文=コカ・コーラ ジャーニー編集部


■ 調査で選ばれた「ハッピーな写真」はこちら!

2009年某月某日のカナダ。あるカップルが、自然の中で休日を過ごしていました。とても貴重な休日、「せっかくだから、この楽しいひとときを思い出に残そう」と、カメラに三脚を据え付けて「はい、チーズ!」としたところまではお約束通りでしたが、突如リスが現れて……というのがこの写真です。こちらを一目見て、思わず微笑んでしまった方も多いのではないでしょうか? 実際にそのような方は多かったようで、「最もハッピーな写真」を探し出すために行われた調査で、この写真を見て「思わず微笑んでしまう」と回答した人の割合は、調査対象となった写真中トップの71%に上りました。

この調査でピックアップされた「見た人をハッピーにすると予想された写真」の中には、美しい風景、ふざける人、赤ちゃん、犬、猫、その他10種類以上の動物といったさまざまな事物が写っていましたが、熾烈な競争を勝ち抜いたのはこのリスの写真だったのです。

「調査結果を見ると、人をハッピーな気持ちにする写真は、かわいい動物が写っていたり、予期しない形での写りこみがあるなど、ちょっとしたところに違いあることが多いようです」と、英国コカ・コーラ社でマーケティングディレクターを務めるボビー・ブリテンは言います。

さらにボビー・ブリテンは続けます。「当社による ≪ Choose Happiness ≫キャンペーンは、笑顔をもたらしてくれる小さな物事を大切にしようと呼びかけています。その一環で、今年の夏には、ハッピーな気持ちを呼び起こす写真をどんどん撮ろうと呼びかけ、100万本にのぼるセルフィースティックを配りました 」。

見る人をハッピーにする写真の内容を、より具体的に特定するにあたり、コカ・コーラ社は写真画像代理店のGetty Imagesと共同で調査を実施しました。回答者に複数の写真を見せ、見た瞬間笑顔になった写真をクリックするよう依頼したところ、人を笑顔にさせる可能性がより高いのは、犬よりも猫、人間の赤ちゃんより動物である、という結果になりました。


■ 笑顔を呼ぶ5つの心理学的要素

ちなみに冒頭のリスの写真はというと、ハッピーな反応を引き起こす要素が少なくとも心理学的に5つ隠されています。

要素その1:表情が意味するもの
私たちはごく幼いころから、他者の顔の表情に反応することを学習しています。生まれて間もない赤ちゃんも、両親の表情から心理的なシグナルを読み取る能力をすぐに身につけます。笑顔は一般的に安全やごほうびを意味する表情なので、笑顔を見ると私たちは安心し、幸せな気持ちになるのです。

要素その2:笑顔の「ミラー効果」
私たちの脳内には「ミラーニューロン」と呼ばれる神経細胞があり、他者の笑顔を見ると、その細胞が活性化される結果、私たち自身も笑顔になる傾向があります。この現象は、私たちが目にした他人の体験を自分のことのように肌で感じたり、相手の表情を真似たりすることにつながり、「共感」の生物学的な基盤となっていると考えられています。

要素その3:「ベビースキーマ」に対する反応
私たちには、かわいい動物の写真に自動的に反応する性質があります。近年では、広島大学の研究によって、動物のかわいい写真が人の幸福感に大きく寄与することが明らかになっています。さらに、人は動物の「かわいい」「子どもっぽい」特徴に反応する傾向があります。体に対して大きな頭、広く丸いおでこ、大きな目といったそれらの特徴は「ベビースキーマ」と呼ばれています。

要素その4:美しい風景
丘、水、木々、鳥、動物などが見られる風景は、見た人の肯定的な感情につながります。これらは十分な隠れ場所に、水や食物の存在を意味し、人類にとって理想的な環境であることを示しているからです。さらに、遠くから続いている道や川は私たちの好奇心を視覚的に刺激することが知られています。哲学者のデニス・ダットンは、人類は生存を助けてくれるような環境に美を感じるように進化してきたと考えています。そうした要素を目にすると、私たちは本能的に安心し、幸福だと感じるのです。

要素その5:気を引くサプライズ
唐突なリスの出現に、私たちは強く関心を引き寄せられます。予想していたもの=休日のスナップ写真 と実際に目にしたもの=前景に得意そうに立つリスが写った写真 がずれているため、私たちは思わずその意味を探ろうとします。ありふれたものを予想していたのに、実際にはおかしな状況を目にしたというサプライズが、この場合は肯定的な感情を引き起こすのです。

心理学者のサイモン・ムーア博士は、「この写真に見られる想定外の要素と、それを見た人の反応に着目すると、近年『フォトボム』(写真を撮る人の目的とは関係ない人や動物が、いたずらや偶然で写りこむこと)が人気を博している理由の一部を説明できるかもしれません。つまり、『フォトボム』では予期せぬ心理的な体験ができるわけです。突然の『素敵な』サプライズの魅力は、私たちが“思っていたより得した”と心理的に感じられる点にあります」と説明します。


■ こうすれば撮れる!ハッピーな写真

では、ハッピーな写真をとるコツとはいったいなんでしょうか? ムーア博士のアドバイスはこうです。「人を笑顔にする写真を構成する要素は、実際のところとてもシンプルだということが調査からわかります。まずかわいい動物を主役に据えましょう。動物の赤ちゃんならさらに良いですね。美しい自然を背景にして、あとは笑顔と素敵なサプライズが入れば、狙いから大きくははずれないはずですよ」。

ムーア博士は、今回の調査についてこのように語っています。「興味深いことに、調査結果は私たちが本能の影響を大きく受けていること、さらに、周囲の事物に対する私たちの心理的な反応においても、本能に根差したシステムが依然として重要な役割を果たしていることを示しています。いたずらなリスが一瞬で多くの人たちに同じような反応を引き起こすことを考えると、心理学者としても思わず笑顔になってしまいますね」。