6月4日、「い・ろ・は・す」ブランドから初となる、お茶フレーバーの「い・ろ・は・す ライチティー」が発売されました。“水”のブランドから“お茶”フレーバーが出たという驚きが冷めやらぬ中、本日25日にはなんと、「爽健美茶」ブランドから、新しいタイプの清涼飲料水として「爽健美水」が発売されます。今度は“お茶”のブランドから“水”が出るというサプライズ連続の背景には、いったい、どんなマーケティング戦略があるのでしょうか?
そこで本記事では、両ブランドの担当者のインタビューを実施。マーケティング本部 ウォーターグループ マネジャーの銭高明と、同じくマーケティング本部 爽健美茶TMグループ マネジャーの元木麻由に話を聞きました。

文=小山田裕哉
写真=村上悦子

 

■トレンドの「デトックスウォーター」から着想を得た

──まずは、発売されたばかりの「爽健美水」についてうかがいます。なぜ、“お茶”のブランドから“水”を出すことになったのでしょう?

元木 「爽健美水」の着想のもとになったのは、「デトックスウォーター」です。お水にカットした果物やハーブ・野菜などの植物素材を入れた飲料で、ここ数年、感度が高い方たちの間でブームになっています。もともと「爽健美茶」は“爽やかに、健やかに、美しく”をコンセプトに、植物素材をブレンドしてつくったブレンド茶として誕生しました。「爽健美水」は「これらの植物素材をお茶としてではなく、水に溶け込ませたらどうなるのだろう?」と考えたところから開発が始まっています。

[コカ・コーラ社の製品開発 サプライズ!?篇]「爽健美水」「い・ろ・は・す ライチティー」の担当者に聞く お茶ブランドが水、水ブランドがお茶を出す理由とは?

マーケティング本部 爽健美茶TMグループ マネジャー 元木麻由

 

──「爽健美茶」ブランドからは昨年、「健康素材の麦茶」も発売されています。これまでは期間限定フレーバーの発売はあったものの、ブレンド茶である「爽健美茶」一筋でやってきたブランドが、なぜ、ここに来て一気にラインナップを拡大することに?

元木 発売から20年以上にわたり親しんでいただいている「爽健美茶」の価値を、より多くのお客様に、今までにない形で楽しんでいただきたいという思いから、「爽健美水」「健康素材の麦茶」も生まれました。従来の概念にとらわれずに、植物素材の恵みによって、ブランド名のもとにもなっている“爽やかに、健やかに、美しく”という価値を新しい形でご提案していくことを目指しています。

──別カテゴリーにブランドを拡張していくためには、いかに“らしさ”を保つかが重要です。元木さんは「爽健美茶」ブランドの“らしさ”をどのように定義していますか?

元木 やはり第一には、“爽やかに、健やかに、美しく”というコンセプトです。使用する植物素材にこだわり、ヘルシーなライフスタイルを提供していきたいと考えています。また、「爽健美茶」も「爽健美水」も、アレルギー特定原材料の27品目を使っておらず、カフェインも入っていません。消費者がストレスなく飲めることを重視しているんです。これは緑茶や烏龍茶とは異なる価値であり、ブランドとしてこだわり続けているポイントですね。

もう一つは、“ブレンド”という観点です。「爽健美水」は試作の段階で、100以上のブレンドを試しています。その結果、ハトムギや大麦若葉といった植物素材に加え、レモンや温州みかんといった柑橘系の果物エキスを入れることでスッキリ飲みやすい味わいにしました。「爽健美茶」で支持いただいている健康価値はそのままに、7種類の植物と果物のエキスがブレンドされた新しい飲料になっていると思います。

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■フレーバーウォーターにも“遊び心”を

銭高 我々にも、同様の狙いがあります。天然水をベースにした「い・ろ・は・す」のフレーバーウォーターを、一人でも多くのお客様にさまざまな形で楽しんでいただきたいという思いから、「い・ろ・は・す ライチティー」は生まれました。

い・ろ・は・す」は「おいしい+環境にいい」天然水のブランドとして2009年に発売され、2010年の「い・ろ・は・す みかん」からフレーバーウォーターの販売を開始し、フレーバーウォーター市場を席捲し、新しい水の楽しみ方を提案することで、水の市場自体を大きくしてきました。

い・ろ・は・す みかん」以来発売してきたフレーバーウォーターは、「その果実が透明に!? しかもおいしい!」という“驚き”をお客様に提供するというコンセプトの下で、「りんご」「白桃」「なし」といった製品を販売してきました。これは今や多くの方の生活の中で、定番に近いラインナップとなりました。

加えて、「い・ろ・は・す」のフレーバーウォーターでは“遊び心”も大切にしています。まさに今回の「い・ろ・は・す ライチティー」もそうですし、3月に発売した「メロンクリームソーダ」も入ってきますね。最初に「い・ろ・は・す みかん」が発売されたときのような驚きを、今の消費者にも感じてほしいという狙いがあります。

[コカ・コーラ社の製品開発 サプライズ!?篇]「爽健美水」「い・ろ・は・す ライチティー」の担当者に聞く お茶ブランドが水、水ブランドがお茶を出す理由とは?

