東京2020オリンピック・パラリンピックの開幕まであと600日を切り、国民の期待感が徐々に高まってきました。一方で、世界中から人が集まることによる、首都圏の交通機関の混雑率の急上昇が懸念されています。
これを受け、東京都は小池百合子都知事のリーダーシップのもと、時間差出勤やテレワークを推奨する「時差Biz」というキャンペーンを一昨年からスタート。あわせて、混雑緩和や働き方の多様化促進に貢献した企業を表彰する制度も導入しています。
そしてこのたび、コカ・コーラシステム(*1)のスマートフォンアプリ「Coke ON」が、満員電車の混雑緩和に貢献したとして表彰されました。いったい、「Coke ON」のどんなポイントが評価されたのでしょうか?
『Coca-Cola Journey』編集部は11月27日に開催された授賞式に潜入し、「Coke ON」の取り組みをリサーチしました。

*1 コカ・コーラシステム……日本のコカ・コーラシステムは、原液の供給と、製品の企画開発・マーケティングを担う日本コカ・コーラと、製品の製造・販売を担うボトラー社や関連会社などで構成される。日本コカ・コーラは、ザ コカ・コーラ カンパニー(本社:米国ジョージア州アトランタ)の日本法人。

文=『Coca-Cola Journey』編集部
写真=村上悦子

 

■平均混雑率163パーセント! 魔の通勤ラッシュ解消に向けた「時差Biz」とは

祝・「時差Biz推進賞」受賞!IoTアプリ「Coke ON」が通勤ラッシュの解消に役立った理由とは?

 

11月27日(火)に開催された「第5回 快適通勤プロモーション協議会」の表彰式で挨拶する
小池百合子東京都知事

 

「2012年のロンドンオリンピック・パラリンピックでは、交通機関が混雑する時間帯以外の運賃を割引したり、テレワークを推進したりとTDM(交通需要マネジメント=Transportation Demand Management)に成功し、大きな功績を残しました。2020年、東京でも交通網の混雑緩和は大きな課題になってきます。出勤時間をずらしたり、フレックスタイム制やテレワークを積極的に導入することによって、快適な通勤の実現、生産性の向上につなげていければ」

とスピーチで語ったのは、小池百合子東京都知事。

2018年のデータでは、ピーク時における混雑率は東京圏で平均163パーセントとなっており、ワースト1位である東京メトロ東西線の混雑率は199パーセント(*2)。驚異的な数字です。

こうした混雑状況を緩和すべく、東京都では、一昨年から「時差Biz(ビズ)」というキャンペーンを推進しています。「時差Biz集中取組期間」に定められた夏季と冬季の数週間には、鉄道会社では臨時列車の増発やアプリなどによる混雑状況の“見える化”、ピークの時間帯を避けた通勤者へのポイント・特典付与など、混雑緩和に向けたさまざまな取り組みが行われました。また、一般企業からも参加を募り、各社、テレワークの推進や朝食の提供、柔軟に勤務形態を選択することができるフレックスタイム制の導入などのトライアルも行っています。

2018年7月9日~8月10日の集中取組期間の参加企業数は891社。2019年1月21日から始まる次の集中取組期間では、参加企業の目標を1,000社とし、「時差Biz」のさらなる普及に務めています。

*2 国土交通省「都市鉄道の混雑率調査結果」(2018年7月17日発表)より。

祝・「時差Biz推進賞」受賞!IoTアプリ「Coke ON」が通勤ラッシュの解消に役立った理由とは?

「第5回 快適通勤プロモーション協議会」の受賞企業ブースにて、
コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社がメディア関係者や企業に向けてキャンペーンの詳細を説明

 

2018年7月9日~8月10日の期間で実施された「時差Biz」には、コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社も参加。スマートフォンアプリCoke ONを活用したキャンペーンを行い、「時差Biz」の認知拡大に貢献しました。

Coke ON」は、対応のスマホ自販機で購入するたびにスタンプが付与され、スタンプが15個たまるとドリンクが一本無料になるというアプリ。この仕組みを利用し、「朝はゆったり、帰りはさくっと」をキャッチコピーに、通勤のオフピークにあたる午前5時から7時59分と午後5時から7時59分に「Coke ON」を利用して購入するとスタンプが2倍もらえる、というキャンペーンを実施したのです。

この期間中、キャンペーン時間帯の利用者は累計8万人を超え、2018年6月と比較し月平均の利用者が35%増加するという目覚ましい成果を残しました。

 

■約1,000駅で実施した最大規模のタイムサービス

そんな自販機タイムサービスの功績が認められ、コカ・コーラ ボトラーズジャパンは、「時差Biz」の普及啓発に資する取り組みを表彰する「時差Biz推進賞(プロモーション部門)」ならびに先進性・話題性に優れた企業に授与される「松本零士特別賞」を授与されました。

今回の取り組みの経緯について、コカ・コーラ ボトラーズジャパンの東京営業本部長 佐藤一仁は次のように語ります。

「東京2020オリンピック・パラリンピック開催時は、交通量の増加に伴い、道路や鉄道の大渋滞が予想されます。しかし、我々はいつも通り、お客様のもとへ滞りなく製品を届けなければいけません。都が推進する『時差Biz』はまさに、サービス維持に向けた環境整備のため、コカ・コーラシステムが真摯に取り組まなければいけない課題でした。そして、『Coke ON』のテクノロジーを使えば、時間差出勤やテレワークの推進に貢献できる、という確信がありました」

祝・「時差Biz推進賞」受賞!IoTアプリ「Coke ON」が通勤ラッシュの解消に役立った理由とは?

コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社 執行役員 東京営業本部長
佐藤一仁

 

とはいえ、いくら「Coke ON」アプリを普及させても、対応するスマホ自販機が駅に設置されていなければ、アプリを使用することはできません。設置先の鉄道会社との関係づくりや、既存の自販機からスマホ自販機への交換作業など、今回のキャンペーン実施に向けた入念な準備を進めてきたのが、コカ・コーラ ボトラーズジャパンで長く法人営業に携わってきた渡邉佳憲です。

もともと、渡邉は日本コカ・コーラのマーケティング本部と組んで、2017年に横浜市営地下鉄でテストを行い、タイムサービスの効果を実証していました。その成果をもとに、今回は参加企業14社、設置スマホ自販機1,400台、そして、設置駅を1,000駅に拡大し、満を持してキャンペーンを実施したのです。

「自販機の交換は、実はとても時間がかかるもの。駅は、特にそうです。駅で使用される自販機には、通常の自販機とは違い『PASMO』のシングルリーダー・ライターという鉄道各社指定の機能が必要で、それは発注から取り付けまで2ヵ月という期間を要します。そして、いざ駅で交換を行う際も、我々だけが赴いて作業する、というわけにはいきません。どの鉄道会社も、安全・安心を第一に掲げていますから、現場でのお客様の誘導や、立ち会いには細心の注意を払っていらっしゃいます。一社一社、企画の趣旨を説明して、ご賛同いただくところから丁寧に進めてきました」

と、渡邉は振り返ります。

祝・「時差Biz推進賞」受賞!IoTアプリ「Coke ON」が通勤ラッシュの解消に役立った理由とは?

 

コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社 東京ベンディング法人営業部 法人営業一課課長
渡邉佳憲

 

Coke ON」は現在1,100万ダウンロードを突破。2016年にサービス開始してからわずか2年足らずで、スマホ自販機の数は28万台に伸張しています。この急速な普及の背景には、地域の事業者と密接にコミュニケーションを取り、地道な環境整備を行ってきたボトラー社の並々ならぬ努力があるのです。

 

■IoTアプリが実現する、最先端の地域密着サービス

これまで、「Coke ON」でタイムサービスを行う際は、ボトラー社の支店スタッフが現地まで赴き、手作業でスマホ自販機の設定を変えていかなければなりませんでした。しかし、今ではすべて遠隔操作でポイント設定の変更を行うことができるようになっています。

「1,000駅の自販機の設定変更を、すべて手作業で行う、というのは無理でしたね」

と、自販機の設置・交換を指揮してきた渡邉は強調しました。また、佐藤も「Coke ON」の可能性について次のように語ります。

「『Coke ON』ではさまざまな設定ができますから、タイムサービスだけでなく、特定の地域のお客様にのみお知らせして、限定的なキャンペーンを行うこともできます。私たちの企業理念には、『みんなと地域の日々に、ハッピーな瞬間とさわやかさを』とありますが、まさに、この新しいテクノロジーによって、より地域に密着したサービスの提供が可能になっているんです。このタイムサービスの期間中、『Coke ON』の利用者数は35パーセントも増加しました。お客様に求められていたものを提供できた結果だと思います」

祝・「時差Biz推進賞」受賞!IoTアプリ「Coke ON」が通勤ラッシュの解消に役立った理由とは?

小池百合子都知事から賞を授与される佐藤。
松本零士特別賞」には、賞状のほか松本零士さんご本人から直筆の絵を贈呈された

 

Coke ON」というIoTアプリは、消費者により満足度の高いサービスを提供するだけでなく、鉄道の混雑という社会課題の解決の一助となることを、今回の「時差Biz」賞受賞によって実証してみせました。

さまざまな可能性を秘めた最新技術と、それを現場で駆使する「人」の情熱が生み出したイノベーション。これから、どのようにサービスが進化していくのか、期待が高まります。

祝・「時差Biz推進賞」受賞!IoTアプリ「Coke ON」が通勤ラッシュの解消に役立った理由とは?

さとう・かずひと / 1988年、東京コカ・コーラボトリング株式会社入社。マーケティングに携わったのち、数々の自動販売機会社で社長を歴任。現在はコカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社にて、執行役員東京営業本部長を務める。

わたなべ・よしのり / 1992年、東京コカ・コーラボトリング株式会社入社。羽田空港支店で初代所長を勤めたのち、現在まで鉄道会社の営業に長く携わる。現在はコカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社東京ベンディング法人営業部法人営業一課課長。