2016年1月から全世界で展開された「Taste the Feeling」キャンペーン。キャンペーンが始まると、すぐになつかしさと斬新さを兼ね備えたキャンペーンビジュアルが世界中の屋外看板や店頭広告、デジタル広告に登場しました。

キャンペーンビジュアルの制作にあたっては、フォトグラファーのガイ・アロチGuy Aroch)とナチョ・リッチNacho Ricci)、アロチのアシスタントフォトグラファーとしてアンナ・パルマAnna Palma)を起用。アロチは『ヴォーグ』、リッチは『ハーパーズ バザー』の表紙を手掛けるなど、二人ともファッションフォト界ではトップクラスの経歴の持ち主です。3人はニューヨークとカリフォルニアでロケを敢行し、合わせて150枚以上のスチール写真を撮影しました。

今回は、3人のフォトグラファーに加え、クリエイティブ・ディレクターを共同で務めたザ コカ・コーラ カンパニー(米国本社)のジェームズ・サマービルラファエル・アブルーにも登場してもらい、各人にとってのとっておきの1枚を選んでもらいました。そして、制作時のエピソードも語ってもらいました。豊富なビジュアルと共にお楽しみください。

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その魅力を徹底解剖! 「コカ・コーラ」Taste the Feelingキャンペーンがウケている理由[前篇]
その魅力を徹底解剖! 「コカ・コーラ」Taste the Feelingキャンペーンがウケている理由[後篇]

文=ジェイ・モイエ

 

■偶然見つけたロケーション──写真家 ガイ・アロチの1枚

奇跡のように美しい「コカ・コーラ」CM写真

「路上での撮影中、プロデューサーは次の撮影ポイントを見つけるべく、画になる場所はないかと周囲を歩き回っていました。偶然この建物の前を通りかかった彼は、すぐに管理人室のドアをノックして、出てきた人に交渉し、屋上使用の許可を取り付けました。撮影時期は8月ですが、冬のシーンを撮る必要があったので、モデルにはフリースを着てもらっています。彼女が『コカ・コーラ』ボトルを手に飛び跳ねてはしゃぐ様子は、演出されたものではありません。すべて感情のおもむくままに、自然に表現されたものです。髪の乱れ具合も完璧だと思いませんか? 場面をつくり込みすぎず、演出をつけすぎず、打ち合わせしすぎず、というスタンスが功を奏した1枚です」

ガイ・アロチが選んだその他の作品はこちら(スライドショー)]

ガイ・アロチ /ニューヨークを拠点に活躍する、イスラエル系アメリカ人のファッションフォトグラファー。ビューティー、ファッション、セレブのポートレート撮影を専門とし、その作品は有力紙をはじめ、『VOGUE BRITISH』『Men’s Vogue』『ITALIAN glamour』『GQ Italia』などのファッション誌の表紙を飾る。

 

■かつての『コカ・コーラ』広告へのオマージュ──写真家 アンナ・パルマの1枚

奇跡のように美しい「コカ・コーラ」CM写真

「この写真には、元ネタになっている昔の『コカ・コーラ』広告があるんです。優れたイメージは時代を超えることの証明ですね。シンプルな色使いとユーモア溢れる構図、それに、モデルとしても人としても私のトップクラスのお気に入り、アマンダ・ノールガードの表情も大好きです。“興”と“美”が両立したこの作品には誇りを持っています。昔の広告のことを教えてくれたジェームズ・サマービルとの、夢のコラボレーション作品でもあるんです」

アンナ・パルマが選んだその他の作品はこちら(スライドショー)]

アンナ・パルマ / ニューヨークを拠点に活動し、キッズ、ティーンズ向けブランドのビジュアルを中心に手掛けるファッションフォトグラファー。「Taste the Feeling」キャンペーンの撮影では、ガイ・アロチのアシスタントフォトグラファーを務めた。

奇跡のように美しい「コカ・コーラ」CM写真
ガイ・アロチとアンナ・パルマ

 

■ピンボケでも伝わるのが「コカ・コーラ」──ディレクター ジェームズ・サマービルの1枚

奇跡のように美しい「コカ・コーラ」CM写真

「とてもリアルな光景です。製品はピンボケしているにもかかわらず、間違いなく『コカ・コーラ』なんだと見る人には伝わってきますよね。後景で噴き出している『コカ・コーラ』は、彼らの歓喜を表しているのと同時に、かけがえのないこの一瞬を祝福しているかのようです。モデルの顔が影になっていることで、彼らが何者なのかを探りたくなって、見る人はこのシーンに意識を集中することになります。夕日の黄金色が『コカ・コーラ』の液体の色と響き合っていますね」

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奇跡のように美しい「コカ・コーラ」CM写真

ジェームズ・サマービル / ザ コカ・コーラ カンパニーのグローバルデザイン担当バイスプレジデント。デザイン事務所Attikの共同創業者として「コカ・コーラ」ブランドのビジュアル制作に携わった後、2013年から現職。「Taste the Feeling」キャンペーンでは、ラファエル・アブルーと共同でクリエイティブディレクターを務めた。

 

■最強の目力──写真家 ナチョ・リッチの1枚

奇跡のように美しい「コカ・コーラ」CM写真

「キャンペーンのすべての写真の中でも、この1枚に最も強い引力を感じます。見る人の心をわしづかみにする彼女の視線。まるで彼女が、いま、写真を見ている人物=私のことを呼んでいるかのように感じませんか? ハイウェイでこんな彼女の視線に出会ってしまったら、そのまま彼女の眼に捉えられてしまいそうです。正直な写真は真実を反映します。理屈抜きで、何が本当に起こっているかを伝えてくれるわけです。写真と現実との間につながりができたとき、すべての要素が合わさって、一瞬の本質を捉えることができるのです」

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奇跡のように美しい「コカ・コーラ」CM写真

ナチョ・リッチ / アルゼンチンのブエノスアイレスを拠点に活動する才能あふれるコマーシャルフォトグラファー。「コカ・コーラ」をはじめとして、ディーゼルソニー、『ハーパーズ バザー』といった国際的ブランドでグローバルに活躍している。

 

■この写真には広告としてすべての要素が詰まっている──ディレクター ラファエル・アブルーの1枚

奇跡のように美しい「コカ・コーラ」CM写真

「この写真が捉えたのは他愛もない日常の一瞬ですが、その中には広告で伝えたいすべての要素が含まれています。『コカ・コーラ』を飲むという行為(カメラを見つめる彼女のきれいな笑顔……前歯の隙間が魅力的です)、製品(赤白のストローがその存在感を引き立てています)、それから人と人とのつながり(写っているのは二人ですが、赤毛の女の子の表情は、この場に他にも誰かいることをうかがわせます)。夕日の効果も抜群で、すごく前向きな雰囲気をつくり出してくれました。私にとって、これは、『コカ・コーラ』の定番イメージとして長く愛され続けてほしいと願う作品です」

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奇跡のように美しい「コカ・コーラ」CM写真

ラファエル・アブルー / ザ コカ・コーラ カンパニー グローバルデザイン部門 ディレクター。ブラジル出身。2011年からコカ・コーラ社のラテンアメリカ部門でデザイン戦略に携わった後、2014年から現職。「Taste the Feeling」キャンペーンでは、ジェームズ・サマービルとと共同でクリエイティブディレクターを務めた。

 

いかがでしたか? 制作者の目線で解説してもらうと、写真の見方が少し変わったのではないでしょうか。次はどんな“美しい”写真が登場するのか、今後も「コカ・コーラ」のキャンペーンビジュアルにご注目ください。