コカ・コーラ」を筆頭に、
さまざまな清涼飲料を企画・製造・販売しているコカ・コーラ社
そのマーケティング活動の現場を、
現役大学生の草野絵美さんがレポートします。
今回は、同活動の入り口にあたる消費者リサーチの現場について。
一般消費者に混ざって、実際に消費者調査を体験してきました。

文=草野絵美
写真=松本昇大
※大学生の社会科見学
「コカ・コーラ社の“最先端”リサーチの現場に触れてみた」


大学生の社会科見学
「コカ・コーラ社のリサーチの現場に触れてみた ~消費者調査篇~

 こんにちは! 大学生の草野絵美です。今回の企画では、コカ・コーラ社がどのようにして消費者の声を聞き、新製品の開発や既存製品の改良に活かしているのかを実地に知るため、調査の現場を覗いてみたいと思います。これから調査の体験の模様を、時間を追ってご紹介しますね。

■某月某日 10:00 am

 都内某繁華街。とても人通りの多いところにやってきました。実は私、今回の調査の内容を何も聞かされていません。

大学生の社会科見学
「コカ・コーラ社のリサーチの現場に触れてみた ~消費者調査篇~

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「コカ・コーラ社のリサーチの現場に触れてみた ~消費者調査篇~

大学生の社会科見学
「コカ・コーラ社のリサーチの現場に触れてみた ~消費者調査篇~

大学生の社会科見学
「コカ・コーラ社のリサーチの現場に触れてみた ~消費者調査篇~

大学生の社会科見学
「コカ・コーラ社のリサーチの現場に触れてみた ~消費者調査篇~

 繁華街の中心からそう遠くないビルの一室に、その会場はありました。
調査員の皆さんのご案内によって、今回の消費者調査の対象製品(缶コーヒー『ジョージア』)のターゲット層の男女が続々と部屋に入ってきます。その数、1日でなんと50名!

■10:15 am


大学生の社会科見学
「コカ・コーラ社のリサーチの現場に触れてみた ~消費者調査篇~

 会場内にある一つひとつが厳重にパーティションで区切られた机が、試験会場のような空気をつくり出しています。
試飲をはじめる前に、年齢、既婚・未婚、家族に業界関係者はいないかなど、基本的な情報を細かく収集していきます。そして、基本情報を収集できたら、質問はコーヒーに関するものへ。「コーヒーを飲むとき、ミルクや砂糖を入れるか」「どのくらいの頻度でコーヒーを飲むか」「どのような種類のコーヒーを、どの程度の量飲むのか」といった質問が投げかけられます。

■10:20 am


大学生の社会科見学
「コカ・コーラ社のリサーチの現場に触れてみた ~消費者調査篇~

 ついに、コーヒーの試飲がスタートしました。今回飲むのは、数種類のブラック無糖コーヒー。

 

■10:30 am


大学生の社会科見学
「コカ・コーラ社のリサーチの現場に触れてみた ~消費者調査篇~


 数種類のコーヒーを試飲した後、以下のようなことを聞かれました。
 まず「飲んだコーヒーは好きか嫌いか」。次に「好きであれば、好きになった具体的な理由と、嫌いであれば、嫌いになった具体的な理由」など、です。
 その後はコーヒーを要素分解しての個々の要素の感想。「香り」「濃さ」「苦味」などをそれぞれ数段階で評価、好きか嫌いかも数段階で評価しました。
 さらに、製品イメージとキャッチフレーズをマッチングさせるための質問も受けました。目の前に置かれた数種類の無糖ブラックコーヒー(コップに入っています)の中から、それぞれのキャッチフレーズのイメージに合うものを選びます。そしてその後は、「これは缶コーヒーだと思うか、PETボトルコーヒーだと思うか、ドリップコーヒーだと思うか、粉末のコーヒーだと思うか」という質問も受けました。
 最後は、飲みたいシチュエーションについての質問でした。「朝、目を覚ましたいときに飲むのか、仕事で疲れたときに飲むのか」などです。私は頭の中で、飲みたいシチュエーションを一生懸命思い描いて回答しました。
 消費者調査を通じて印象に残ったのは、途中でコーヒーの味がわからなくならないように、無味のクラッカーや水で何度も口直しをしたことです(口直しをしたおかげなのか、集中して味わうと、確かに味の違いがあることがわかりました)。とにかく草野絵美の想像力、集中力をフルに使って臨みました。
 今まで、缶コーヒーの中味のことをここまで考えたことがなかったので、とても新鮮な経験でした。ちなみにこの調査では、「コカ・コーラ社」の名前は一切出てきません。これは、調査に参加していただく人たちに先入観をもたせないためでもあるそうです。


