ジェームズ・クインシー社長兼最高経営責任者(CEO)
「金額ベースの世界シェアを拡大し、業績は年初予想を達成または超過達成しました」

2月16日、ザ コカ・コーラ カンパニー(米国本社)の2017年度決算説明会が開催されました。ジェームズ・クインシーCEOは投資家に向けて、同社が目標を上回る業績を達成し、「総合飲料企業」に大きく一歩近づいたこと、そして、2018年のさらなる飛躍への布石を打つことができたことを発表しました。

既存事業は通年で3%の増収、9%の増益(税引前実質利益)を達成。成長のためにザ コカ・コーラ カンパニーが取った方策は、消費者の嗜好を重視した製品ラインナップの拡充、成功事例の他国への迅速な展開、新興ブランドの買収、短いサイクルでの実験的なマーケティングなど、多岐に渡りました。それらの取り組みが奏功し、金額ベースでの世界シェアをさらに拡大することができたのです。

それでも「ここまでやれば十分」というゴールはビジネスには存在しません。クインシーは「私たちはやると言ったことは実行しましたが、まだ目指す水準には達していません」と述べ、今後の課題として、売上高と1株当たり利益(EPS)の成長加速を挙げました。

それでは、決算説明会で示された2017年度の重点取り組みの内容と成果を、改めてご紹介いたします。

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文=ジェイ・モイエ

 

■取り組みその1:成功事例のグローバル展開の促進

米国で成功を収めているコカ・コーラ社傘下ブランドの「Honest Tea」と「smartwater」を、2017年に複数の国で発売しました。また、中南米でベストセラーとなっている大豆飲料ブランド「AdeS」を買収し、欧州に展開を始めています。

「新・成長戦略」の成果はいかに!?  「総合飲料企業」を目指すザ コカ・コーラ カンパニーの 2017年度決算ダイジェスト

中南米では定番の大豆飲料「AdeS」。
栄養価が高く、原材料が植物由来であることから、
健康志向の高い消費者の注目を集めている

 

■取り組みその2:糖分ゼロ製品の拡充

2017年には「コカ・コーラ ゼロシュガー」(※日本未発売)が20の国・地域で発売されました。おいしさを追求するためにフォーミュラ(原液のレシピ)を見直し、マーケティング戦略とパッケージも刷新したことが功を奏し、売上高は通年で2ケタ成長を達成しました。

「新・成長戦略」の成果はいかに!?  「総合飲料企業」を目指すザ コカ・コーラ カンパニーの 2017年度決算ダイジェスト

「コカ・コーラ ゼロ」のアップデート製品として
米国では2017年8月に発売された「コカ・コーラ ゼロシュガー」

 

■取り組みその3:組織の再編

ザ コカ・コーラ カンパニーは、身軽で合理的な組織に戻るべく、体制の見直しを行っています。米国では約10年前から、ボトリング事業の所有権をコカ・コーラ社から現地パートナーへと徐々に返還しており、それがまもなく完了する見込みです。これによって、コカ・コーラ社はブランド開発をはじめとする中核事業に集中する一方、各地の事情に精通したボトラー社が顧客の多様なニーズに対応できる体制が整います。中国でも、保有していたボトラー社(*1)2社のリフランチャイズ(コカ・コーラ社が保有する製造施設を各地のボトラー社に譲渡する動き)が進みました。また、日本では2大ボトラー社(コカ・コーラウエスト株式会社コカ・コーライーストジャパン株式会社)が統合しました。

「こうした戦略的な組織の再編は、事業の運営方法、成長機会の捉え方、ボトリングシステムとの関わり方など、私たちの企業文化を変える非常に重要な意味を持っています」(クインシー)

*1 ボトラー社:製品の製造、販売などを担う会社のこと。それに対し、ザ コカ・コーラ カンパニーおよび現地法人は、原液の供給と、製品の企画開発やマーケティング活動を行う。

「新・成長戦略」の成果はいかに!?  「総合飲料企業」を目指すザ コカ・コーラ カンパニーの 2017年度決算ダイジェスト

通年で3%の増収、9%の増益を達成

 

■取り組みその4:ベンチャービジネスモデルの採用

ザ コカ・コーラ カンパニーは、常に変わり続ける消費者の嗜好を見据えながら、製品やラインナップを最適化しています。「中国ではオンライン注文の爆発的な増加に伴い、製品単価を見直しました」とクインシーは例を挙げます。また、欧州では新興ブランドをいち早く見出して投資と育成を行うベンチャー&エマージングブランド(VEB)という事業モデルを活用して、将来の成長に向けた布石を打っています。

 

■取り組みその5:税制改革(米国)の活用

米国で税制改革法が成立したことについて、クインシーは次のように述べました。「米国の税制改革が事業投資をより実行しやすくし、経済成長を後押しするであろうことは明らかです。以前は米国と世界の間に税率の違いから生じる不均衡がありましたが、それが解消されることによって、当社としてもキャッシュや債務残高の管理がしやすくなるでしょう」。

 

■取り組みその6:新たなリサイクル目標の設定

ザ コカ・コーラ カンパニーは清涼飲料業界で初めて、同社が販売する本数と同じ本数のボトルや缶を回収・リサイクルする体制を、2030年までに実現するという目標を発表しました。パッケージに含まれるリサイクル材料の割合を増やすだけでなく、すべてのパッケージを完全にリサイクル可能にするべく取り組みを進めています。

2016年にザ コカ・コーラ カンパニーは、「フォーチュン500(*2)」と呼ばれる世界トップ企業に入る飲料企業として初めて、製品の製造に用いる水を上回る量の水を、自然環境と地域社会に還元することができたと発表しました。今回のリサイクルを巡る目標設定は、それに続く大きな挑戦となります。「成長は良識を伴わなければなりません。“正しい方向に成長する総合飲料企業”であることこそが、消費者にとっても、当社事業にとっても、“あるべき姿”なのです」とクインシーは述べました。

*2 フォーチュン500:米国のフォーチュン誌が年1回発表している、総収入に基づいた全米上位500社のリストのこと。

廃棄物ゼロへの挑戦:販売するボトル1本につき、使用済みボトル1本を回収

「新・成長戦略」の成果はいかに!?  「総合飲料企業」を目指すザ コカ・コーラ カンパニーの 2017年度決算ダイジェスト

総合飲料企業への飛躍は、ザ コカ・コーラ カンパニーにとって、まだ道半ばの挑戦です。上に挙げた項目は、2018年も継続して取り組んでいくものばかりです。これらの取り組みにより、ザ コカ・コーラ カンパニーがどのような発展を遂げるか、皆さんもぜひ楽しみにしていてください。