最近では女性の愛飲者も増え、
もはや私たちの生活に欠かせないものとなっているコーヒー。
実はこのコーヒー、
カラダに良い成分がたくさん含まれているって知っていました?
ポイントは“ポリフェノール”と“カフェイン”。
コーヒーがカラダにもたらす効果について
大学の先生方に聞いてみました。

文=小山田裕哉

■コーヒーを1日2杯以上飲む人は、シミが少ない

 コーヒーの注目成分のひとつ目は、ポリフェノール。お茶の水女子大学大学院の近藤和雄教授は、コーヒーには「肌を美しく保つ効果がある」ことを明らかにしています。

「ポリフェノールには皮ふのさびつきを防ぐ抗酸化作用があります。赤ワインに含まれていることで有名ですが、アルコールを毎日、しかも大量に摂取することは現実的ではありません。そこでアルコールを除いた飲料別にポリフェノールの含有量を調査したところ、コーヒーには100mlあたり約200mgも含まれていることがわかりました。これは日本茶の約2倍もの量で、赤ワインと同程度の濃度にあたります」

 美容に良いとしてブームになった赤ワインと同じことが、コーヒーにもいえるのでは? そのように考えた近藤教授は、コーヒーの美肌効果を調べるための調査を実施。非喫煙者の女性131人(30歳~60歳)を調べたところ……。

「コーヒーを1日に2杯以上飲む人は、飲まない人に比べて紫外線による皮ふのシミが少ないことがわかりました。つまり、コーヒーには皮ふを美しく保つ効果があると判明したのです」(近藤教授)

 さらにポリフェノールの抗酸化作用には、美容だけでなく、動脈硬化の予防も期待できるとか。

「動脈硬化が起きる主な原因は、酸化したコレステロール(悪玉コレステロール)が血管壁の中にたまり、血液の通り道を狭めてしまうことにあります。ポリフェノールは抗酸化作用によって、コレステロールが酸化するのを防ぐのです」(近藤教授)


■がんの予防効果が期待できるカフェイン

 コーヒーの注目成分のふたつ目は、カフェイン。「コーヒーを飲み過ぎるとカラダに悪い」なんて噂も根強くありますが、その際にやり玉に挙がるのがこの成分です。
「しかし、カフェインがカラダに悪いというのはまったくの誤解です」

 そう語るのは、東京薬科大学名誉教授でコーヒー研究家の岡希太郎先生。岡先生によると、カフェインには抗炎症作用があるため、内臓や脳を炎症から守ってくれます。それは各種のがんやアルツハイマーなどの病気予防につながっているそうです。

「すでに国立がん研究センターの調査では、毎日コーヒーを飲む人の肝臓がん発生リスクは、飲まない人の約半分という結果が出ています。そもそも、コーヒーの起源は『くすり』です。日本に伝来した頃にも、最初は飲み薬として漢方薬と一緒に服用されていたようです。現在は世界中でカフェインの効能を見直す動きが広まっていて、医薬品としての利用もかなり進んでいます」(岡先生)

 さらに、コーヒー豆を焙煎したときに出る「NMP(N-メチルピリジニウムイオン)」という成分にも、細胞のがん化を防ぐ効果が発見されています。そういった研究を踏まえ、岡先生は「ガンになりたくなかったら、コーヒーを飲めといって良いでしょう」と語ります。


■コーヒーはメタボを防ぎ、生活習慣病になりにくくする

 カフェインはメタボ防止にも役立ちます。脂肪細胞に作用して、脂肪を分解する消化酵素を活性化してくれるからです。しかも、こうしたカフェインの健康増進の効果は、前述のポリフェノールと組み合わせられることでさらに期待できます。

「ポリフェノールに含まれる『クロロゲン酸』には、糖分の吸収を遅くして、食後の急激な血糖値の上昇を抑える作用、副交感神経を刺激して血圧を下げる作用、そして、体内の脂肪酸の分解促進などの作用があります。つまり、カフェインと一緒にとることで、メタボを防ぎ、生活習慣病を予防することにもなるのです」(岡先生)

 ほかにも、カフェインを事前に摂取した状態で運動すると、脂肪燃焼効果がアップしたという研究結果もあります。カラダに良い2大注目成分のポリフェノールとカフェインの両方が大量に含まれているコーヒーが、もともと「くすり」として親しまれていたというのも納得です。


■健康を気にするなら、目安は毎日3杯

 そんなコーヒーのさまざまな効能を最大限引き出したい場合、飲み方には工夫が必要なのでしょうか?

「基本的には毎日飲んでください。ポリフェノールの抗酸化作用が期待できる摂取量の目安は、1日に1000mgほど。コーヒーだけでとるなら、3~5杯といったところです。ただ、夜に飲むとカフェインで眠気が覚めてしまいます。だから、朝食時に眠気覚ましに1杯、昼食時にも1杯、そして午後の仕事中などに飲むように習慣化すれば、美容や健康への効果が十分期待できます」(前出・近藤教授)

 その際に飲むのは、「できればブラックが良い」と近藤先生。気分をリフレッシュする効果もあり、程よい刺激が仕事への活力にもつながります。

 最後に、前出の岡先生がこう指摘します。

「重要なのはしっかり焙煎したコーヒーであることです。コーヒー豆を焙煎する際に出る『コーヒーかす』にはコレステロール値を高める成分が入っているので、これを口にしないようにちゃんと取り除いておく。缶コーヒーやインスタントでも、ともに焙煎したコーヒー豆から抽出しているので問題ありません。ペーパードリップで飲むほど好きな人は、最初に抽出される50ccを味わって飲んでください。そこに各種の有効成分が一番ぎっしりとつまっているからです」

 聞けば聞くほど、カラダに良いことずくめのコーヒー。ブラックコーヒーが苦手だというそこのあなたも、自らの美容と健康のためにコーヒーを日常生活にとり入れてみる手はありますよ。



<プロフィール>
こんどう・かずお/1949年生まれ。お茶の水女子大学大学院教授、同大学生活教育研究センター長。食物と人体の関係をテーマに、ポリフェノールの抗酸化作用やメタボリックシンドロームの治療について研究を行っている。

おか・きたろう/1941年生まれ。東京薬科大学名誉教授、コーヒー研究家。コーヒーを科学する専門家として、さまざまな研究を発表。著書に『がんになりたくなければ、ボケたくなければ、毎日コーヒーを飲みなさい。』『珈琲一杯の薬理学』など。