テクノポップユニット「Perfume」の舞台演出のテクニカルサポートや、
2020年東京オリンピック招致プレゼンテーションへの参加、そして、
「世界に1台だけの自動販売機」のPOWERADEブランドでの日本コカ・コーラとの共同開発など、
いま、日本中の注目を集めているクリエーター集団「ライゾマティクス」。
そんな彼らに「イノベーティブ(革新的)だと思うモノ」を
8つ選んでいただきました。

文=平井莉生/『Coca-Cola Journey』編集部
写真=若原瑞昌@D-CORD(人物)


──「変革する」、「刷新する」という意味の動詞「innovate」の名詞形である「innovation(イノベーション)」。新しい技術や、それを活かす方法を開発し、業務プロセスや組織などを改革して、社会的に意義のある新しい価値を創造する活動全般を指す言葉です。今回は、まさしく新しい価値を創造し続けていらっしゃるライゾマティクス代表取締役の齊藤精一さんとプロジェクトマネージャーの清水啓太郎さんに、「イノベーティブだと思うモノ」を8つ選んでいただきました。

齊藤精一(以下、齊藤) なかなか難しかったです(笑)。

清水啓太郎(以下、清水) 難しかったけど、技術とアイデアが集結した最新製品や、会社の新しい取り組み、ウェブシステム上のツールなど、いろんなタイプが選べて楽しかったですよね。

齊藤 うん、楽しかった。

清水 それじゃあ順番に紹介していきましょうか。まずは“風変わりな眼鏡”から。


“すでにあるモノ”に新しい技術を組み合わせた眼鏡

8 Innovations Selected by Rhizomatiks
ライゾマティクスが選ぶ「8」個のイノベーション
眼鏡に内蔵されたBluetoothによりスマートフォンの専用アプリと連動。
オフィス、ドライブ、フィットネスの3つのシーンに応じて、
リアルタイムデータを表示・管理することができる。2015年春発売予定

齊藤 最初にご紹介するのは、ライゾマティクスが眼鏡メーカーの「JINS」さんの開発をお手伝いした新しい眼鏡です。

清水 “自分を見る”というコンセプトで開発されたこの製品は、Google glassなどのディスプレイを搭載したいわゆるウェアラブルデバイスとは全く違い、見た目はごく普通の眼鏡です。しかし実は、3点式眼電位センサーと、3軸加速度センサー、3軸ジャイロ(角速度)センサーを搭載しており、それらで眼球の動きを追うことで、仕事中の眼の疲労度や、運転中の眠気などを計測・警告できます。眼鏡自体は所有者の眼球の動きから得られるデータのインプットデバイスに徹していて、データのアウトプットはスマートフォンなどのデバイスを活用します。開発者向けにAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)をオープンにしたことで、自社だけでなく、誰もが「JINS MEME」のプラットフォームを活用したアプリやサービスなどを開発することも可能となります。

齊藤 今年はウェアラブル元年と言われて、さまざまなウェアラブルガジェットが発表されていますが、僕たちは、本当にデイリーユースできるものをつくりたかった。そのためには、今すでにあるモノに技術をプラスして、使った人にベネフィットが生まれる体験や情報を生み出すことが必要でした。この「JINS MEME」は、それまで“4点式”だった眼電位センサーを左右のこめかみ部分と鼻筋部分の“3点式”に改良することができた。そうすることによって、通常の眼鏡同様の掛け心地を維持したまま、新しい機能を持たせることができたんです。

清水 眼鏡メーカーが企業として発展していくためには、フレームやレンズの価格を安くして、お客さまにたくさん買い替えてもらうしかないのではないかと思われていました。しかし、これからはもっと新しいマーケットも開拓する必要があるという危機感が、今回の眼鏡の開発の根底にはあるんですね。その結果として誕生したのが、眼鏡は買い替えずとも、ソフトウエアはどんどんアップデートされていく、今回の製品でした。

齊藤 とにかく眼鏡をかけるだけで、その人の身体の状態を表すデータが取れるというのは凄くイノベーティブですよね。医療技術の中だけで閉じていたものを、一般製品に活かしたというところにもロマンを感じます。

齊藤 じゃ、次にいきましょうか。
清水 これまたゴルフ用品業界に激震が走った製品でした。