夏。それは、青い空の下、コカ・コーラの赤が映える季節。
夏。それは、恋の季節──。
暑くなるとコークが無性に恋しくなるように、
人はなぜ、夏に恋がしたくなるのでしょうか。
恋をするとカラダが熱くなるけど、
気温が高いと恋に落ちやすいなんてことはあるのでしょうか。
そんな「温度恋愛」のメカニズムを、
早稲田大学で恋愛学を教える森川友義教授に聞きました。
文=小山田裕哉
撮影=村上悦子

1.科学的事実として、恋愛感情は長続きしないもの


Q.恋をすると体温が上がる気がします。カラダに何が起きているのでしょう?
まず、恋をすると心拍数が上昇します。ドキドキ感やトキメキ感といったものは、恋愛をしたときに生じるものですが、その感情の高まりとともに体温も上昇します。「顔が火照る」というように、「恋愛はカラダ全体でしている」ということです。

Q.「一目惚れ」のプロセスとは?
恋愛のプロセスは五感でします。目で見かけを観察して(=視覚)、そこに合格すると話し始めて相手を詳しく“審査”します(=聴覚)。そこで気に入れば、お互いの距離を縮めて「親密ゾーン」に入り体臭を嗅ぎ合うことになります(=嗅覚)。誰もがこの3つの感覚で相手を“ふるいにかけている”わけなので、多かれ少なかれ、「一目惚れ」を入り口に恋愛は始まるのです。
ただ、この先にも審査項目はあり、次は手をつなぎ、お互いのバクテリアを交換することで自分にとってふさわしい人かどうかをチェックします(=触覚)。手をつないだときにもらったバイ菌が原因で病気になったりすれば、「もうその人とは会うな」というサインになりますからね。触覚が合格すると、キスという行為になり、バクテリアを直接的に交換することでお互いの相性を確かめ合います(味覚)。ここで五感すべてを使うので、キスの相性が良いと、感情が最大限に高まり、体温も一気に上昇します。つまりキスとは、五感をフル活用して相手を見定める“総合アート”ともいえるのです。

Q.恋愛を長続きさせるためには何が必要ですか?
残念ながら、科学的な事実として恋愛感情は長続きしません。「最大2年」といわれています。ドキドキ感やトキメキ感は心拍数を上げ、体温を上昇させます。これはマラソンを走っているのと同じ状態で、カラダにとって必ずしも良いことではありません。そこで健康になろうとする私たちのカラダは、ドキドキ感を下げようとしてしまうのです。したがって、2年を最大として、徐々に恋愛感情は下がってゆき、あとは愛情、愛着といったものへと変容していきます。もちろん、会う間隔がちょうど良かったり、相手が恋愛上手だったりすると(引いたり、じらしたりがうまい)、ドキドキ感を長く維持できることができるのですが、いずれ消えていくものであることに変わりはありません。