3.  緑茶の浸透期「礼儀作法としてのお茶、そして誰もがお茶を飲む時代へ」

Q. お茶の種類がたくさん生まれたのはいつですか。種類の違いは何ですか。

全国でお茶を生産・販売するようになったのは1400年代の中頃です。お茶は、紅茶は発酵茶、緑茶は不発酵茶、烏龍茶は半発酵茶と、茶葉の発酵の程度によって呼び名が異なります。煎茶は、不発酵茶ですが、緑茶とは飲み方が違います。常にお茶の飲み方は工夫され、時を経る毎に様々な種類のお茶が生まれていくのです。あと、良いお茶と悪いお茶の差は、生成過程でそれだけ手間がかかっているかが関係します。太陽の日をあまり受けない柔らかい茶葉は甘く、太陽の日を受けて硬くなった茶葉は苦い。だから玉露など高価な濃茶をつくる茶園は、茶畑の上に日陰をつくるテントをかけているんですよ。

Coca-Cola Journey Special“Japanese Tea”
15分でわかる「日本茶」の歴史

珠玉の玉露の茶葉は覆下茶園で栽培される。藁葺きや茅葺きの覆いは今では珍しい。
(京都府農林水産技術センター農林センター茶業研究所蔵)


Q. 日本の一般家庭でお茶が飲まれるようになったのはいつですか。

1700年頃には、お茶の生産量も増えてきて値段も下がり、庶民層も口にする飲料として浸透していきました。上層階級で発展していった“茶の湯”とは別に、食後にお茶を嗜んだり、客をもてなすときにはお茶が用いられてきた歴史があります。近代になると、お茶は礼儀作法のひとつとして教えられるようになります。大手都市銀行で茶室を持っているところが多くありました。企業で、女性社員の嫁入り修行を行っていたことの名残です。福利厚生にも、お茶が取り入れられていた証拠ですね。教育に取り入れられたことで、日本家庭に普遍的なものとして根付いていったのでしょう。

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15分でわかる「日本茶」の歴史

日本オラクルの豪華な茶室。もっとも、こちらは教育用というよりはリフレッシュ用か。
(日本オラクル株式会社 提供)


Q. もっとお茶について知りたいと思ったら何をすれば良いですか。 

茶事に出てみるのがおすすめです。美味しい食事とお酒をいただいて、最後にお茶を。美しい道具を見ながら、合わせて4時間は拘束される長丁場ですが、きっと一緒に参加した人との仲が深まり、楽しい時間を過ごせるでしょう。今は、お茶を好きな人々が様々なお茶事を開いていますから、ぜひ探して参加してみてください。

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全国各地に茶事教室や茶事の同好会がある。気軽に参加してみるといいだろう。
(『和のレッスンスタジオWAnocoto』の茶道レッスン風景)




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●プロフィール
なかむら・としのり/京都造形芸術大学芸術学科歴史遺産学科教授。専門は日本の中世、近世の建築史。当時の建築を研究するうえで欠かせない茶道を深く追究。現在は芸術学部歴史遺産学科で、歴史遺産の保護、修復を考える基礎となるよう、建築史を講じている。「『裏千家今日庵歴代』第2巻少庵宗淳」(淡交社)ほか、お茶にまつわる共著多数。3次元CGによる金沢城復元(1998年)など茶室や庭園復元の設計・監理も手がける。

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