ジョージア」ブランドに新製品が仲間入りしました。
これまで、「エメラルドマウンテンブレンド」や「ヨーロピアン」、「ザ・プレミアム」などさまざまな製品を展開してきた「ジョージア」。しかし、日本コカ・コーラ株式会社 マーケティング本部 コーヒーグループ シニアマネージャーの田中学は、今回の「ジョージア グラン 微糖」はそのどれでもない、と言いきります。
PETボトルコーヒーの台頭により競争が激化している市場に、満を持して投入される「ジョージア グラン 微糖」。この製品はどんな思いを込めて、開発されたのでしょうか。

文=崎谷実穂
写真=村上悦子

 

■「コーヒーの味」は好きでも「苦味」は苦手な微糖ファン

──「ジョージア」ブランドには、「エメラルドマウンテンブレンド 至福の微糖」などすでに複数の微糖コーヒーがありますが、なぜ今回、新製品を発売したのでしょうか。

田中 RTD(Ready To Drink)と呼ばれる、缶やPETボトルなどの容器入りのコーヒー市場で、「微糖」ジャンルの市場は「ブラック」に次いで2番目に大きいんです。そして「微糖」ジャンルの中では、ボトル缶でもチルドカップでもPETボトルでもなく、缶コーヒーがジャンル全体の売り上げの8割を占めています。

ですが、この「微糖」ジャンルにおいて、「ジョージア」には突出した売り上げを誇る製品がありませんでした。そこで、「微糖缶コーヒーといえばこれ」とお客様に選んでもらえる決定版の製品をつくろうと考えたのです。

──選んでもらえる製品、というのは具体的にどんなものなのでしょうか。

田中 それを知るために、普段から微糖コーヒーを飲んでいる方を対象に調査を行いました。すると、微糖コーヒーを飲んでいる理由として、「砂糖・ミルク入りコーヒーのジャンルの中では、コーヒーの味わいがしっかりありそうだから」と答える方が多かった。そこで、コーヒーの味わいをより感じていただける微糖コーヒーをつくることにしたのです。「ジョージア グラン 微糖」では、コーヒー豆の使用量を従来製品と比べて30%増やしています。

──より、本格的なコーヒーに近い味わいを実現したんですね。

田中 その一方で、微糖コーヒーを飲むお客様は苦味を苦手としている方が多く、適度な甘さも欲していることが調査から分かりました。そのため、より満足感を得ていただくために、コーヒーの深い味わいだけでなく、甘さもしっかり感じられるようにバランスを調整しました。

[コカ・コーラ社の製品開発「ジョージア グラン 微糖」篇]コーヒー激戦時代を勝ち抜く一手へ。「微糖コーヒーの決定版」を目指した新製品とは?

日本コカ・コーラ株式会社
マーケティング本部 コーヒーグループ シニアマネージャー
田中学

 

──どのように、味を設計していくのでしょうか。

田中 開発メンバーが試作品をいくつもつくり、それをチームメンバー全員で試飲して、候補をしぼっていくんです。同じコーヒーといえど、飲み比べると違いがよく分かります。だから、「今回つくりたいのはこういう味だから、AよりBのほうがいい」といったことは判断できる。ただ、コーヒーは最初に方向性を決めるのがむずかしいんです。

私は以前、「い・ろ・は・す」の担当をしていたこともあるのですが、たとえば、「白桃のフレーバーウォーター」を開発する場合は本物の白桃の味を目指せばいい。開発チーム内でゴールの共有もしやすいんです。でも、それがコーヒーだとどうでしょう。

──確かに、コーヒーには分かりやすい「正解」がない。基本的なコーヒーの味をベースに、さまざまな可能性の中から方向性を決め、さらに他の製品と差別化していかなくてはいけないんですね。繊細な味覚が求められそうです。

田中 そうなんです。味の要素である、酸味や焙煎の深度、苦味、甘み、香りなど、いくつもの要素を調整して理想に近づけていきます。そして今回は、「リッチなコーヒー感が味わえ、なおかつ適度な甘さで飲み応えがある」という味を目指しました。

 

■「一つ上の大人」を惹きつけるプロモーション戦略

──では、今回のパッケージはどんなところにポイントがあるのでしょうか。

田中 調査から、微糖コーヒーを飲むお客様は“大人な雰囲気”を好む、ということも分かってきました。そこで、パッケージもより本物感が感じられるようなデザインにしています。他のコーヒーに比べて、より本格的なコーヒー感が味わえることを伝えるために、上下にコーヒー豆のビジュアルを配置しました。

また本物感というのは、「グラン」というネーミングにも込めています。英語の“Grand”には、「壮大な」「威厳のある」「堂々とした」といった意味があります。表層的な高級感を出すのではなく、中身が本物であるということを伝えられるネーミングだと考えています。

[コカ・コーラ社の製品開発「ジョージア グラン 微糖」篇]コーヒー激戦時代を勝ち抜く一手へ。「微糖コーヒーの決定版」を目指した新製品とは?

 

──洗練された高級感のあるデザインですね。この「ジョージア グラン 微糖」はどのように広告コミュニケーションをしていくのですか?

