6月17日、東京2020オリンピック聖火リレープレゼンティングパートナーを務める日本コカ・コーラは、「キミ色で、走れ。」をキャッチコピーに東京2020オリンピックの聖火ランナーの公募キャンペーンをスタートしました(2019年8月31日まで)。それに先駆けて行われた記者発表会に、コカ・コーラ・チーフ・オリンピック担当・オフィサーの北島康介氏が登場し、応募を呼びかけました。この記者会見後に、『Coca-Cola Journey』編集部では単独インタビューを実施。インタビュアーは、これまでも『Coca-Cola Journey』で北島氏の取材を行なってきたスポーツライターの細江克弥さん。対話を通じて見えてきたものは、1年後に迫った東京2020オリンピックへの北島氏の思い、そしてオリンピックを迎える私たちがどうするべきかのヒントでした。細江さんによる、1年後への期待感高まる記事をお届けします!

文=細江克弥
写真=松本昇大

 

■あっという間に訪れた「東京2020オリンピックまであと1年」という日

2013年9月5日、アルゼンチンの首都ブエノスアイレス──。

国際オリンピック委員会のジャック・ロゲ会長(当時)は、受け取った封筒からカードを取り出し、ひらりと反転させてその名を読み上げた。

「トーキョー」

日本の招致委員会メンバーは拳を突き上げ、抱き合い、言葉にならない声を発して興奮を分かち合った。待ち焦がれた「TOKYO 2020」の開幕まで、あと1年。あの日、あの瞬間に生まれたワクワク感とドキドキ感は、とてつもなく大きく膨れ上がっている。

「決まってからは、本当にあっという間でした。だけど、僕自身にとってはいろいろなことがあった時間でもありました」

この6年間をそう振り返るのは、4度のオリンピック出場で4つの金メダルと1つの銀メダル、2つの銅メダルを首にかけた水泳界のレジェンド、北島康介だ。

2016年4月、北島は目標としていたリオデジャネイロオリンピックへの出場に一歩届かず、そのキャリアに幕を下ろした。しかし以降もさまざまな立場から水泳を中心とするスポーツに携わり、また北島の現役時代をサポートしてきた日本コカ・コーラのチーフ・オリンピック担当・オフィサーとしても「東京2020オリンピック」の開催に向けて力を注いできた。

オリンピックでの金メダルを目指した水泳選手としての自分と、現役引退を発表して水泳選手ではなくなった自分。そして、次なるキャリアと向き合ってきた自分。この6年間について「いろいろなことがあった」と振り返る理由はそこにある。

「僕にとって、オリンピックは子どもの頃から夢の舞台でした。でも、初めて出場した2000年のシドニーオリンピックで、『俺もここで勝負できる』と実感することができた。あの瞬間から、“オリンピックがすべて”という気持ちで自分の人生を動かしてきました。興奮も、集中も、“オリンピック以上”はありません」

オリンピックの何がそうさせたのか。そう質問すると、北島は笑った。

「だって、オリンピックが世界で一番大きな舞台だから」

コカ・コーラ・チーフ・オリンピック担当・オフィサー北島康介氏が考える「1年後の東京2020オリンピックをどう迎え、どう楽しむか」

 

■その日に向かって日々を積み重ねている選手たちを、今から見守ってほしい

スーツ姿にもかつての“ギラギラ感”がにじみ出ているように感じるのは、今もなお、彼がスポーツ界の中心にいるからに他ならない。現役時代からのパートナーである日本コカ・コーラの“顔”を務める傍ら、マネジメント会社の経営者としても忙しい日々を送り、多くのアスリートから“兄貴分”として慕われている。

「ギラギラ感?  いやいや、まったく(笑)。特別な緊張感のある場所からはずいぶん離れているし、東京2020オリンピックを迎えるにあたって、自分自身に何かを期待する必要もありませんから。ただ、4度のオリンピックに出場した経験があるから、1年前を迎えた今の選手たちの気持ちを想像することはできる」

アスリートにとって、“開幕1年前”にはどんな意味があるのか。その質問の答えに、“応援する側”と“応援される側”の理想的な関係がある。

「1年前という区切りは、実は、選手にとってはあまり関係ないものなんです。置かれている状況はそれぞれに異なるし、出場が決まっている人もいれば、そうじゃない人もいる。結局、アスリートは目の前の1日を積み重ねることでしか前に進めません。ずっとそれを繰り返しているからこそ、“1年前”という区切りは必要ない」

そしてこう続けた。

「ただ、周りは違いますよね。“1年前”から期待値がぐんと高まるし、露出が増えて緊張感も増していく。アスリートはそうした雰囲気を肌で感じて、少しずつプレッシャーを感じ始める。でも、彼らにとって大切なのは“今”。応援する皆さんにお願いしたいことでもあるのですが、“1年後”に期待を膨らませると同時に、選手たちの今の取り組みにも目を向けてほしいんです。そうすることで、1年後の楽しみがもっと高まるはずですから」

 

■東京でオリンピックが開催されることへの誇り、そして期待

開催国や都市にとって異なる雰囲気は、大会ごとに変わるオリンピックの“色”を決定づける大きな要素だ。4度のオリンピックに出場した北島は、各大会における共通点と相違点についてこう話した。

「国や都市によって、オリンピックの楽しみ方、盛り上がり方は違うと思います。ただ、メダルが決する試合の緊張感や興奮はどの都市でも同じ。あの雰囲気だけは、どこに行っても変わりません。選手の立場で言うなら、やっぱりそれが大事。戦う環境さえ整っていれば、場所はどこでもいいと考える人だっていますから」

