いつの時代も来客者への「おもてなし」に欠かせないのが飲み物ですが、
現在の東証1部上場企業のみなさんは、いったいどのような飲み物で
ビジネスパーソン=客人を「おもてなし」しているのでしょう?
みなさまに清涼飲料をお届けし続けるコカ・コーラ社が、
企業と飲み物と「おもてなし」の関係性を探るべく、
東証1部上場企業50社の広報担当のみなさまにアンケート調査を行ってみました!

文=星野一樹
イラスト=河井いづみ、Sander Studio


「お茶」と礼法の切っても切れない関係 

 営業、打ち合わせ、商談、面談・・・・・・。
 ビジネスパーソンが企業を訪れるケースはさまざまだ。そしてほとんどの場合、「おもてなし」の一環として出てくるのが飲み物で、企業の上役との面会ともなれば、女性社員が恭しい姿勢で「おもてなし」の飲み物を運んでくる。
 ともすれば、ビジネスシーンにおいて、当たり前のように受け入れてしまう「おもてなし」ではあるけれど、よぉーく考えてみると、素朴な好奇心がいろいろ湧いてくる。 

 飲み物は、いつ頃から「おもてなし」の必需品となったのだろうか?
 来訪者をもてなす際の礼法は、どこにルーツがあるのだろうか? 

 かつて大手都市銀行の本社ビルの中には、必ず茶室があったという。行員が礼儀作法を学ぶツールの一つに茶道があったということだろうが、そう考えると、企業の応接マナーは、武家社会の「茶の湯」の影響を受けている可能性がある。もちろん、江戸時代の町人文化の延長にあるとも考えられなくはない。いろいろな仮説は立てられる。けれど、どれもこれも確証はなし。うーむ、どうにも困った。そんなとき、である。一つの考えが頭に浮かんだ。 

 「そうだ、ビジネスパーソンに礼法を伝授している小笠原流礼法の宗家を訪ねてみよう!」 

 ということで、小笠原流礼法の宗家、小笠原敬承斎(おがさわら・けいしょうさい)さんに話を伺うことにした。ちなみに小笠原流礼法は、室町時代から約700年続く歴史と伝統のある礼法である。 

「相手への気遣いを形にすること」

 「小笠原流礼法は、室町時代の武家社会で確立しました。歴史をたどると男性社会から生まれたものですので、ビジネスの社会でも充分に活かせる心得です」

 そう話す小笠原敬承斎さん。敬承斎さんは、小笠原流礼法の歴史上はじめての女性宗家となった人。いま、小笠原流礼法では、代々伝わる古文書に基づき、直門をはじめとする多くの門弟が教育現場において指導にあたる一方で、ビジネスマナーの研修を企業で行うなど、伝統の中で培ってきたものを現代に活かすための活動もしているそうだ。 

 では実際に、宗家が教える“ビジネス礼法”とはどのようなものなのだろう? 

 「挨拶の仕方、名刺の受け渡し方など、いろいろなシチュエーションにおける礼法がありますが、近年はメールの書き方に関しても指導します。たとえば夜中のメールは携帯電話に転送されてしまう可能性があるから送信しない方がいいとか、限られたスペースの中でどうやって気持ちを伝えるか、とか。さらには、文章をどのようにレイアウトしたら相手が読みやすいかなど、です。いずれにしても、少しでも相手への気遣いを表すことが大切です」

 それでは、今回の企画のメインテーマとなっている「おもてなし」だが、小笠原敬承斎さんはどのように捉えているのだろう?  

 「企業の“おもてなし”というと、接客が思い浮かびます。接客の際は、必ず飲み物を提供しますが、お茶、紅茶、コーヒーなど、飲み物のすべては相手の右側に置くのが基本マナーです。たとえこぼしそうになっても右に飲み物があれば、日本人に多い右利きの人は危険をふせぐことができるという理由です。
 室町時代も現代も、心は変わりません。おもてなしの心がベースにあり、その“心”を形にすることが礼法です。それによって良い人間関係を築くことができれば、気持よく仕事ができるようになる。つまり礼法は、自分がハッピーになるための手段なのです」 

 たとえば、“心”を形にした小笠原流礼法の飲み物の出し方は、このようになるそうだ。

 図解 小笠原流宗家が教える、正しい飲み物の出し方

Coca-Cola Journey Special “Japanese Tea”
東証一部上場企業50社アンケート 
「あなたの会社のおもてなしの飲み物は何ですか?」

お茶をお盆にのせて入室し、いったんサイドテーブルにお盆を置きます。


Coca-Cola Journey Special “Japanese Tea”
東証一部上場企業50社アンケート 
「あなたの会社のおもてなしの飲み物は何ですか?」

次に、茶碗をのせた茶托(ちゃたく)を両手で持ち、訪問客の席まで運びます。
この時、指先はそろえましょう。


Coca-Cola Journey Special “Japanese Tea”
東証一部上場企業50社アンケート 
「あなたの会社のおもてなしの飲み物は何ですか?」

訪問客より高い位置から応対しないように注意します。
テーブルが低い場合は、相手より姿勢を低くしましょう。


 取材の結果、礼儀作法についてはさまざまな情報が得られたし、室町時代に礼法があったことから、同時代には「おもてなし」に繋がる概念があったのでは、と考えられたが、そのルーツについてのハッキリとした「解」は得られなかった。ただし、古来存在する礼法や茶道と企業のおもてなしの間につながる、うっすらとした線は見えたような気がする。 

 そして、小笠原敬承斎さんも語っていたように、おもてなしの必須アイテムに飲み物があることも認識できた。

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