マーケティング本部 ウォーターグループ マネジャー 銭高明

 

銭高 ただ、驚きを感じてほしいとは言っても、他社も含めた多くのフレーバーウォーターの中から選んでもらえる製品になるためには、消費者のトレンドやニーズをしっかり捉える必要があります。今回の「い・ろ・は・す ライチティー」に決まるまでは、それこそ何十種類という味や味の組み合わせを試してきました。

決め手になったのは、消費者インタビューです。いろいろなフレーバーに対する感想をうかがう中で、「ライチ味は好きだけど、そのままでは甘すぎる」という声がありました。そこでライチの甘さや香りの華やかさを活かしながら、すっきり飲めるような製品がつくれないものかと考えました。そんなときに海外のフルーツティーがヒントになり、烏龍茶を加えるというアイデアが生まれたのです。その結果、華やかなライチの味わいは残したまま、烏龍茶の香りが絶妙なアクセントとなり、すっきりごくごく飲めるフレーバーを提案することができました。

 

■シェアを奪い合うのではなく、市場自体を広げていく

──ライチティーという選択にも、シェアを広げるための狙いが込められている?

銭高 そうですね。やはり、「い・ろ・は・す」は天然水のブランドなので、フレーバーウォーターも“いつでもどこでも誰でも飲める”ものであることが重要と考えてます。とはいえ、フレーバーウォーターは一般的に、男性を中心に飲まれてきました。もっと「誰でも」という部分を広げるために、男性はもちろん、女性も気軽に飲めるフレーバーということで、ライチティーを選択しました。ノンカフェインにした点も気にした点の一つです。

お客様の声に耳を傾け、さらに市場でヒットしている製品や有識者の意見なども踏まえた上で思うのは、お客様は“余白”がある製品を求めているのではないかということです。たとえば「い・ろ・は・す ライチティー」の場合、そのフレーバーのユニークさによって、SNS上ではフレーバーや味わい、そして飲用体験についてたくさんのお客様同士のやりとりが起きています。それは、「い・ろ・は・す ライチティー」というフレーバーに、お客様同士が声を発することができる“余白”があるからだと考えています。そして、この“余白”とはすなわち、「い・ろ・は・す」が大切にしている“遊び心”。製品に遊び心を結びつけることが、結果として市場の拡大に繋がるのではないかと思っています。

[コカ・コーラ社の製品開発 サプライズ!?篇]「爽健美水」「い・ろ・は・す ライチティー」の担当者に聞く お茶ブランドが水、水ブランドがお茶を出す理由とは?

──その点、「爽健美水」は、新しいユーザーをどのように開拓していこうと考えていますか?

元木 「爽健美茶」ブランドから「爽健美‘水’」が出るというシンプルな驚きを、まずは楽しんでいただきたいです。それに加えて、ヘルシー志向やナチュラル志向の新しい形として、植物と果物の恵みをおいしく楽しんでいただきたいと考えています。

──ナチュラル志向の新しい形とは?

元木 人々の健康に対する意識は年々高まってきています。それに伴い、「爽健美茶」が発売された20年以上前と比べると、今は特定保健用食品(トクホ)なども増え、健康価値を謳うさまざまな製品が発売されています。こうした中で、健康感だけで差別化するのは難しくなってきました。

一方、健康志向が高まった結果、人々がよりナチュラルなものを求めるようになってきた、ナチュラル志向が高まったとも思っていて。その点、「爽健美茶」ブランドは植物素材をブレンドするだけではなく、アレルギー特定原材料の不使用やカフェインゼロにこだわっています。こうした強みを「爽健美水」でも打ち出すことで、“お茶”だけに留まらない、日常のさまざまなシーンに寄り添っていけるブランドに成長することができると考えています。

そうそう、「爽健美水」のCMのサウンドロゴでも、「爽健美茶」でお馴染みのメロディを使っています。「そうけんびちゃ♪」の最後の言葉だけ変えて、「そうけんびすい♪」にしているんです。事前の消費者調査でも評価が高かったのが、「爽健美茶」ブランドから誕生する“爽健美水”という点だったので、ここはブレないようにPRしていきます。

[コカ・コーラ社の製品開発 サプライズ!?篇]「爽健美水」「い・ろ・は・す ライチティー」の担当者に聞く お茶ブランドが水、水ブランドがお茶を出す理由とは?

もとき・まゆ / 2007年、日本コカ・コーラ入社。POPツールの開発などを担当する部署に在籍したのち、「スプライト」のブランドマネジャーを経て現職。

ぜにだか・あきら / 新卒で日本コカ・コーラに入社したのち、営業や消費者分析のセクションを経て、2014年から「い・ろ・は・す」のブランドマネジャーを担当。