アスリートにとって最高の環境と、最高のパフォーマンス。そこに開催国や都市が醸し出す雰囲気のオリジナリティーが加わり、その大会に“色”がつく。それが人々の記憶に残ることで、オリンピックはその存在意義を示し続けてきた。

「1964年の東京オリンピックのことがいまだに語り継がれるくらいだから、今回も同じように、ずっと語り継がれるオリンピックになってほしいと思います。単なるビッグイベントじゃなくて、夢のある大会であってほしい。僕の孫の代まで『あのオリンピックはすごかった』と言われるような」

そのために必要なことは何か。東京2020オリンピックは何色だろう。

「いやあ、僕にはわかりません(笑)。日本人には日本人の“らしさ”があるけれど、今回のオリンピックで、それがどう表現されるのか想像もできない。ただ、僕自身は東京で生まれ育った人間だから、この街でオリンピックが開催されることを誇りに感じています。どんなオリンピックになるのか、楽しみで仕方がない」

世界を舞台としてきた北島だ。海の向こうからの期待感も感じている。

「楽しみにしているのは、僕たち日本人だけではありません。今の日本には本当に多くの魅力的なコンテンツがあって、『日本に行くのが楽しみ』という外国人はたくさんいるし、逆に簡単に来られる場所じゃないからこそ想像力が膨らむところもあると思います。『今の東京で開催したら、どんなオリンピックになるんだろう』と。そういう人たちに『東京って、やっぱり最高だね』と言ってもらえるような大会にしたい。僕はそう思います」

コカ・コーラ・チーフ・オリンピック担当・オフィサー北島康介氏が考える「1年後の東京2020オリンピックをどう迎え、どう楽しむか」

 

■日本コカ・コーラとともに歩んだ現役時代、そしてともに盛り上げる「東京2020オリンピック」

待ち焦がれた東京2020オリンピックの開催まで、あと1年。「東京2020オリンピック」を最高の大会にするために、“応援する側”の私たちがするべきことについて北島は言った。

「例えばオリンピック聖火リレーへの参加やボランティアなど、いろいろな関わり方があるけれど、何か特別な行動を起こさなくてもいいと思います。オリンピックに少しでも興味を持って、テレビ中継を観るだけでもいい。きっと、直前になれば東京以外の地域でも、いろいろな国の、いろいろな競技の選手が強化合宿を張ることもあると思います。もしそういう活動にかかわることができたら、一生の思い出になるかもしれない。関わり方は何だっていい。それぞれの楽しみ方で、思い切り楽しむことがベストだと思います」

北島自身は、チーフ・オリンピック担当・オフィサーを務める日本コカ・コーラとともに残り1年を過ごす。

「現役時代から日本コカ・コーラにサポートしてもらってきた僕が、今もこうして、日本コカ・コーラの顔として東京オリンピックを盛り上げる役目を与えてもらっている。子どもの頃から“オリンピック=コカ・コーラ”の印象が強い僕にとっては、それだけでかなりテンションが上がります。だからその役目を、しっかりと全うしたい」

そして最後に、笑顔を見せた。

「やっぱり、何となくでも選手の気持ちは分かります。これからどんどん緊張感が高まっていきます。ものすごいプレッシャーの中で自分と向き合い続ける。やっぱり、それをうらやましく思う自分もいるんですけどね」

コカ・コーラ・チーフ・オリンピック担当・オフィサー北島康介氏が考える「1年後の東京2020オリンピックをどう迎え、どう楽しむか」

〈プロフィール〉
きたじま・こうすけ/1982年東京都生まれ。5歳から水泳を始める。2000年、シドニーオリンピックに初出場し、4位入賞。4年後のアテネ2004オリンピックでは100m・200m平泳ぎで金メダルを獲得。北京2008オリンピックでも両種目で金メダルを獲得し、競泳での日本人唯一の2種目2連覇を達成。2012年、4大会連続出場となったロンドンオリンピックで4x100mメドレーリレーにて銀メダルを獲得。2016年4月の日本選手権で現役を引退。2011年にスイミングクラブ「KITAJIMAQUATICS」、2015年にはファンクショナルトレーニングやリハビリ、パフォーマンス向上において米国で優れた実績を持つ「Perform Better」の日本法人「Perform Better Japan」を設立。現在は東京都水泳協会の副会長を務める。(Photo:Kosuke Mae)

ほそえ・かつや/1979年神奈川県藤沢市生まれ。サッカー専門誌の編集記者を経て2009年に独立。スポーツライター・編集者として、サッカーをメインフィールドに、さまざまなスポーツを取材し、アスリートと向き合いながら執筆活動をしている。

 

【東京2020オリンピック聖火リレー 聖火ランナー公募キャンペーン】
東京2020オリンピック聖火リレーのプレゼンティングパートナーをつとめる日本コカ・コーラでは、6月17日から聖火ランナーの公募キャンペーンを展開中です。スマートフォンアプリ「Coke ON」を使ってたまる「コカ・コーラ オリンピック応援ポイント」で、オリンピック聖火ランナーに応募できます。対象製品のパッケージ表側に掲載された「コカ・コーラ オリンピック応援マーク」を、「Coke ON」アプリ内のカメラ機能でスキャンするか、「Coke ON」アプリを対応自販機に接続してコカ・コーラ社製品を購入することでもたまります。
締め切りは8月31日。詳細は、こちらの特設ページでご確認ください。https://team.cocacola.jp/