──#MashupCokeを進めるにあたって、どのようなビジョンを描いていましたか?
私たちは「コカ・コーラ」ボトルを表現した過去の作品を尊重しながらも、「コカ・コーラ」ボトルを骨董品や過去の遺物のように位置づけるのではなく、未来のインスピレーションの源として捉えたいと思いました。
たとえば、「コカ・コーラ」ボトルをモチーフとしたアンディ・ウォーホルの世界的に有名な作品の横に、まだ無名に等しい新進のアーティストの作品を展示することを思い描きました。実際には、前者が莫大な価値を有する一方で、後者は今のところほぼ無価値といえます。しかし、価値は異なれど、豊かな発想で観る者を刺激する点では、両者は同等ともいえるでしょう。それに、無名の作品がいつの日か莫大な価値を持つようにならないとも限りませんよね? この展示には、未来のウォーホルのような作品がいくつか含まれているかもしれませんよ。

過去と未来をつなぐ作品が250点
「コカ・コーラ」ボトルと新旧アーティストの、時を超えた競演
Kiss the Past Hello: Coca-Cola Invites Designers to Recreate Art Starring Its Iconic Bottle

──この作品群を通して、お客さまにはどのようなことを伝えたいですか?
サマービル:あらゆる世代の人々に対して、あらためて「コカ・コーラ」ボトルの新しさを伝えたいと思っています。100年前に「コカ・コーラ」ボトルが誕生したときには、それまでの概念を打ち壊す斬新なデザインが、意図的に採用されました。「コカ・コーラ」はそのことによって市場競争で抜きん出ることができたのです。つまり、ボトルの開発当時、そのデザインにははっきりと経済的な目的があったのだと言えます。
しかし時とともに、人々は「コカ・コーラ」ボトル、そして「コカ・コーラ」というブランド自体に対して、心理的な結びつきを感じるようになっていきます。そのことがアーティストの発想を刺激するようになったのです。
清涼飲料としての「コカ・コーラ」の人気は、何よりそのおいしさによって支えられてきました。そして「コカ・コーラ」のロゴや象徴的な赤色といった視覚面での資産も、ブランドの魅力の維持に寄与しています。一方、曲線構造の「コカ・コーラ」ボトルは、暗闇の中で手で触っただけでもそれと分かるものです。形状と機能の完璧な融合という意味で、史上最も成功した商業デザインの一つと言うことができるでしょう。

過去と未来をつなぐ作品が250点
「コカ・コーラ」ボトルと新旧アーティストの、時を超えた競演
Kiss the Past Hello: Coca-Cola Invites Designers to Recreate Art Starring Its Iconic Bottle

──プロジェクトに招待したアーティストの反応はいかがでしたか?
サマービル:私たちの予想を超えて、デザイン業界の多くの人々がこのプロジェクトに賛同してくれました。最初私たちは、デザインのプロに対して、正式な仕事の依頼ではない、このようなプロジェクトの提案がどのように受け取られるか、少し心配していたのです。でも、この世界で鍵となるのはコラボレーションです。私たちは「コカ・コーラ」ボトルに秘められた可能性を理解し、独自の芸術作品に昇華させる実力を持ったアーティストたちに、プロジェクトへの参加を呼びかけました。
参加してくれたアーティストは、20歳代前半から70歳代後半まで幅広い年齢層に及びます。世代が離れていても、彼らは「コカ・コーラ」ボトルに対する思い入れの強さを共有しています。届いた作品を並べて展示してみると、その多種多様な個性に本当に圧倒されました。

過去と未来をつなぐ作品が250点
「コカ・コーラ」ボトルと新旧アーティストの、時を超えた競演
Kiss the Past Hello: Coca-Cola Invites Designers to Recreate Art Starring Its Iconic Bottle
#MashupCokeの審査員。左からティエリー・グエッタ(ストリートアーティスト、通称ミスター・ブレインウォッシュ)
ランス・ワイマン(グラフィックデザイナー)
ジェイムズ・サマービル(コカ・コーラ社グローバルデザインVP)
デクラ・ポランスキー(コカ・コーラ社グローバルデザインディレクター)
ノーマ・バー(グラフィックデザイナー、イラストレーター、画家)

──#MashupCokeは「コカ・コーラ」ボトル100周年キャンペーンが終わっても続くのでしょうか?
サマービル:もちろんです。展覧会に出品することがプロジェクトの最終形ではありませんし、展示場所や本のページ数に限りがあるからといって、私たちが全てをやりきったわけではありません。
将来的に何百点もの作品を集められると考えていますし、これらの作品が契機となって、新たな商品パッケージや関連製品、ライセンス事業が生まれることに期待しています。「コカ・コーラ」ボトルそのものと同様に、クリエイティブな発想は新しいデザイナーの独自の解釈を通して、何度でも生まれ変わることができるのです。
たとえば、「コカ・コーラ」アーカイブには赤いドレスを着た女性の有名なビンテージのポスターがありました。今回、あるアーティストがそのポスターに大胆な再解釈を加えたことが、当社の産業デザイン・イノベーションチームの新たな動きにつながっています。近いうちにその内容をお話しできると思いますよ。このプロジェクトには締切りも、作品点数の制限もないんです。