「コンプレックスを受け入れてみよう」

精神分析のゴールのひとつに、自分のコンプレックスを受け入れることがあります。
見た目や学力などの実態は人によってさまざま。努力で変えられるものもあれば、変えられないものもあります。しかしどんなコンプレックスであれ、「それも自分の一部だ」と認めることが、周囲を元気にする人になるためには必要ではないかと和田さんはいいます。
「コンプレックスを短所だと思っている人が多いようですが、それを“人間臭さ”といい換えることもできます。人は完璧な人間を尊敬はしても、共感はしません。ふなっしー長嶋さんもローラさんも完璧な人間ではなく、どこか人間臭いところがあるから、こんなにも好かれるわけですよね。しかも、それぞれ人間臭いところを隠さず、むしろそれを自分の魅力としています。
だから私たちが学ぶべきは、コンプレックスを否定せずに受け入れ、「ハッピー男子、ハッピー女子」のように自分の強みとしていくことなのです。

目指せ! 愛され「天然系」!
ハッピー男子、ハッピー女子になる方法
©B Rosen


参考になるのはお笑い芸人さんの世界です。彼らは自分のコンプレックスを笑いに変えることで人々を幸せにしていますから。もちろん、いきなりそこを目指せとはいいません。自分が思い描く“完璧な自分”になれなくても、それでいいのだと考えてみるだけでいい。そうすれば、心は健康になり、愛される人物に一歩近づくことができます。だからこれは、ビジネスパーソンの処世術としてもオススメなんですよ」

高田純次さん」という人格こそ、ゴール

そして、和田さんが“究極のハッピー男子”と考えるのが「高田純次さん」だそうです。“適当男”の愛称で愛されるタレントですが、その理由は何でしょう?
「悩んでいるときに、誰かから『適当でいいんだよ』と声をかけてもらうことで救われたという経験がある人は多いと思います。脳科学の研究によると、イライラしていつも緊張状態にある人は、脳の前頭葉の血流が悪くなってしまうそうです。だから、悩めるときほど力を抜いて、“適当”でいるのが正しい。

目指せ! 愛され「天然系」!
ハッピー男子、ハッピー女子になる方法
©Sarah (Rosenau) Korf


高田さんを見ていると『あ、適当でいいんだ』と思え、自分の悩みがバカバカしくなります。それはすごいことです。もっとも、高田さん本人がどこまで自覚的にやっているのかはわかりません。これまで数え切れないほどの方の心の治療をしてきましたが、彼だけは、未だに本心で何を考えているのかさっぱり見えない(笑)。でも、あの適当ぶりが演技に見えたら、人は癒されないし、元気をもらえない。底が見えないからこそ、“究極のハッピー男子”なのです」

<プロフィール>
わだ・ひでき/1960年大阪市生まれ。東京大学医学部卒業後、同大学医学部付属病院精神神経科、老人科、神経内科にて研修。国立水戸病院神経内科および救命救急センターレジデント、東京大学医学部付属病院精神神経科助手、カール・メニンガー精神医学校(アメリカ)国際フェロー、高齢者専門の総合病院である浴風会病院の精神科を経て、現在、国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)、川崎幸病院精神科顧問、一橋大学経済学部非常勤講師、和田秀樹こころと体のクリニック院長。著書多数