文=ハンナ・ニーマー

 

■起源は「コカ・コーラ」の誕生時

コカ・コーラ」と聞くと多くの方が連想するものの一つに、鮮やかな赤色があるのではないかと思います。では、実際、いつ、どのような経緯で「コカ・コーラ」のシンボルカラーは赤色になったのでしょうか?

コカ・コーラ カンパニー(米国本社)の歴代製品や関連アイテムを保管するアーカイブ庫の責任者、テッド・ライアンにこの質問をぶつけてみると、「起源は『コカ・コーラ』の誕生時にまでさかのぼるんですよ」という答えが返ってきました。


 

コカ・コーラ」を発明したのは薬剤師のジョン・S・ペンバートン博士ですが、「コカ・コーラ」というブランド名と、スペンサリアン体と呼ばれる優雅な書体を用いたロゴを考案したのは、ペンバートン博士の経理係を務めていたフランク・M・ロビンソンです。赤と白の色のコントラストがお気に入りだったロビンソンは、「コカ・コーラ」ロゴにもこのツートーンカラーを用いました。そして、「おいしくさわやかな」という意味のコピーを添えて、最初の「コカ・コーラ」広告を完成させたのです。つまり、この時点ですでに、赤色は「コカ・コーラ」にとって欠かせない色になったのです。

「それ以来、赤色は『コカ・コーラ』のシンボルカラーであり続けています」とライアンは言います。

 

■店頭の赤い丸看板は、おいしさの保証書

コカ・コーラ」の赤い丸看板が登場した1948年には、「コカ・コーラ」=赤色という認識は、一般消費者の間にも広まっていました。「店先に真っ赤な丸看板が掲げられていたら、『ここではキンキンに冷えたおいしい<コカ・コーラ>が飲めますよ』ということを、お店から保証されたようなものだったんです」とライアンは説明します。

赤色が持つ特別な意味は時を超えて受け継がれ、現在も「コカ・コーラ」のクリエイティブ面の中心的な要素となっています。ザ コカ・コーラ カンパニーのグローバルデザイン担当バイスプレジデントを務めるジェームズ・サマービルは、赤色は「コカ・コーラ」そのものに続く「第二のシークレットフォーミュラ」だと言っているほどです。

「ザ コカ・コーラ カンパニーのアーカイブ庫に保管されているものは、『コカ・コーラ』の130年の歴史そのものです。私たちデザイン部門のミッションは、そこにあるレガシーを見直して活用し、現代的な形で生まれ変わらせることです」とサマービルは言います。


 

■「ワンブランド」戦略が伝えたかったこと

今年の1月から展開されている「コカ・コーラ」のグローバルマーケティングキャンペーンでは、「コカ・コーラ」と赤色が築き上げてきたこれまでのブランドイメージに、現代的なひねりを加えた新しいものをお客さまに届けようとしています。

キャンペーンの一環の「ワンブランド」戦略では、「コカ・コーラ」「コカ・コーラ ゼロ」などのあらゆる「コカ・コーラ」製品に、「コカ・コーラ」の赤いディスクロゴを用いることにしています。各製品に共通のブランドイメージをもたらすためです。

サマービルは、すべての製品に象徴的な赤色を取り入れることで、「消費者の皆さんがどの製品を選ぼうとも、すべては『コカ・コーラ』なのである、というシンプルなメッセージが伝われば良いですね」と話します。


 

サマービルの考えにはライアンも同意しています。「サマービルは、グローバルキャンペーンで、過去から受け継がれてきたものに新たな息を吹き込むという素晴らしい仕事をやってくれました。私たちは過去に戻りたいとは思いませんが、過去とは忘れがたく大切なものです。それは、生き続けるうえで不可欠な核とも言えるものです」と彼は語ります。

コカ・コーラ」にとっての“核”となるものが、アーカイブ庫に保管されたレガシーたちだと言えるでしょう。「私たちは、ザ コカ・コーラ カンパニーの中心にある『コカ・コーラ』というブランドの価値と、それぞれの時代に生み出されてきた最高の成果の二つについて発信する役割を担っているんです」と、ライアンは最後に語ってくれました。