この夏から秋にかけて、大きな国際試合が国内で開催されるラグビーには、これまで以上に注目が高まっています。そんな中、日本コカ・コーラは、ラグビー日本代表のオフィシャルスポンサーとして、「コカ・コーラ」スリムボトル ラグビー日本代表ジャージーデザインの発売や、「ラグビー日本代表応援自動販売機」の導入など、ラグビームーブメントを盛り上げるべくさまざまな取り組みを実施中です。ぜひ、もっともっとファンが増えてほしい! そんな思いから、「ルールすらほとんど知らない」という超初心者でもラグビーの楽しみ方がわかるように、スポーツアナウンサーの淡輪ゆきさんに解説していただきました。

文=『Coca-Cola Journey』編集部
写真=村上悦子
イラスト=宮内大樹

 

スポーツアナウンサー淡輪ゆきさんに聞く、「ラグビー、こうして観れば100倍面白い!」

──今日は初心者のためのラグビー観戦ポイントを教えていただきたいのですが、そもそも淡輪さんはスポーツアナウンサーというお仕事としても、たくさんのスポーツを日々観戦してらっしゃいます。その中でも年間30試合以上も観戦するほど、ラグビーのことが好きになったきっかけとは?

実はラグビーに最初に触れたのは小学生の時だったんです。通っていた小学校にラグビー部があり、当時から「ほかのスポーツとちょっと違うな」と感じていました。それから高校生の時にラグビー部のマネージャーになって、本格的にどっぷりハマりました。

──ほかのスポーツとちょっと違う、とは?

これは私の印象ですが、サッカーやバスケットボールが華麗なテクニックでゴールを目指すスポーツなら、ラグビーはチームのために積極的に自分のカラダを相手にさらす、自己犠牲のスポーツだと思うんです。
ラグビーには「ONE for ALL,ALL for ONE」という言葉があるように、それぞれの役割を持った仲間たちが力を合わせ、「みんなで」ボールを敵陣にまで運んでいきます。エースが1人いてもだめなんです。チームの全員が試合の要であり、全員が主役になる。こういうスポーツはなかなかないですよ。

──しかし、ルールをちゃんと把握していない初心者が観ても楽しめるのでしょうか?

確かに、ラグビーには「ルールが複雑」というイメージがあり、それが観戦のハードルを上げてしまっている面はあります。でも、鍛え上げられた肉体がぶつかり合う迫力を生観戦で目の当たりにすれば、ルールを知らなくてもまず圧倒されるはず! 「ゴッ」とカラダがぶつかり合う時の「音」がすごいですからね。ただ、最低限のルールやポジションの役割を知ったうえで観戦すれば、もっと楽しんで見ることができます。

──知識ゼロの人でも、聞けばすぐ理解できる?

大丈夫です! まず、「ラグビーとは何をするスポーツなのか」という、そもそもの基本から説明しましょう。ラグビーとは、15人のチーム同士が相手の陣地に“ボールを持って”攻め込むスポーツです。この“ボールを持って”という点が最大の特徴ですね。

スポーツアナウンサー淡輪ゆきさんに聞く、「ラグビー、こうして観れば100倍面白い!」

攻撃ではチームが一丸となって敵陣に攻め込み、守備ではカラダを張って相手を自分たちの陣地に侵入させないようにする。その攻防のせめぎ合いを繰り返して陣地を広げ、ゴールを目指す。ある意味では「陣取りゲーム」みたいなスポーツです。だから、簡単にボールを前に運べないようなルールになっているんですよ。

──簡単にボールを運べてしまっては「陣取り」は面白くないですもんね。確かに、「前にパスを出してはいけない」というルールがあるとは聞いたことがあります。

そうです。もっとも試合中にある反則が、「前にパスを出す」というスローフォワード、それから「前にボールを落とす」というノックオンです。それをすると反則を取られ、相手ボールのスクラムからリスタートになります。そこでカラダをぶつけてボールを奪い合い、相手のディフェンスを突破してゴールラインまで持っていき、トライにつなげる。その攻防の迫力と面白さは、初めて観戦する人にもわかりやすいと思います。

スポーツアナウンサー淡輪ゆきさんに聞く、「ラグビー、こうして観れば100倍面白い!」

 

スポーツアナウンサー淡輪ゆきさんに聞く、「ラグビー、こうして観れば100倍面白い!」

──サッカーみたいに、キックでボールを前に運んではダメなんですか?

