ロングライフデザインという思想を売る姿勢が革新的

8 Innovations Selected by Rhizomatiks
ライゾマティクスが選ぶ「8」個のイノベーション
2013年にオープンした、D&DEPARTMENTとして9店舗目、
直営店としては3店舗目となる福岡店。
福岡の「ロングライフデザイン」を掘り起こし、伝え、学ぶ場を展開する

清水 僕らはデジタル領域を使う仕事が多いですけれど、店舗のブランディングなど、リアルな体験も大切にしています。

齊藤 プロジェクトに取り組む際はガチンコで話し合うし、ガッツなら負けないし(笑)。デジタルを使うけれど、人間はアナログ。

清水 ここでご紹介する「D&DEPARTMENT PROJECT」は、各都道府県の意思あるモノづくりの姿勢、そして、「良いものを大切に、長く使って暮らそう」というライフスタイルをキチンと地元に伝えながら商品を売るセレクトショップです。同プロジェクトの代表・ナガオカケンメイさんは、その店舗を全国47都道府県につくろうと、日々奔走しているんです。このプロジェクトの意味するところは、大量生産・大量消費で発展してきた日本のモノづくりへの警笛でもあります。僕らと仕事のベクトルは違いますが、モノが溢れた豊かさを通過したいまの日本だからこそ、ナガオカケンメイさんの取り組みはイノベーションだと思います。

齊藤 ナガオカケンメイさんに地方のおいしいお店を教えて欲しいと言うと、「あそこのトンカツ屋がうまかったんだよ」なんて教えてくれるんですけれど、本当に足を使って自分で確かめているんだなって驚かされます。その泥臭さは、僕らも近いところがあるなと思っているんです。ライゾマティクスはデジタル/バーチャルという印象が強い方もいると思うのですが、実は、デジタル体験を通じて人が行動し始めるような、フィジカル/リアルな体験を生み出すようなクリエイティブを大切にしているんです。

清水 リアルと言えば、次にご紹介するのはどのご家庭でも目にするものです。

齊藤 あの扇風機ですね。


徹底的にディテールに拘った扇風機

8 Innovations Selected by Rhizomatiks
ライゾマティクスが選ぶ「8」個のイノベーション
特許技術の二重構造の羽根「グリーンファンテクノロジー」による自然界の心地よい風を再現。
最新モデルの「Green Fan Japan」は、首振り機能、最小1.5Wの省エネルギー設計など、
細部までブラッシュアップされている

清水 改善の余地がないと思われていた扇風機というプロダクトを見つめ直し、イノベーションを起こしてしまう発想力と実行力は素晴らしいです。Dyson社のファンのない扇風機も衝撃的でしたが、BALMUDAさんは、日本のモノづくりの力を示してくださった素晴らしい会社だと思います。

齊藤 「Green Fan Japan」は、見た目は普通の扇風機なのに、驚くほど静かで、風力も充分。

清水 すでにあるものを綺麗にして、シンプルにして、使いやすくする……ということを考えるのが、日本人のデザイナーの優れている部分なのではないでしょうか。ディテールを詰めていくという特技は、今後、日本のデザインがイノベーションを起こしていくときの、ひとつの重要な要素になっていくことは間違いないですね。僕たちは、見たことのないものをつくりたいという思いがありますけれど、一方で、すでにあるもののデザインと性能の精度を高くするということも、今後取り組まなくてはいけないことのひとつだと考えています。

齊藤 今回は『Coca-Cola Journey』さんの取材でしたよね? 

──そうです。

齊藤 それじゃあ、最後に選ぶのは「パワーアワード・マシン」しかないでしょう。

清水 お約束で(笑)。