夏真っ盛りで気をつけたいのが「熱中症」。
子供からお年寄りまでかかる厄介な病気です。
しかし、どれだけの人が熱中症について、
正しい知識を持っているのでしょうか。
「実は、気温が涼しくても熱中症になる?」
「おでこを冷やすのは間違いだった?」などなど、
熱中症にまつわる“基本のキホン”を、
昭和大学医学部教授の三宅康史さんに聞いてみました。
文=小山田裕哉
写真=大中啓@D-CORD(TOP画像)/ 村上悦子(人物)
イラスト=Sander Studio

1.命に関わることもある「熱中症」

Q:熱中症とは、どんな病気なんでしょうか?
熱中症には2種類あります。炎天下でスポーツや肉体労働をすることで大量に汗をかき発症するのが“労作性熱中症”。あまり体を動かしていないのに発症するのは“古典的熱中症”と呼ばれています。前者は若年から中年に多く、後者は高齢者がかかりやすい。どちらもその要因に、必ず水分不足があります。急激に進行するのは“労作性熱中症”のほうですね。

Q:では、熱中症にかかるメカニズムとは?

そこには私たちの体温調整の仕組みが関わっています。暑さや筋肉運動により体温が上昇すると、カラダは体表近くを流れる血管を拡張させて放熱し、汗をかくことで気化熱を奪って、全身をめぐる血液の温度を下げていきます。しかし炎天下でのスポーツのように、次から次へと汗をかいても体温が下がらない場合には、やがて体内の水分が足りなくなり、汗をつくれなくなってうまく放熱ができなくなる。こうして体温が上がっていけば、高熱の影響に加え、血液量も減って体内のいろんな臓器がダメージを被ります。そのため重症化した際には、血液の流れが止まって心臓や脳がダメージを受けることもあるのです。最近では病気に対する認知が広まったために減少していますが、熱中症で亡くなる方もいます。
Using Water to Prevent Heat Stroke
~熱中症を防ぐ水分との付き合い方~
汗をかいてもかいても体温が下がらなくなったら注意


2.“週末スポーツマン”は熱中症になりやすい

Q:熱中症になりやすい人とは、どんなタイプですか?

普段はオフィスワークで運動をしないのに、休日だけスポーツをするような方は特に気をつけられた方がいいですね。汗のかきやすさなどは、暑さに対する“慣れ”の要素が大きい。つまり、日常的に汗をかく習慣がないと、運動したときにうまく放熱ができず、熱中症になりやすいということ。肉体労働であれば、働き始めの1週間くらいが要注意。仕事に対する緊張感から“音を上げる”ことができず、体調不良があっても熱中症と気がつかないことがあります。

Q:夏でも外遊びが好きな子供はいかがでしょうか?
猛暑を伝えるニュース映像で子供が噴水で水遊びをしている映像が流れるでしょう? 子供は暑さに対する感受性が高いから、水遊びが好きなんです。子供は基本的に、暑ければ水を飲みたがりますし、疲れたら休む。だから、熱中症にはなりにくい。ただ、部活など目標を達成するためにカラダを動かすときはちょっと事情が違います。レギュラー入りや記録達成にこだわるあまり、休みたいと言い出せずに熱中症になってしまうこともある。夏場はそのため、コーチや監督の細かい目配りが重要です。
Using Water to Prevent Heat Stroke
~熱中症を防ぐ水分との付き合い方~
炎天下でのスポーツには要注意


Q:熱中症になりやすい環境とは?

意外に思うかもしれませんが、気温が23度~26度と低くても、湿度が高いと熱中症は起こりやすいのです。具体的には、湿度70%を超えてくると危険なゾーンです。これは、湿度が高いと汗をかいても乾きにくく、放熱がうまくできないためです。梅雨時は洗濯物が乾きにくいのと理屈は一緒ですね。熱中症を防ぐために理想的な環境は、気温が28度未満、湿度が70%未満と言われています。

Using Water to Prevent Heat Stroke
~熱中症を防ぐ水分との付き合い方~
気温28℃未満、湿度70%未満が理想的環境