ジェームズ・クインシー社長兼最高経営責任者(CEO)

 

2月20日にフロリダで開催されたニューヨーク・コンシューマー・アナリスト・グループ(CAGNY)会議で、ザ コカ・コーラ カンパニー(米国本社)のジェームズ・クインシーCEOは、同社が「総合飲料企業」になるという明確な方向性を持ち、「規律ある成長」を遂げつつあると述べました。

では、ザ コカ・コーラ カンパニーが目指す姿とは一体どのようなものなのか? 今回は製品展開、業績指標、事業運営の3つの側面において、同社が取る戦略の方針を明かしたいと思います。

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※以下、「」内はクインシーの発言。

文=ジェイ・モイエ

 

■“変革の年”だった2017年

コカ・コーラ カンパニーにとって、2017年は総合飲料企業に生まれ変わるための“変革の年”だったといえます。同社は売上高、利益ともに通年で業績目標を達成しつつ、2018年にさらに業績を伸ばすための布石を打ってきました。布石とは、炭酸飲料、スポーツ飲料、茶・コーヒー飲料といった幅広い製品カテゴリでブランドの価値を高め、トップシェアを獲得または維持する土台を築いたこと。これらの成果は、ボトラー社(*1)の地域に密着したネットワークが流通を力強く支えているおかげでもあります。

「私たちは転換期にあります。事業の実力と持続力を高めるため各種の取り組みを進めてきましたが、今後はその成果が、株主の皆さまの目にも見える数字となって表れてくるはずです」とクインシーは述べています。

*1 ボトラー社:製品の製造、販売などを担う会社のこと。それに対し、ザ コカ・コーラ カンパニーおよび現地法人は、原液の供給と、製品の企画開発やマーケティング活動を行う。

 

■製品展開:消費者をすべての中心に

2017年には、既存ブランドに新たなフレーバーを追加したり、既存ブランドを異なるカテゴリへ展開することで、世界中で500を超える新製品を発売しました。

「私たちは、消費者をすべての出発点と考えています。消費者のニーズを中心に据えて、ブランドのポートフォリオを拡大させていくことが必要なのです。消費者の動向に変化があれば、私たちもそれに合わせて動かなければなりません」

消費者の動向を捉えるということは、eコマースの爆発的な普及の波に乗ることも意味しています。「買い物の仕方は根本から変わりつつあります。日常のあらゆる側面においてデジタル化が進み、売り手である企業との関わり方も大きく変化しています。端的に言うと、コカ・コーラシステム(*2)がこれまで現実世界で非常に効果的に実行してきたことを、いかにバーチャルな世界で再構築できるかが問われているのです」。

*2 コカ・コーラシステム:ザ コカ・コーラ カンパニーとボトラー社や関連会社で構成される。

 

■業績指標:売れた数より収益を重視

コカ・コーラ カンパニーは業績指標として、販売数量よりも金額ベースの収益を重視するように方針転換しています。その戦略の一環で、小型パッケージの販売をこれまで以上に推進しています。「パッケージの小型化は、砂糖の過剰摂取を防ぐことにも寄与します。私たちが直面している課題の多くには重複する部分があり、小型パッケージは複数の課題解決の糸口となるのです」。

また、高単価製品を扱うブランドへの投資も強化しています。メキシコ発のスパークリングミネラルウォーター「Topo Chico」の米国事業や、ドイツのミネラルウォーター・炭酸飲料ブランド「ViO Schorle」を買収したほか、「シュウェップス」の高級ライン「1783」で、カクテル用の炭酸飲料を発売しています。

シュウェップス」の「1783」ラインは、カクテル用のフレーバー入り炭酸飲料

 

■事業運営:身軽でダイナミックな体制を構築

コカ・コーラ カンパニーは、1国で成功したブランドを他国に迅速に展開しています。中南米で人気の大豆飲料ブランド「AdeS」を欧州に展開しているのも、その一例です。「同じ製品でも、各地の状況に合わせて原材料や味のバランスを調整しています。これによって、各国の現地法人は、さまざまな製品を世界中に展開できる可能性があるということを、より強く感じていただけると思います。当社の長期的な強みは、世界のどこからでもアイディアを探し出してきて、それを世界中に展開する能力だと言えるでしょう」。

実験的なトライ&エラーを行うベンチャー的なアプローチを取り入れることで、ザ コカ・コーラ カンパニーの成長スピードは、ますます加速しています。また、迅速かつ柔軟な運営を可能とすべく、組織体制の合理化を行っています。現在はボトリング事業の所有権をコカ・コーラ社から現地パートナーに返還する動きを進めている最中。これが完了すれば、コカ・コーラ社はブランド開発をはじめとする中核事業に集中することができ、世界中の250社を超えるボトラー社はより効果的に現地のニーズに応えられる体制が整うというわけです。

「私たちは、これまで以上に意欲的かつ優秀なボトラー社の安定したネットワークをつくり上げています。そしてザ コカ・コーラ カンパニー自身が収益重視の姿勢に転換することで、地域に密着したボトラー各社との間に、良い循環を生み出すことに成功しています」

コカ・コーラ カンパニーが目指す「規律ある成長を伴った総合飲料企業」の姿が、2017年に徐々に形になってきました。今年はさらに魅力的な製品展開と業績成長という形で、明確な成果を出すことが期待されています。読者の皆さんも、ぜひ注目していてください。