■ワンランク上のサスティナブルな活動を目指して

そして、2008年から数えて10年目となる2017年、長年の取り組みが認められ、蔵王酪農センターとCCBJI(当時はコカ・コーライーストジャパン)と蔵王町の3者は、「第4回食品産業もったいない大賞(*)」で農林水産省食料産業局長賞を受賞した。

「爽健美茶」の茶がらを食べて育ちました。おいしくてエコな「蔵王爽清牛」が示す循環型社会の可能性

3者に贈られた「食品産業もったいない大賞」の賞状

 この賞の重みをひしひしと感じているのは、CCBJI蔵王工場長の下津義弘さんだ。

「私は昨年着任して前任者から引き継いだので、このプロジェクトに最初から関わっていたわけではありませんが、関係者として大変名誉なことです。こうした環境活動は、取り組んですぐに成果がでるものではありません。長年にわたり、いろいろな人が関わって、地道に継続的改善を繰り返して今につながっています。これからも蔵王酪農センターや蔵王町、そして酪農家の皆さんとも連携しながら、地域に貢献していきたいですね」

爽健美茶」の茶がらは、年間60トンほどが蔵王爽清牛のエサになるほか、肥料などとして再資源化されているという。下津さんが続ける。

「私たち飲料メーカーは、事業活動においてエネルギーや食料資源のロスが出やすい業種ですが、少しでもそれを減らす努力をしないといけません。茶がらの再利用以外にも、電気、ガス、水の削減にも取り組んでいて、2016年度は前年比で電気・ガスが約20%、水は約10%の削減に成功しました。こうして地道にサスティナブルな活動を続けていくことが大事なのだと、今回の受賞で再認識させられました」

「爽健美茶」の茶がらを食べて育ちました。おいしくてエコな「蔵王爽清牛」が示す循環型社会の可能性

コカ・コーラ ボトラーズジャパン蔵王工場長の下津義弘さん

 

■もっともっと蔵王爽清牛を知ってもらいたい

 蔵王連峰から「蔵王おろし」が吹けども動ぜず、蔵王爽清牛は牛舎の中で栄養たっぷりのニューチャージを夢中になって食べている。牛たちが元気なのを確認した蔵王酪農センターの菅井さんは、改めてエサの良さを語りだした。

蔵王爽清牛は黒毛和牛とホルスタインの混合種で、肉牛の品種としては至って普通です。牛舎も見ての通り、特に変わったところはありません。ではなぜおいしい肉になるのかというと、やはりエサがいいからなんです。チーズホエイを豚のエサにする例はありますが、牛のエサにしているのは、世界広しといえどもうちだけでしょう。ホエイには整腸作用があるので、ここの牛は健康で元気です。そこに『爽健美茶』の茶がらの栄養も加わっているから、オレイン酸が豊富になって食べやすいんです」

「爽健美茶」の茶がらを食べて育ちました。おいしくてエコな「蔵王爽清牛」が示す循環型社会の可能性

菅井さんが「乳茶餌(ニューチャージ)」を与えると
牛たちはすぐにペロリと平らげてしまった

 蔵王爽清牛の目下の課題は、生産量が少ないことだ。現在、蔵王爽清牛を食べられるレストランは蔵王町内と仙台市内などに限られている。

「増産にはコストがかかります。展開を拡大しようとしても、安い輸入牛との価格競争には勝てません。だからこれまで、生産も販売も制限していました。ただ、それでは蔵王爽清牛のおいしさが広く伝わらない。今年からは少しずつ生産を増やしていきたいと考えています。多くの人においしくてヘルシーな牛肉があることを知ってもらいたいですね」

 蔵王酪農センターでは、企業とコラボして蔵王爽清牛を使った新メニューの開発も行っているという。資源を無駄にせずに良質な肉をつくる菅井さんたちの活動は、未来の酪農のモデルケースになるかもしれない。

*食品産業もったいない大賞:食品産業の持続可能な発展に向け、環境対策の一環でもある「エネルギー・CO2 削減」「廃棄量削減・再生利用」「教育・普及」等の観点から、顕著な実績を挙げている食品関連事業者、並びに、食品産業によるこうした取組を促進・支援している企業、団体及び個人を広く表彰し、世の中に周知することで、食品産業全体での地球温暖化対策や省エネルギー、食品ロス削減等をより一層促進することを目的とする、一般社団法人有機資源協会主催、農林水産省協賛の賞。

 

村上英人蔵王町長インタビュー:「資源循環型社会を実現したい」

 蔵王町は豊かな自然に恵まれた、農業と観光の町です。農作物の生産量では、梨や高原大根など14品目が宮城県トップクラス。観光では遠刈田温泉やこけし、そして樹氷等が有名で、春夏秋冬それぞれに魅力のある町です。
 蔵王町は2009年6月5日に「環境保全宣言の町」を宣言し、それ以来、環境保全に向けた取り組みを推進してまいりました。それまで私たちの町では、公民館や体育館などハード面の整備に注力してきましたが、今は「発展」の次のステージである「資源循環型社会」へ進もうとしています。食料資源を有効利用して育った蔵王爽清牛は、まさにこれからの時代にふさわしい、わが町の新しい特産品だといえます。
 蔵王爽清牛の教育的な効果も見逃せません。今、町内の小学5年生にはCCBJI蔵王工場見学、蔵王町酪農センターの見学に加えて、最後に蔵王爽清牛の牛丼を食べてもらうという「地産地消」の社会勉強をしてもらっています。このプログラムは、子どもたちの将来にもきっとよい影響をもたらしてくれるでしょう。

「爽健美茶」の茶がらを食べて育ちました。おいしくてエコな「蔵王爽清牛」が示す循環型社会の可能性

むらかみ・ひでと / 1952年、宮城県刈田郡蔵王町生まれ。仙台育英高校、東京観光専門学校卒業後、宮城蔵王観光(株)に勤務。92年から蔵王町議会議員。2004年10月に蔵王町長に就任。以後、4期連続で町長を務める。

 

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