文=マッケンジー・ランスフォード


■ 今、視線が集まる「アップサイクル」アート

今から100年前のこと。「コカ・コーラ」の人気が高まるにつれて次から次へとあらわれる模倣品に、コカ・コーラ社は悩まされていました。そして、その模造品対策として、他社が真似できないような独自のボトルのデザインが考え出されました。1915年、インディアナ州のルート・グラス社が発表したこのデザインは、「暗闇で手にとってもそれとわかる」と評価され、以来長く親しまれる「コカ・コーラ」ボトルの原型となりました。

そして100年後の現在、唯一無二の存在となった「コカ・コーラ」ボトルは、シアトル在住のアーティストの手で光り輝く作品に生まれ変わっています。

「コカ・コーラ」ボトルをシャンデリアに変える
「アップサイクル」アートの魅力
Let There Be Light: Upcycled Chandeliers Give Coke Bottles New Life
コカ・コーラ」ボトルの曲線構造がシャンデリアの形づくりを助けています

ラス・モルガンは、廃棄物となった割れガラス、瓶、コップなどを活用する「アップサイクル」と呼ばれる方法で、シャンデリアを制作しているアーティストです。中でも「コカ・コーラ」ボトルは、彼が「ポップアート」と呼ぶノスタルジックな照明をつくるためのお気に入りの材料になっています。

56歳のモルガンは熟練した陶芸家ですが、彼が初めて「アップサイクル」アートとして制作したのは、自宅近くの海岸に流れ着いた流木などを素材にした楽器でした。「拾った流木の先にガラスや陶器の破片、錆びた釘なんかを取り付けて、民族調の打楽器をつくっていました。風変わりなものだから、なんとなくこっそりやっていましたけど」とモルガンは言います。

そのうち、アメリカ北西部の現代アートのコレクターである友人が、この楽器に目をつけました。「楽器を彼女の家に飾ってみると、現代アート作品との相性もばっちりでした。モノになるかもしれないと思ったのはその時です」。


■ ガラクタが1200ドルの「作品」に

モルガンは以前、生計を立てるために住宅塗装の仕事をしていましたが、今では「アップサイクル」作品だけで十分な収入が得られるようになりました。アーティストとして成功する転機となったのは、近所の人の家でガラクタを漁っていた時です。

大規模な改修を控えたその家では、アール・デコ調のシャンデリアの骨組みがむき出しになっていました。モルガンは一目でそこに眠るアートの可能性を見抜きました。「これに浜辺で拾ったガラスをつないでみよう、とひらめいたんです」と彼は言います。

モルガンは2ヵ月かけて、その骨組みにワイヤーで滑らかなシーグラスを結びつけ、シャンデリアを完成させました。ガラクタとゴミにすぎなかった素材は、こうして高額で売れる宝物へと姿を変えたのです。

モルガンが「コカ・コーラ」ボトルから制作するシャンデリアには、最高で1200ドルの値がついています。これほど高値なのにも関わらず、つくるのもシーグラスを使うよりずっと簡単です。「コカ・コーラ」ボトルの曲線構造のおかげで、骨組みにワイヤーを使ってガラスを留めていく作業がかなり楽になるのです(他の形状のボトルでは滑り落ちてしまうことが多いのだとか)。

「コカ・コーラ」ボトルをシャンデリアに変える
「アップサイクル」アートの魅力
Let There Be Light: Upcycled Chandeliers Give Coke Bottles New Life
コカ・コーラ」ボトルの醸し出す懐かしい雰囲気が、シャンデリアの人気の秘密だとモルガンは考えています