文=ジェイ・モイエ

過去と未来をつなぐデザインプロジェクト

今年100周年を迎えた「コカ・コーラ」ボトルは、これまでアンディ・ウォーホルマーク・ジェイコブスをはじめとする数多くのアーティストやファッションデザイナーを魅了し、彼らの創作意欲をかき立ててきました。そして現在も、世界中のアーティストを巻き込んだ斬新なプロジェクトを通して、過去と最先端の感性が融合した刺激的な作品が次々と生みだされています。
コカ・コーラ社は昨年、世界中の画家やデザイナーやイラストレーターに新しい作品の制作を依頼しました。新しい作品とは、「コカ・コーラ」ボトルをモチーフに制作された過去のアート作品や広告デザインから着想を得た作品です(制作時の条件は、『コカ・コーラ』を象徴する赤、黒、白の3色のみを用いることでした)。#MashupCokeと名付けられたこのプロジェクトには、現時点で15ヵ国から130人以上のアーティストが参加し、250点を超える作品が集まっています。
スライドショー:#MashupCokeの代表作品を一挙公開!
※下の画像をクリックしていただくと、スライドショーをご覧いただけます。
過去と未来をつなぐ作品が250点
「コカ・コーラ」ボトルと新旧アーティストの、時を超えた競演
Kiss the Past Hello: Coca-Cola Invites Designers to Recreate Art Starring Its Iconic Bottle

#MashupCokeの仕掛け人は、ザ コカ・コーラ カンパニー(米国本社)でグローバルデザインを統括するジェームズ・サマービルです。「過去を大切にしながら、現代のデザインで未来を描きたいと思いました。プロジェクトの成果である作品群は、制作したアーティストたちと同じくらい多種多様で、どれもが独自性あふれる表現となっています」と彼は語ります。
プロジェクトの成果の一部は、「コカ・コーラ」ボトル100周年記念イベントの一環として公開されています。ジョージア州アトランタにあるハイ美術館では、10月4日まで開催中の展覧会「The Coca-Cola Bottle: An American Icon at 100」で#MashupCokeの作品を鑑賞することができます。また、ラグジュアリーな出版物で知られる出版社のアスリーヌが作品を掲載した限定本を発売したほか、コカ・コーラ社PinterestInstagramなどのソーシャルメディアで多数の作品を発信しています。
ということで、#MashupCokeの経緯と、「コカ・コーラ」ボトル100周年キャンペーンとの関わりについて、サマービルに取材しました。

プロジェクト仕掛け人へのインタビュー

──#MashupCokeの発想はどこから来ているのでしょうか?
サマービル:最初は社内活動にしようと思っていました。私は2013年後半にコカ・コーラ社に入社したのですが、そのとき、担当するグローバルチームのメンバーの働き方や能力を把握することが重要だと考えました。その手段として、チームの全員に対して、「過去につくられた作品を今の時代にも合うように再解釈し、次の世代のためのデザインをつくり出してみよう!」という課題を与えたのです。
私は、コカ・コーラ社のアーカイブ庫で過去の価値ある作品をじっくり見て回り、「コカ・コーラ」ボトルをモチーフとした刺激的な作品を数点見つけ出していました。それらの作品を見ると、「コカ・コーラ」ボトルは当社の流通システムや販促活動に変革をもたらしただけでなく、アーティストの私的作品のアイデアの源となってきたことが分かります。私は、こうした作品が50年~60年前に成功していたなら、今、再制作して成功しない理由があるだろうかと考えました。そこで、アーカイブから「コカ・コーラ」ボトルを表現した16点の主要作品を選び、デザイン担当者たちに、その作品の中の一つに自分なりの解釈を加えてみるように指示したのです。彼らが提出してきた20点ほどの作品は、全てオフィスの壁に掲示しました。

過去と未来をつなぐ作品が250点
「コカ・コーラ」ボトルと新旧アーティストの、時を超えた競演
Kiss the Past Hello: Coca-Cola Invites Designers to Recreate Art Starring Its Iconic Bottle

──このプロジェクトを社外にも広げることにしたのはいつですか?
サマービル:参加したメンバーの反応を見て、これは非常に面白いプロジェクトになると感じました。そして、私たちはすぐに、つながりのあったデザイン業界の人たちを通じてプロジェクトの参加者を広げていくことにしました。結果的に100人を超えるアーティストを、「コカ・コーラ」とのコラボレーションに招待することになりました。声をかけた相手は、デジタルアーティスト、職人、ハンドクラフトの作家など多岐に渡ります。彼らには、社内で題材にしたのと同じ、過去の作品をベースに、全く新しい作品をつくり出すことをお願いしました。その際、どんな形でも良いので、元となる作品と何らかのつながりを持たせることを制作の条件としました。


#MashupCokeのメイキング動画