ビル・キッチンが設計したPolercoasterの完成予想図

文=ジョン・シアルス


絶叫アトラクションの仕掛人の素顔とは?

ジェットコースターや観覧車など、数々のアトラクションをそろえるテーマパークが世界中で人気を博しています。テーマパーク運営企業の国際団体 Themed Entertainment AssociationTEA)によると、世界の主要なテーマパークには毎年約4億人の来場者があり、その数は年々増え続けているそうです。

来場者を楽しませる仕掛けなしには、これほどまでの人気は維持できません。そのことを意識しつつ、今回私たちは、テーマパークでのスリリングな体験の提供を生業とする人物に取材をすることにしました。

取材したのは、絶叫マシンの設計会社、U.S. Thrill Ridesの創業者であるビル・キッチン(62歳)。この仕事を始めたきっかけや、米国大統領にスカイダイビングを指導した経験、そして最新かつ世界一の高さとなる予定のジェットコースター、Polercoaster(別名The Skyscraper)の発想源について話を伺いました。

──絶叫マシンの設計とは非常に珍しい職業ですが、どのような仕事なのか聞かせてください。

ビル:地元フロリダの新聞は、私のことを“inventioneer”(『発明』+『エンジニア』の造語)として紹介していますが、この表現は私の仕事を的確にとらえていると思います。みんなが楽しめて、いつまでも記憶に残るような体験を思い描き、それを現実のものにしていくのは私の仕事ですから。

──現在の仕事を始めたきっかけはどのようなものですか?

ビル: 40歳になるまでの私は、放送業界に身を置き、冒険的なことは一切やらない極めてローリスクな生活を送る人間でした。しかし、 40歳になるのを機に自分の人生を変えるような体験をしたいと思い、誕生日当日に初めてのスカイダイビングに挑戦したのです。

パラシュートを背負って飛行機から飛び出した瞬間、そのスリルの虜になりました。空中を落ちていきながら、自分の中からアドレナリンが湧き出てくるのを感じました。それ以後、私は暇さえあればスカイダイビングをやるようになり、さらに熱気球、航空機でのアクロバット飛行といったほかの刺激的な体験にも挑戦するようになりました。
世界一の恐怖と興奮を体験できる
ジェットコースター設計者に
インタビューしてみた

ビル・キッチンは、米国第41代大統領のジョージ・H・W・ブッシュ
スカイダイビングを指導したこともあります



──個人的な趣味としては想像できますが、どのようにして「プロ転向」、つまり絶叫マシンの設計に乗り出したのでしょうか?


ビル:スカイダイビングで極端な興奮を味わうことが増えていくにしたがって、私はジェットコースターなどの絶叫系のアトラクションを見るたびに、どうすればそれをさらに改善できるか考えるようになりました。さらなる恐怖と興奮をもたらし、かつ、効率的で安全なマシンを設計することを考えずにはいられなかったのです。

ある時点で、頭の中にあまりに多くのアイディアが泳ぎ回っているのを放っておけなくなり、エンジニアを集めて図面を引いてみることにしました。それが後に、私の初の作品であるSkyCoasterにつながりました。その次にできたのがIFLYで、これは世界で最も高い人気を誇るアトラクションに育っています。

──それらのマシンでは、一体どのような体験ができるのでしょうか。

ビル:SkyCoaster(テーマパークによってはRipcordやXtreme SkyFlyerとも呼ばれています)は、安全なバンジージャンプです。一度に1人~3人で命綱を装着してウィンチでタワーの上まで運ばれ、地面に向かって落下し、ケーブルの反動で上下動を繰り返しながら徐々に減速して止まります。世界中の120を超えるテーマパークに設置されており、お客さまに非常に楽しんでいただいています。

IFLYは、航空機やパラシュートなしで、空を飛んでいるかのような感覚をもたらしてくれる風のトンネルです。人体が自由落下する場合の最終速度と同じ、時速約200キロで吹き上げてくる風に乗ることによって、スカイダイビングのような感覚が得られます。

──米国大統領にスカイダイビングの指導をされたこともあるそうですね。

ビル:はい、ジョージ・H・W・ブッシュ元大統領に指導をさせていただきました。大統領が私の設計した施設で学ぶ様子を見るのは非常にわくわくする体験で、身に余る光栄でした。

──最も自慢したい作品はどれですか?

ビル:今のところ、一番誇りに思っているのはIFLYです。でもそれ以上に期待しているのが、最新作のPolercoasterですね。

──Polercoaster(別名The Skyscraper)の発想はどこから生まれたのでしょうか?

ビル:まず、私たちはいつも、以前に提供したものと全く異なる新しい体験をつくり出したいと考えています。一方で、絶叫マシンは広大な面積を必要とするにもかかわらず、建設地の土地面積が制約されてしまうという現実的な課題があります。ラスベガス・ストリップやアトランティックシティといった混み合う市街地では、これは特に重要な問題です。ならば土地の確保は諦めて、その分高さで勝負すれば良い、ということで150メートルを超える高さの柱を取り巻く形のジェットコースターを考えました。

──怖そうですね! 乗っているときはどんな探検ができるのでしょうか?

ビル:かなり絶叫することになるでしょうね! 独自の設計によって、お客さまにかつてない迫力と恐怖感をもたらす内周・外周のループや、降下、回転が実現します。ジェットコースターとして史上最高度まで上るだけでなく、次から次へとスリリングな場面が展開しますから、叫びっぱなしとなること請け合いです。

──設計したマシンでお客さんが絶叫しているのを聞くと、どのように感じますか?

キッチン:お客さまの絶叫は、私の笑顔の源です。


あなたは耐えられますか?最新型絶叫マシンの紹介動画