世界200以上の国や地域で飲まれている「
今回は、現役大学生の
文=
イラスト=
カラッと気持ちよく晴れた日に、思わず手にとって飲んでしまう「
シュワーっと音を立てる液体を、ゴクリと飲む。ああ! この感じ!
この“変わらぬ味”を、裏でずっと“守り続けている人たち”がいるらしいのです。
あ、自己紹介が遅れました。こんにちは、上智大学3年生の
私たちが普段から飲んでいる「
■KOREっていったい何?
今回お話を伺ったのは、
「
「それは『KORE』のことですね。KOREとは全世界の
「文書は、アトランタにある
なるほど。いつ、どこで飲んでも「
「お二人は、KOREのどの部分に携わっていらっしゃるのでしょうか?」
「私は主に、製造工程を担当しています。KOREで定められたオペレーションをきちんと守ってもらうために、製造工場に行って分かりやすく説明をしたりします。また、米国から監査が来たときに、万が一不適合があった場合には、その是正も行います」(
朗らかな笑顔がステキな
そして、お二人目、パワフルでさわやかな
「私は、お客様が口にして問題ない製品を届けるため、販売工程の仕組みをつくり、その仕組みを現場に導入し維持していく仕事をしています。その際の基本となるルールがKOREなんです」(
バンっ!
と
「うわっ! 全部英語ですね。しかも、すごい量……」
「これでも減ったんですよ。1年前には、この3倍くらいはあったかな(笑)」(
とっても分厚い上に、中身は頭がクラクラするほどの文字の数。
このルールをすべてクリアしているなんて、信じられません。
■国際規格ISOだけではダメなの?
ところで、「品質の基準」といえば国際規格の「ISO規格」があります。ISOとは、International Organization for Standardization(国際標準化機構)のこと。国際間の取引に弊害をなくすため、いろいろな製品やサービスについて、世界中で同じ品質・同じレベルのものが提供されるように共通の基準を定めているのです(事前に予習しました!)。
さまざまな機関や企業がISOから認証を得ていて、もちろん、
「信頼される国際規格のISOがあるのに、どうしてKOREが必要なのですか?」
「ISOはあくまで一般的な基準。『
「ISOという一般的な基準の上に、製品に即した具体的な規定がないと、皆さんに私たちの製品は届けられないんですよ」(
つまり、個々の製品がどうあるべきか、それを製造するためにどんな手順を取らなければいけないかを考えるのは各企業の責任。そこを文書で定めたものがKOREであり、だから具体的で、より明確なマネジメントシステムでなくてはならないのです。
■働く人にも環境も優しいKORE
KOREでは、「品質」だけでなく、「食品安全」「労働安全衛生」「環境」に関する内容も網羅されているとのことですが、それぞれについて、実際にKOREで定められている例を紹介します。
「労働安全衛生」については、オペレーションの改善に取り組んでいる事例があります。かつては、製品や空き容器を車に積み込む作業の際、高所から誤って転倒する危険がありました。そこで、そのようなリスクをなくすために、車体を人が安全に作業できる高さに変更するよう取り決め、現在導入を進めています。
一方、「環境」の面では、オゾン層破壊の原因であるフロンガスの使用を削減すべく、冷媒にフロンガスを使用しないノンフロン自販機の導入を進めることが、KOREの要求事項として定められています。
そして、「環境」の中でもとても厳しいのは排水。KOREの排水基準は日本の法律で定められた基準よりもはるかに厳格なもの。多摩工場の排水は、水を戻す川よりも水質がいいのだとか。実際、BOD(生物化学的酸素要求量)という水中の有機物が微生物によって酸化分解される過程で消費される酸素量は、国の基準が160mg/Lなのに対し、
地域に根差したビジネスをする
■製品製造用水の規格はとっても厳しい!
そして、製品製造用の水に関しても、やはり厳しい規格が設けられていました。私が驚いたのはそのルールの数!
「KOREは世界共通の統一ルールですが、各国で環境や状況が違う中、ルールを守る上で不便を感じることはありますか?」
「水に対するルールが厳格すぎるということはあるかな。つい去年まではチェック項目が120って言ってたっけ……それくらい製品をつくるための水の規格は非常に厳しい。世界では水質が悪いところもあって、それぞれの地域で飲料水に対する規格が違っている。もともとの水質が低い地域ではこの莫大な数の項目を検査しておかないとリスクが高いのだと思いますけど、日本ではそんなに必要ないかな、ということはあります」(
「そんなにも厳しいんですね……」
日本では、水道の蛇口をひねって出てくる水は、必ず安全が保証されているという認識です。しかし、世界的には綺麗な水は貴重とされていて、飲み水の安全性のチェックは非常に厳格に行う必要があるのだそう。
■「当たり前のように安全であること」の重要さ
私たち消費者の目には触れないところで、大切なお仕事をされている
お話を伺っていると、消費者自身にもこうしたマネジメントシステムや規格の存在を知る必要があり、知れば知るほどもっと製品の良さが分かるのでは?と思いました。しかし、お二人からの言葉は予想外のものでした。
「消費者がKOREのことを知る必要はありますか?」
「
「ただ一つみなさんに知っておいてほしいのは、『製品は、開栓したらすぐに飲むのがおいしい』ということだけ(笑)。それさえ守っていただけたら、こうしたルールの存在は知らなくてもいい」(
「製品の安全を守っている存在がいると、もっと消費者にも知ってもらいたい」。そのような思いがあるのではないかと、私は勘違いしていました。問題が起こらず、消費者が安全においしく製品を飲むことができたらそれで良いというのは、ずっと品質を守り続けてきたお二人の素直な気持ちなんだと思います。
「
「製品がちゃんと売れてくれれば、僕のモチベーションは十分に上がります。『製品を安定的にご提供できている』という実感だけで、僕は十分です」(
お二人は、
最後に、「KOREが目指すものはなんだと思いますか?」という質問をしたところ、お二人の回答は「優しいコミュニケーション」でした。
優しいコミュニケーションとは、難解であるKOREのルールをかみ砕いて分かりやすい形で現場に伝え、そこで働いている方々にしっかり理解してもらうということだそう。「なぜ、それをやるのか」「なぜ、そのやり方なのか」を、現場の人たちまで全員が共有していることが、
「『
「今日もおいしかった」
そう私たちが感じることが、KOREをつくり、守っている人たちの願いなのだと分かりました。
KOREは私たち消費者の目に触れることはありませんが、私たちの安全を守ってくれるものです。「
これからはさらにおいしく、「
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