文=コカ・コーラジャーニー オーストラリア

身体障がい者だからこその「壁」

イーサン・リアードは大きな夢を持っています。「いつかパラリンピックに行きたい。オーストラリア代表としてパラリンピックに出場するんだ」という夢です。
しかし多くの場合、イーサンのような少年がパラリンピック競技に取り組むのは簡単なことではありません。そもそも障がい者スポーツを行える施設が少ないこととか、施設までの移動が困難なこととか、高価な器具が必要なこととか……、スポーツに参加できるようになるまでには数々の壁が立ちはだかってくるからです。
今では輝かしい実績を誇るパラリンピック選手の多くも、競技場に出てプレーできるようになるまでには大変な思いをしてきました。オーストラリアを代表する車椅子バスケットボール選手のブライディ・キーンも、10歳代のころにそんな苦労を味わった一人です。
「15歳のときにバスケットボールを始めました。……それまでは学校の体育の授業や部活動に参加しようにも、義足で走ることが難しく、皆にほとんどついていけなかったんです」とブライディは語ります。
さらに彼女はこう続けます。「15歳で車椅子バスケットボールを始め、以前より体を活発に動かすことが増えたおかげで、より健康になりました。そして、自分に自信が持てるようになったんです。スポーツがきっかけで、それまで想像できなかったほど多くのチャンスが巡ってくるようになりました」。
ブライディが勝ち取ったチャンスの中でもひときわ輝いているのが、パラリンピック競技大会での成績です。彼女は車椅子バスケットボールのオーストラリア女子代表チーム「グライダーズ」の一員として、2008年の北京大会で銅メダル、2012年のロンドン大会で銀メダルを獲得しました。ただ、成績が輝けば輝くほどこれほどまでに優秀なスポーツ選手になる能力を秘めていたブライディが、子供時代には能力を発揮する機会に恵まれなかったという事実に心が痛みます。10歳代半ばで車椅子バスケットボールと出会わなければ、ブライディはスポーツをするチャンスそのものを失っていたかもしれないのです。

コカ・コーラ オーストラリア基金が支えるもの

イーサンのようなアスリートを目指す少年少女を応援するべく、オーストラリアのパラリンピック委員会は、コカ・コーラオーストラリア基金の助成を受けて「Get Involved※」プログラムを立ち上げました。このプログラムは、障がいを持った子供たちがスポーツに参加する機会を広げるためのさまざまな活動を実施しています。障がいを持つ子供や若者は誰でも(パラリンピック出場を望んでいるか否かに関わらず)、パラスイミング、ボッチャ、パラ卓球、車椅子バスケットボール、パラサイクリング、パラアスレチック、ゴールボールといった各種スポーツに「Get Involved」プログラムを通して挑戦することができるのです。
オーストラリアのパラリンピック委員会でCEOを務めるジェイソン・ヘルウィグ氏は語ります。「私たちは18種類のパラリンピック競技を通した活動の中で、スポーツが障がいを持った人の健康と社会生活にどれほど前向きな影響を与えるかを実感してきました。もっと多くの若者がパラリンピック競技への参加を目指し、その能力を最大限発揮できるように支援していくことが私たちの役割です」。
ブライディにとって「Get Involved」はまさに、子どもの頃に出会いたかったプログラムです。「スポーツを始めたばかりの頃に、こんな仕組みがあったら素晴らしかっただろうなと思います。早い時期からスポーツを始められれば、選手としてのレベルも上がりますし、そうでなくても自分で楽しむことができますから」と彼女は言います。

「自分の才能を信じられる」幸せ

冒頭で登場したイーサンの母親、カトリーナは、息子が他の大勢の子どもたちと共通の体験をできること自体がとても大切だと考えています。「イーサンにとっては、『誰にも負けない』と思えるものを見つけることがすごく大きな意味を持っています。この子はスポーツをするとき、心の中で障がいのない友達とも競争しているんです。イーサンには、自分の才能を信じられること、そして力を伸ばしていけると実感できることが本当に重要なんだと思います」と彼女は語ります。
2016年のリオデジャネイロ大会は、彼が活躍するには早過ぎるかもしれませんが、その次の2020年の東京大会はちゃんと視野に入っています。これからのイーサンの活躍に期待しましょう!
Get Involved = 「参加しよう」という呼びかけ