パスではなく、相手の陣地にボールを蹴り出して、それを仲間が追いかけるのはOKです。でも、先に仲間を走らせて、そこにパスを出すのはオフサイドになります。ラグビーを陣取りゲームとした場合、自分たちの陣地はボールよりも後ろ。ボールのある場所が自陣の最前線という考え方なので、その前に出てプレーに参加するのはダメなんですよ。
同じ理由で、密集状態の時でもボールがある位置の前や横からプレーに参加しようとするとオフサイドになります。必ず後ろからプレーに参加すること。ラグビーは「紳士のスポーツ」とも呼ばれますが、このようにルールによって、常に正々堂々と戦うように決められているんです。
キック自体は一気に自分たちの陣地を広げるための効果的な手段なので、これをいかに効果的に活用して陣地を取っていくかということは、試合の注目ポイントでもあります。ちなみに、ボールを持ってトライすると5点得点となります。加えて、コンバージョンキック(*1)のチャンスも与えられます。これに成功すると2点が加算されるので、1つのトライで最高7得点が可能です。

──それだけ“相手の陣地にボールを持っていく”ことは難しいというわけですね。得点方法はトライだけですか?

危険なタックルやオフサイドなど、重い反則があった時にはペナルティゴールを狙うこともでき、成功すれば3点が与えられます。プレーの流れの中で地面にワンバウンドさせたボールを蹴ってゴールを狙うドロップゴールも決まれば3点です。しかしディフェンスが迫ってくる中でのキックはリスクを伴うためあまり積極的に狙うことはありません。しかし、ハイレベルなチーム同士の試合のように膠着状態が続く時は、ひとつの戦略として狙っていくケースもあります。

スポーツアナウンサー淡輪ゆきさんに聞く、「ラグビー、こうして観れば100倍面白い!」

*1 コンバージョンキック......トライまたはペナルティトライの後に得られるゴールキック。

 

スポーツアナウンサー淡輪ゆきさんに聞く、「ラグビー、こうして観れば100倍面白い!」

──ラグビーの試合では、ボールを運ぶ選手がタックルされてから、何人もの選手が密集状態になって組み合うことがよくありますよね。初心者には、何が起こっているのかなかなか追いかけるのが大変で……。

まず前提として、ボールを持っている選手がタックルを受け、ボールを落とさず倒れた際は、即時にボールを身体から離して地面に置かなければならないというルールになっているんです。その時点から先に獲得した方のボールになるので、オフェンス、ディフェンス共に何人もの選手が殺到してボールの奪い合いが始まります。この状態を「ラック」といいます。ボールを持った選手が立ったまま密集状態になるケースを「モール」と呼びます。この密集状態からなかなかボールが動かないと試合が進まないため、審判の判断でスクラムに移行します。

スポーツアナウンサー淡輪ゆきさんに聞く、「ラグビー、こうして観れば100倍面白い!」

パワー自慢のチームであれば、密集した状態から力に任せてじわじわ攻め込むなんて戦法をとることもあります。反対にスピードに自信があるチームは、密集状態からうまくバックスにボールをまわして、一気に攻め込むことを得意にします。密集状態からどう攻めるか。そこにチームの色が出るんです。

──なるほど……ところで、バックスとは何でしょう?

ここでポジションの説明をしましょうか。15人それぞれに役割があるから複雑に見えますけど、最初は大まかにフォワードとバックスの2つの役割に分かれていると覚えてください。

スポーツアナウンサー淡輪ゆきさんに聞く、「ラグビー、こうして観れば100倍面白い!」

フォワードの8人はスクラムに参加する人たちです。カラダのぶつけ合いが主な仕事ですから、どのチームでも体格に恵まれた選手がフォワードになります。その最後方にいる「ナンバー8」はスクラム全体の動きを指示する花形のポジションとして知られています。バックスとの繋がりが深いこともあってディフェンス時もオフェンス時も責任重大ですので、キャプテンが多いのも、このナンバー8ですね。

そして、彼らフォワードがスクラムで確保したボールを後方で受け取って、トライを狙うのがバックスの人たち。スクラムに参加せず、フォワードが確保したボールをいかに得点に結びつけるか考え展開していくポジションです。トライにつなげる足の速さに加え、ディフェンスをかわす技術、パスやキックの精度といったスキル面で秀でた選手がそろいます。バックスの中でもチームの司令塔として要になるスタンドオフ(フライハーフ)は、ラグビー IQが高く判断力のある人が担います。

