ボトルが「夢は叶う」と教えてくれた

ニナがボトルを海に投げ入れてから数週間後のこと。デニス・エイラーズと妻のデニーズは、ニューヨーク州ロングアイランド島のポートジェファーソンにある人影のないビーチを散歩していました。
エイラーズ夫妻とってビーチの散歩は、何十年にもわたって続けている習慣。何か珍しいものでも落ちていないかしらと探しながら歩いてみたら、1ドル札を、時には20ドル札を拾ったこともありました。そんな二人が9月のある日、海藻の山の中に見つけたのは1本の「コカ・コーラ」ボトルでした。
ボトルの中は海水でいっぱいになっていましたが、中に入れられた紙は傷んでいませんでした。興奮した二人はそれを家に持ち帰り、中の紙を取り出せるようにと、ボトルをしばらくの間ガレージに置いて乾燥させるようにしました。しかし数週間経ってもボトルの内側にしっかり貼り付いてしまった紙は取り出すことができませんでした。そこでデニスは仕方なく、ボトルを割ってルカニナの手紙を取り出すことにしたのです。
それからほどなく、ニナは、「Bottle」という件名のメールを受け取りました。そこには2枚の手紙をスキャンした画像が添付されていました。
デニスデニーズも、ルカニナのように手紙を書いてハピネスの輪を広げようと考えましたが、その時すでに10月、二人にとって浜辺を歩くには寒く、実行は春まで待とうと決めました。
拾った人がみな幸せになる
さすらいの「コカ・コーラ」ボトル

そして季節は巡り、デニスは家にあった「コカ・コーラ」ボトルに3枚の手紙と数粒のシーグラスを入れました。ボトルの首にリボンを結び、ニナが投げ入れたボトルを見つけたのとほぼ同じ地点から、新しいボトルを海に投げ込みました。
今のところ、ボトルはまだ海のどこかを漂っているようで、デニスのところに連絡は来ていません。
「ロングアイランド湾の潮流はところどころ変則的で、同じところを水がぐるぐると回り続けている箇所もあります」と、幼いころからこの海域でボートに乗っていたデニスは言います。そのため、ボトルは海底に沈んでしまうかもしれないし、何年か経って突然現れる可能性もあるとのことですが、「いずれ誰かが見つけると思いますよ」と彼は言います。
拾った人がみな幸せになる
さすらいの「コカ・コーラ」ボトル

何といっても、エイラーズ夫妻が発見したボトルは30キロ近くも海上を漂ってきたのです。ルカはそれがどこに打ちあがってもおかしくないと、わくわくしながら次の知らせを待っています。
一方ニナは、ルカが「ボトルはきっと誰かに見つけてもらえるだろう」と確信していたことに思いをはせ、今回の体験は、夢を見ることの大切さを教えてくれたと言います。「ハピネスは、早朝の浜辺で見つかることもあるんだと知りました。1本の『コカ・コーラ』ボトルによって見知らぬ人同士がつながり、多くの人を幸福な気持ちにしたのですから」と言う彼女は、自分の体験を友人たちにも語ることで、ハピネスの輪を広げようとしています。
ルカの母親であるトリッシュ・フスコは、ボトルを介したハピネスの輪がここまで広がりを見せるとは思っていなかったと言います。
「ボトルにメッセージを込めるたった10分の作業が、1年間わくわくし続けられることへとつながったのは素晴らしいことだと思います。そしてこの話を知った人々は、ありえないと思っていたことが現実に起こることもあると知って、そこから希望をもらっているのです。……でも息子は、自分のしたことがどれだけ大人たちを幸せにしたのか分かっていません。ルカはまだ子どもだから、そうした波及効果をすべて理解しているわけではないんです」とトリッシュは語ります。