1本1200万円! 完全オーダーメイド設計のゴルフシャフト

8 Innovations Selected by Rhizomatiks
ライゾマティクスが選ぶ「8」個のイノベーション
航空宇宙開発事業で培った超高精度技術でつくられた
研削レス、塗装レスのカーボンゴルフシャフト。
最高級のモデル「premium」は1200万円(税抜)

齊藤 「THE BEST AD IS NOT AD. (一番すばらしい広告は広告ではない)」という言葉がありますが、技術ベースであれ、機能ベースであれ、本来広告する対象であるプロダクトの開発をクライアントと一緒にできれば、プロダクトの存在そのものが広告になるのではないか、と思っています。

清水 Appleのデバイスもそうですよね。iPhoneやiPadなど、美しく、機能的なデバイスの数々が「広告塔」そのものになっています。

齊藤 これから紹介する「セブンドリーマーズラボラトリーズ」も同例です。この製品の登場で、一気に会社名が知られるようになりました。

清水 「セブンドリーマーズラボラトリーズ」は、軽くて熱に強く、精度が高い炭素繊維プラスチック(カーボンFRP)の製造開発技術を用いて、(小惑星探査機『はやぶさ』プロジェクトなど)主に宇宙開発事業の分野で活躍してきたメーカーが母体になっています。このように、業務用分野(B to B)でのビジネスが主だった彼らが、一般消費者向けに、オートクチュール(完全オーダーメイド設計)のゴルフクラブを開発し、製品化したのです。

──製品にはどんな特徴があるんですか?

齊藤 ゴルフをやったことのある人ならわかると思うのですが、ゴルフで大切なのは、正確なスイングをどれだけ反復できるかということ。ところが、人間は感情の揺れがあったり、動作の微妙なクセや体型の特徴があったりして、スイングした際のインパクトがずれてしまうのです。そのようにならないために、予め注文者のクセや特徴をデータ解析してカーボンの繊維質の方向を変えることで、シャフトのしなりを調整してしまうというところに特徴があります。

清水 これほどのオーダーメイドは、いままでなかったんですね?

齊藤 はい。この製品が発表されたとき、「(宇宙開発事業で技術力を磨いてきた)本物がきたぞ」とゴルフ用品業界が揺れたんです。で、すぐさま一般消費者の間でも話題になり、かなり売れているそうです。高いのに……。

清水 いくらですか?

齊藤 安いもので12万円、高いもので1200万円。

清水 1200万円!!

齊藤 航空宇宙分野では、安全性を確保するために、寸法精度をはじめ全ての要求基準が一般のモノづくりのそれをはるかに上回ります。そんなB to B用に磨いてきた究極のモノづくりの技術を、一般消費者向けのゴルフクラブに応用したところがイノベーティブですね。


次世代のwebコンテンツプラットホーム「WebGL」

8 Innovations Selected by Rhizomatiks
ライゾマティクスが選ぶ「8」個のイノベーション
特別なプラグインやライブラリを必要とせず、
対応ブラウザさえ手元にあれば3Dレンダリングが行なえる技術「WebGL」は、
ライゾマティクス制作のHPseven dreamers laboratories」でも使用されている

清水 ライゾマティクスの開発チームは常に、webのコンテンツをつくる上で何が最新の表現力なのかということをずっと探求してきました。最近までリッチな表現をする場合、flashで3D画像を制作するなどしてきたのですが、flashに非対応のAppleのデバイスの普及に伴い、業界的にflashは廃れてしまいました。その代わり、WebGLというプラットフォームがリッチな表現を実現する手段として定着してきています。何もかも3Dにすれば良いというわけではありませんが、オンスクリーンメディアの表現の可能性を広げてくれるという意味では、今後ますます面白くなってくると思います。

齊藤 結局、技術ってまだ掘っていない穴をできるだけ深く掘って、それが掘り終わったら次に行く、ということだと思うんです。たとえばテレビ。3D対応が出たと思ったら次は4K解像度、その次は8K解像度……という風にドングリの背比べのような競争を行って、今はもうやりつくした感もあります。ただし、WebGLは、まだまだできることがたくさんある。主にゲームで使われていたのが、広告として使ったらどうだろう、教育用に使ったらどうだろうということがまだまだ考えられるわけです。WebGLはこの業界のゲームチェンジャーになっています。

清水 webと言えば、あれにも触れないと、ですね。

齊藤 そうですね。次にいきましょう。