■仕事もラグビーもプライベートも全力で

桑水流さんコカ・コーラ社製品の製造・販売を行うコカ・コーラウエストに入社したのは、2008年のことだった。

「福岡大学在学中にレッドスパークスと練習試合をするなど、コカ・コーラシステムとは縁がありました。他のチームからも誘いはありましたが、当時の向井昭吾監督率いるチームに魅力を感じてレッドスパークスへの入団を決めました」

トップリーグの選手でも、日本人でプロ契約をしている人は多くない。ほとんどはその会社の社員として採用され、通常業務をこなしながら練習や試合に臨んでいるが、桑水流さんも同様だ。

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セブンズでキャプテンを務めただけあって責任感は人一倍強い。
仕事の時間が限られている分、集中して業務に取り組むように心がけている
上司や同僚に「桑水流評」を聞いてみると、「真面目で実直。決して弁が立つ方ではないけれど、行動で示すタイプ」と返ってきた。口下手であるというのは自身も認めるところだが、慎重に言葉を選んでいる分、そのような印象を抱かれるのかもしれない。

会社員としてもラグビー選手としても充実ぶりがうかがえる桑水流さんだが、二足のわらじ生活はどちらかのマイナスにならなかったのだろうか。

「自分にとってはどちらにもプラスになっていたと思います。たとえば入社したての頃は、学生のようなフランクな言葉遣いで上司からよく注意されましたが、それを直したおかげでラグビーでは監督や仲間ともうまくコミュニケーションを取れるようになりました。逆にラグビーでの習慣を仕事に応用することもあります。ラグビーでは常に準備が大切です。ただ体と体をぶつけ合っているスポーツだと思う人もいるかもしれませんが、試合中は常に戦術を踏まえた理にかなった動きをしています。相手がこう来るから自分はこう動く、という準備を常にしておかないと全く通用しないんです。だから仕事でも、限られた時間を有効に使うには準備が大切だと思うようになりました」

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同じ部署の先輩社員と昼食をとることが多い桑水流さん
先輩と話をしながら「社会人としての“いろは”」を学んでいる
桑水流さんは毎朝、始業30分前には出社している。全ては準備のためだという。

時間が限られているのはプライベートも同じ。合宿や遠征が続けば家にはしばらく帰れなくなるので、桑水流さんは家族と過ごす時間を何よりも大切にしている。保育園の送り迎えも、食器洗いや風呂洗いも、子どもの寝かしつけも、家にいる時は桑水流さんの仕事だ。仕事と練習を終えて疲れた体での家事はキツいのではないかと思われるが、「うちは共働きなので自分ができることはやっています。(自主的にやっている?)まあそうなりますけど、自主的というか、普通のことじゃないですか?」と、意に介さない。