■11:00 am

 調査が終わってから、コカ・コーラ社のR&D TCR担当の篠原さんにインタビューしました。TCRでは主に、中身はもちろんのこと、その他にも自動販売機の使い勝手やパッケージの機能などの調査を行い、その結果を製品の開発に活かしているのだそうです。


篠原さんインタビュー]

草野 コーヒーを飲み比べたんですが、とても細かいことまで聞かれて驚きました。それぞれ、プラスチックのコップに入ってでてきたので、コーヒーのブランド名から想起されるイメージに左右されることなく、味に集中することができました。
篠原 普段は一度にあんなにたくさんの種類のコーヒーを飲まないですよね(笑)。お疲れさまでした。製品を市場に出す前にはラベルとボトルと中身、それぞれの要素についての調査を行っています。通常私たちの部署であるTCRが調査するのは、中身、自動販売機の使い方、そして、蓋の空けやすさなどのパッケージの機能についてです。今回は中身の調査を行い、そこに草野さんに参加いただいたわけです。先程草野さんに受けていただいたのは、ボトルに入ったコーヒーが好きな人は、どのような人なのだろうかという調査。それと、そのような人たちはどのような味が好みなのかという調査。二つを知るためのものだったのです。
草野 今回のような調査はどれくらいの頻度で行われているんですか?また、調査結果をどのように役立てているのですか?
篠原 時期にもよりますが、多いときには今回と同じようなタイプの調査を月に10件行うこともありました。この他にも新商品の開発や既存製品の改善のために様々な調査を行っており、新しい技術を使ってつくった製品が本当においしくできたかどうかの確認など、製品の改良をすすめることに役立っています。『爽健美茶』などロングセラーの定番商品も、常においしさを求めてリニューアルをして、消費者のみなさんに楽しんでもらえるように努力しています。“さらにおいしくなった”と感じたり、製品名のロゴが変わるのを見たことがあるでしょう? 売れ行き絶好調の製品でも、常に改良点がないかとウオッチングしています。
草野 今回はブラックの無糖が対象だったということで、30歳代以上の男女に対象を絞っていましたが、飲み物によって調査対象は異なるのでしょうか?
篠原 はい。おっしゃるように評価していただく製品によって対象は変わります。今回はブラックコーヒーだったので30歳代の男性と女性でしたが、スポーツドリンク、ジュースブレンドだったら対象年齢は異なります。ケースバイケースで変わってくるのです。
草野 年齢性別で、味の好みは異なりますか?
篠原 特にコーヒー・紅茶の場合、年齢性別よりも、普段、他にどのような飲料を飲んでいるかがその嗜好に大きく影響することも多いですね。
草野 これからどの分野でも、ターゲットが消費している製品は何かを追求していくことがマーケティング上必要になってきますね。ところで、味を決める上で、もっとも重要なことはなんですか?
篠原 最も重要なのは、対象となる消費者の方が求めている味をどのように追求していけるかです。さらに、ブランドが伝えようとしているイメージとのマッチングでしょうか。
[おわりに 〜from EMI〜]
 コンビニの店頭に並ぶお茶、缶コーヒー、水……。飲料の種類はたくさんあるけれど、パッケージを見て、何を買うか判断するのに要する時間はたった数秒です。そして、その数秒のために、コカ・コーラ社は日々努力しています。その努力のおかげで、私たちは素敵なパッケージに出会い、惹かれ、思っていた通りの風味を感じ、お気に入りの飲料が誕生することになるのだな、とつくづく実感しました。
おしまい