──なるほど。フォワード、バックスとはサッカーのように「攻め」と「守り」という分け方ではなく、役割として「前衛」「後衛」という分け方なんですね。

ええ。フォワードの選手が前衛としてカラダを張ってボールを確保し、その後ろにいるバックスの選手たちがスピードを活かしてトライに持っていく。これがラグビーの試合における大きな流れになります。点取り屋のエースだけが目立つのではなく、それぞれの役割がガッチリはまらないと試合には勝てない。そこがラグビーの奥深さですね。

スポーツアナウンサー淡輪ゆきさんに聞く、「ラグビー、こうして観れば100倍面白い!」

 

スポーツアナウンサー淡輪ゆきさんに聞く、「ラグビー、こうして観れば100倍面白い!」

──淡輪さんが観戦している時に、思わず力が入ってしまう場面はどこですか?

挙げだしたらきりがありませんが、オススメの熱いシーンは、ゴールラインの手前でのスクラムです。フォワードの力で押し込むことも、バックスがディフェンスを1枚かわすだけでトライもできちゃう距離ですから、攻めるほうも守るほうも組んだ時の緊張感が違うんです。観客席までビンビンに伝わってきます。その張り詰めた空気の中、ディフェンスの一瞬のスキを狙って飛び込みトライに成功した時の快感ったらないです! 興奮し過ぎて鳥肌立ちますし、思わず叫んでしまいます(笑)。

──最初に「選手がぶつかる音に圧倒される」というお話があったように、やはり会場での生観戦は感じるものが違いますか。

そうですね! ラグビー初心者さんほど、まず会場での生観戦をおすすめします。たとえルールがわからなくても、自分が傷つくこともいとわず仲間のために戦っている選手たちを見ると、不思議と「私にももっと出来ることがある! もっと頑張れる!!」って気持ちになるんです。2015年のワールドカップであれだけたくさんの人が熱狂したのは、ラグビーのそんなパワーを感じた人がたくさんいたからだと思います。会場で観戦すれば、選手たちの“熱”がダイレクトに伝わってくるし、絶対に元気をもらえます。
もうひとつ楽しく観戦するアドバイスをするとしたら、これはラグビーに限らずですが、“推しメン”を見つけること! そこで気になる選手を一人でも見つけて、その人を追っていけば、自然ともっとその選手のこと、ラグビーのこと、詳しく知りたくなりますよね! 細かいルールやポジションごとの役割の違いを覚えるのは、そのあとでもいいんです。

スポーツアナウンサー淡輪ゆきさんに聞く、「ラグビー、こうして観れば100倍面白い!」

それから、最後に大事なことをお伝えしたいです。ラグビーには「ノーサイド」というスピリッツがあります。どれだけ激しい試合をしても、終わったら敵味方なく、お互いを讃え合う。素敵な精神ですよね。
女性からしたらラグビー選手はカラダが大きくてもしかしたらょっと怖そうに見えるかもしれませんけど、ラグビーは「紳士のスポーツ」であり、精神的にもみなさんイケメンな方ばかり! ラガーマンって、かっこいいんです。ラグビーって最高なんです。

──なるほど。お話を伺って、試合を観たい気持ちがますます盛り上がってきました! ラグビー日本代表のオフィシャルスポンサーである日本コカ・コーラでも、「コカ・コーラ」スリムボトル ラグビー日本代表ジャージーデザインを発売しているほか、自動販売機に日本代表選手たちの写真をデザインした「ラグビー日本代表応援自動販売機」の設置も全国で進めていますので、ぜひみなさんと一緒に応援していきたいと思います! 淡輪さん、今日はありがとうございました!

スポーツアナウンサー淡輪ゆきさんに聞く、「ラグビー、こうして観れば100倍面白い!」

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スポーツアナウンサー淡輪ゆきさんに聞く、「ラグビー、こうして観れば100倍面白い!」

〈プロフィール〉
たんのわ・ゆき / スポーツキャスター。1992年10月10日生まれ、東京都出身。ソチ2014パラリンピックで現地キャスターを経験したことをきっかけにスポーツの魅力に染まる。プロ野球やBリーグの中継リポーターを務めながら、プライベートでは年間さまざまなスポーツを100試合以上観戦する。中でも高校時代マネージャーをしていたラグビーは、毎年30試合以上現地で生観戦するほど大のラグビー通。ラグビーワールドカップ2015の際は、BSNHKの特番で“ラグビー大好きリポーター”として試合や選手の魅力を伝えた経験を持つ。