いつの時代も、豊かな食生活の基本は豊かな「水」にあります。
ということは、きれいな水のある場所にこそおいしいものあり、
なのではないか。そのような仮説の下、
おいしい日本の天然水にこだわる
『い・ろ・は・す』の採水地(*)のうちの3県(富山県、山梨県、静岡県)に赴き、
その地域ならではの、おいしい食べものを探してみました。
*)2014年6月時点で、 富山県、山梨県、静岡県のほか、北海道、鳥取県、宮崎県。

文=平井莉生(富山県)/塩沢槙(静岡県、山梨県)
撮影=鈴木慎平

取材班、名水の地へ向かう

 水がおいしいところは食べものもおいしいに違いない。その仮説を検証すべく、私たち『Coca-Cola Journey』取材班が向かった先は、富山県・山梨県・静岡県の3県。それぞれ豊かな水源があり、水を磨く深い森があり、名水の生まれる好条件が揃った土地として名を馳せています。
 まずは富山県の「おいしい食べもの」からご紹介しましょう。


水のきれいな土地ならではの鮎を味わえる砺波市の名店

 「平成の名水100選」に、全国最多の8カ所も選出された水の都・富山県。世界遺産にもなっている五箇山(ごかやま)の周辺を車で走ると、車窓から、あたり一面海のようにキラキラとした水田が覆っているのが見える。一歩車を降りれば、どこからともなく聞こえる水の音。道の端に目をやると、小さな水路に湧き水が滾々(こんこん)とほとばしり、この広々とした大地の下に豊かな水脈が行き渡っていることが感じられる。
Good Water Makes Good Food
水のおいしい地域のおいしい食べもの
豊富な水量を誇る庄川のおかげで、充分な水がひける用水路網が整備され、
砺波平野全体で水田耕作が行われている

 岐阜県の鳥帽子岳に源を発する水は、砺波平野(となみへいや)を潤して富山湾へと注ぎ込む。小牧ダムから上流の豊かな流れは「庄川峡(しょうがわきょう)」と呼ばれ、その清く大きな流れが流域の人々に豊かな恵みを与えているのだ。その恵みのひとつが、鮎。そこで、庄川のほど近くで鮎の魅力を存分に楽しむことができる専門店『旬彩 いろり茶屋 鮎の庄』(*1)を訪れた。
Good Water Makes Good Food
水のおいしい地域のおいしい食べもの
火に直接あたらないように、高温の炭火で焼き上げられる鮎。
焼きたてを食べられる。 鮎塩焼き350370

 6月中旬から10月にかけては、鮎のシーズン。庄川で採れた天然の鮎は、店内の大きな生け簀に移され、調理する直前に引き上げられる。この生け簀の水もまた、地域特有の澄んだ伏流水だ。一番人気なのは、鮎の塩焼き。強火の遠火で遠赤外線を利用して皮をパリっと、中をフワっと焼き上げる。炭火の周りをぐるりと取り囲むようにしている鮎は、東京の一般的なスーパーで目にできるものよりも小さい。ダムから続いている庄川は水量が少なく水温が低いため、鮎のエサとなる藻が少なく、鮎も小ぶりになるのだそうだ。身がしまっているので、頭からしっぽまでまるまる一尾食べることができる。「お客さんがひとりで食べる量は平均5本。中には20本も食べるお客さんもいらっしゃいましたよ」と店主が話してくれた。確かに、川魚特有のうまみと絶妙な塩気、焼きたての香ばしい匂いに、次々と串に手が伸びる。美しい川によって育てられた、生命力の恵みを存分に感じることができた。