田中 「ジョージア」のタグライン&ブランドコンセプトは「世界は誰かの仕事でできている。」で、2014年以来、働く人が頑張る姿を描き続けてきました。今回のCMもその世界観の中で、山田孝之さんと染谷将太さんが、でんでんさん演じる社長にプレゼンをするという内容になっています。

社長は、「リスクが大きい、失敗する」と難色を示すけれど、山田さんは「いいじゃないですか、失敗したって」と主張し、後輩役の染谷さんには「失敗しないで大人にはなれない」と言います。空気を読んで振る舞うだけではない、大局を見て常にチャレンジを忘れない、一つ上の大人が選ぶ製品である、ということを伝えていきます。

──ウェブサイトでも、おもしろい企画を実施すると聞きました。

田中 CMに関連して、ウェブでは「社長を口説き落とせ!」というスペシャルコンテンツを展開します。社長に向けて、「ジョージア グラン 微糖」をプレゼンテーションする疑似体験ができるんです。選択肢を選んでいくことでプレゼンテーション内容が決まっていくのですが、あまりひどい内容だと社長が途中退出してしまうので、注意が必要です(笑)。プレゼンテーションがうまくいくと、“臨時ボーナス”として製品が当たるプレゼントもあります。

 

■ PETと缶コーヒーの“意外な住み分け”

──昨年あたりから、PETボトル入りのコーヒーを自動販売機やコンビニエンスストア、スーパーマーケットなどでよく見かけるようになりました。PETボトルコーヒーの台頭は、缶コーヒーの需要に影響を与えているのでしょうか?

田中 よく「PETボトルコーヒーが出てきたから、缶コーヒーの売り上げが減っているのでは?」と聞かれることがあるのですが、実はそうでもないんです。こちらで調査をしてみたのですが、もともと缶コーヒーを飲んでいた人が、缶コーヒーの代わりにPETボトルコーヒーを買っているかというと、そのような傾向は見られませんでした。

──そうなんですか!

田中 PETボトルと缶は、飲用のシチュエーションや目的が違うんです。缶コーヒーは、休憩時間など一息つきたいときに飲みきるもの。そのため、缶コーヒーは200グラム以下の少量で満足していただける味の設計にしています。対して、フタができるPETボトルは時間をかけて少しずつ飲むために購入する人が多いので、苦さや濃さがおさえられたすっきりした味わいのものがほとんどです。水やお茶を買うのと同じ感覚で、一つの選択肢としてPETボトルコーヒーが選ばれているんですね。

我々は、PETボトルコーヒーが増えてきたことで、これまで缶コーヒーを飲んでいなかった人たちが、コーヒーを買って飲むという流れが新しくできてきたと考えています。それが、コーヒー市場全体を活性化しているんです。

[コカ・コーラ社の製品開発「ジョージア グラン 微糖」篇]コーヒー激戦時代を勝ち抜く一手へ。「微糖コーヒーの決定版」を目指した新製品とは?

 

──ユーザーが分かれていて、それぞれのジャンルで進化しているんですね。では、PETボトルコーヒーが出てきたことで、缶コーヒーが衰退するという流れにはならない、と。

田中 何十年後の未来は分からないですが、ここ数年でそうはならないと思います。場所にもよりますが、自動販売機に缶コーヒーの代わりにボトル缶やPETボトルを入れても、缶コーヒーほど売れないという結果も見られます。

缶コーヒーの売り上げは、市場全体で見て、現在は伸張傾向にはありません。でも私は缶コーヒー市場はまた成長できると思っているんです。微糖コーヒーを好むお客様に限って言えば、一人あたりの飲用本数や回数は、2018年に入って増えています。もっといいものを提供できれば、もっと飲んでいただける可能性はある。そこは私たちの頑張りにかかっている、と思っています。

 

■時代の変化を取り入れながら進化していくブランドに

──「ジョージア」は長い歴史を持つブランドです。今後は、どのような展開を考えていらっしゃいますか。

田中 「ジョージア」の現在のキャンペーンテーマは「すべての働く人たちの頑張りを応援する」です。「働く人」の中には、オフィスワーカーも、外の現場で働く人も、主婦もみんな含まれています。あらゆる形の頑張りに寄り添って、応援していくというメッセージです。

現在、人々の働き方や環境は昔とは大きく変わってきています。かつては「がむしゃらに限界まで働く」ことが良しとされていて、缶コーヒーも「疲れたときにほっと一息つくために飲む」というニーズが高かった。しかし今は「短時間で効率よく働き、プライベートの時間も大切にしよう」という傾向も見られますし、疲れたからコーヒーを飲むというよりも、コーヒーそのものの味や、おしゃれな雰囲気を楽しむ方も増えてきています。そんな中でも「ジョージア」ブランドは変わらず、あらゆる形の頑張りに寄り添いながら、昔から缶コーヒーが好きだった方にも、新しくコーヒーを飲み始めた方にも愛される製品をつくっていきたいですね。

[コカ・コーラ社の製品開発「ジョージア グラン 微糖」篇]コーヒー激戦時代を勝ち抜く一手へ。「微糖コーヒーの決定版」を目指した新製品とは?

たなか・まなぶ / 2004年に新卒で日本コカ・コーラに入社し、消費者調査を7年間担当。その後「アクエリアス」「い・ろ・は・す」のブランド担当を経て、現在はマーケティング本部コーヒーグループ シニアマネージャーとして「ジョージア」ブランドを担当する。