文=ウィット・ウェルズ

 

■今年の「コカ・コーラ」キャンペーンは、名前にあわせたオリジナルCMソング@米国

コカ・コーラ社は、ラベルに個人の名前が印字された「コカ・コーラ」の“ネームボトル”を世界各地で販売しています。ネームボトルの販売を核に据えた「Share a Coke」キャンペーン(*)は、6年前にオーストラリアで始まり、その後世界各地で展開され、米国でもこれまでに、1,000以上のバリエーションのネームボトルが販売されてきました。ラベルに印字される名前の数は年々増え続け、近年では名字もバリエーションに組み込まれています。

コカ・コーラ ノースアメリカ(北米事業)で統合マーケティングコンテンツ部門を担当するケイト・サントーレによると、もともと、このキャンペーンの構想は、米国人の名前のバリエーションの豊富さに着目したことから生まれたそうです。

そして、過去6年にわたるキャンペーンの成功を受ける形で、今年は米国で、“消費者一人ひとりのための『コカ・コーラ』”というキャンペーンのコンセプトをさらに一歩進めることになりました。広告代理店Fitzco/McCannと共同で、米国でメジャーな名前を用いた、1,000を超えるパターンのCMソングを制作したのです。

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その数1,000パターン以上! “あなたの名前入り”「コカ・コーラ」CMソング

 

■「Share a Coke」のシェアがトレンドに

当初コカ・コーラ社は、2017年の「Share a Coke」キャンペーンの開始を告げるために、名前入りのキャッチーなCMソングをラジオで流そうとしていました。しかし、キャンペーンの対象となるすべての名前入りのCMソングをラジオで放送するのが不可能であることは、誰の目にも明らか。

そこで、CMソングがラジオで流れ始め、ツイッターやフェイスブックなどのSNS上で盛んに話題にのぼるようになったのを見計らって、コカ・コーラ社は完成した1,000以上の歌を専用のウェブサイトShareacoke.comで一斉に公開しました。ユーザーがこのサイトで自分の名前を検索バーに入力すると、その名前のオリジナルCMソングを聴くことができるようになったのです。

「このアイデアには自信がありました。サイトのオープン前にFitzco/McCannのチームと私は、何時間もかけて、すべてのCMソングの歌詞を一言一句確認しました。膨大な量だったため簡単な作業ではありませんでしたが、楽しかったですよ。そして今、わくわくしながら『コカ・コーラ』ファンの反応を見守っています」(サントーレ

消費者が店頭で自分の名前が印字された“ネームボトル”を手に取ったとしても、その名前専用のCMソングが存在しているということまでは、なかなか気がつきません。結果的に、このキャンペーンの認知拡大にはSNSが大きな役割を果たすことになりました。SNS上でキャンペーンの話題が爆発的に拡まった数日後には、「コカ・コーラ」ブランドの最も著名なアンバサダーの一人であるラジオ司会者でDJのライアン・シークレストが、自分の名前入りCMソングをツイッター上で紹介。これがキャンペーンの拡散にさらなる拍車をかけました。

動画:「ライアン」のためのCMソング

 

■人と人をつなぐのが「コカ・コーラ」の役割

コカ・コーラ社のブランドディレクターを務めるエヴァン・ホロドは、キャンペーンの成功要因を次のように分析します。「このキャンペーンは『Share a Coke』という名の通り、 “シェア”という行為がコンセプトの大きな柱となっています。だから、SNSとの親和性がとても高いのです。ラジオ放送でCMソングを流すということも素敵なアイデアではありましたが、SNSを介して消費者が互いの歌を共有してくれたことは、私たちの狙いにも合致していますし、意義深い現象だと思います。人と人をつなぐことが、『コカ・コーラ』の役割の一つですから」。

ホロドはここ数年、キャンペーンに対する消費者の反応を楽しみながら観察してきたと言います。「嬉しい驚きだったのは、消費者が自分の名前入りのCMソングを探すのと同じくらいの時間を、家族や友人の名前の検索にも費やしていることですね。これはブランドにとって喜ばしいことですが、米国にとっても素晴らしいことです」。

ちなみに、今回CMソングがつくられなかった名前を検索バーに入力した場合、検索結果には「Sorry(ごめんなさい)」という言葉が表示されますが、そのときも専用の歌が流れます。ウェブサイトを訪れた全員に対して特別なものを届けたいという、キャンペーン担当チームのホスピタリティの表れです。

「クリスマスやオリンピックのときの『コカ・コーラ』キャンペーンは定番となっていますが、それと同じように、『Share a Coke』も定番キャンペーンに育ってきているのを感じます」と、ホロドは最後に語ってくれました。