧客基盤を拡大し、清涼飲料市場における金額ベースのシェア拡大を実現すること。当社の“エッジ”と競争力を反映した価格設定ができること。比類なき“エッジ”を備えたブランドを構築すること。しかし、最も重要なのは、事業のあらゆる分野において世界トップクラスの人材を確保することです。それができれば、彼・彼女らが当社の次なる成長の姿を描いてくれることでしょう。