■「オリンピックはベスト4を狙う」

コカ・コーラ レッドスパークスの練習は通常、午後2時頃から始まる。スーツから練習着に着替えると、桑水流さんはさっきまでにこやかに会社で電話応対をしていたとは思えないような引き締まった表情になる。15人制でも代表経験のある桑水流さんは、レッドスパークスではフォワードのフランカーと呼ばれるポジションで攻守の要として活躍している。

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潰れた耳はフォワードの選手の勲章だ
「15人制というのは、相手チームの分析を綿密に行ってから試合に臨みます。試合のある週末に向けて1週間、相手のことをとことん研究しているんです。試合に至る過程も含めて、僕にとっては楽しいですね。セブンズの場合は、15人制ほど相手の分析はしません。相手どうこうよりも、自分たちのスタイルをしっかり出すことの方が大事です」


アジア予選決勝の香港戦、日本は前半を0-10で折り返した。その試合を逆転できたのも、どんどんボールを動かしてグラウンド内を走り回るという自分たちのスタイルを出せたからだ。

「地元香港の応援が凄まじくて、前半は完全にスタジアムの雰囲気にのまれていました。でも焦りはなかった。自分たちのラグビーができていない状態で10点差しか付いていないんだから、いつも通りやれば逆転できると思っていました」

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桑水流さんがレッドスパークスで務めるフランカーというポジションは
攻撃面でも守備面でもボールに絡むことが多く、運動量が求められる
わずか2分間のハーフタイム。「ジャパンがやるべきことができていない。いつも通りボールを動かしていこう」と桑水流さんはチームメイトと意識を合わせ、後半にそれを実践した。仕事の時と同様、言葉よりも行動で示すのがキャプテン桑水流さん個人のスタイル。思惑通り、後半は日本が香港を圧倒。逆転勝ちを収めた。

努力すれば夢は叶う。手垢のついた言葉に聞こえるかもしれないが、桑水流さんが身をもって示した瞬間だ。

「国際大会になると、僕の体(身長188センチ、体重97キロ)でも小さいほうです。自分より大きな相手にぶつかるのは怖いけれど、相手を止めるにはぶつかるしかない。自分の身を挺してマイボールにするのは仲間のためです。ラグビーをやっていると心も強くなるので、子どもたちにもこのスポーツを広めていきたいですね。将来他の分野に進むにしても、ラグビーから学べることはたくさんあります」

ラグビー選手として、会社員として。桑水流さんに今後の目標を尋ねた。

「7人制ラグビーの選手としては、『メダルを!』と言いたいところですが、まずはベスト4を目指したい。その先にメダルが見えてくると思います。レッドスパークスの選手としては、近い将来日本一になるための基礎を、自分が現役であるうちにつくっておきたい。そして会社員としては、『うちの職場に桑水流がいて良かった!』と言われる存在になりたいですね」

この夏、日本中がセブンズ日本代表に注目する。桑水流さんはラグビーファンに、職場の仲間に、そして家族にさらなるハッピーを届けるため、自分よりも大きな相手に体ごとぶつかろうとしている。

コカ・コーラ レッドスパークス公式ウェブサイト
URL:http://www.ccwest.co.jp/club/rugby.html




<プロフィール>
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くわずる・ゆうさく/ 1985年10月生まれ、鹿児島県出身。鹿児島工業高校を経て福岡大学へ進学。卒業後はコカ・コーラウエストに入社した。大学2年でセブンズ日本代表に抜てきされ、10年超にわたりセブンズ日本代表のキックオフのスペシャリストとして活躍中。元15人制日本代表。188cm、97kg。