伏流水を使用した生け簀の絶品いわな

Good Water Makes Good Food
水のおいしい地域のおいしい食べもの
富山県の七大河川のうちのひとつ、庄川の雄大な流れ。
鮎やいわな、サクラマスなどが採れる

 砺波市での取材の後、私たちは、国道沿いの道の駅『ささら館』で全国でも珍しいいわなの刺身が食べられると聞き、車を走らせた。店は、その名も『いわな』(*2)。深いモスグリーンの雄大な庄川の流れをバックに、庄川で採れたいわなを使った料理や、裏山で採れた山菜などを使った料理が食べられる店だ。
Good Water Makes Good Food
水のおいしい地域のおいしい食べもの
近くの山で採れた山菜を使った小鉢や椀がついた握り寿司のセット。
蕎麦も人気だ。「いわなの握り膳」1,500

 人気メニューはやはりいわなの刺身やいわなの握り。さばく店主の手元を見せてもらっていると、皮をはいだところから真っ白く美しい身が現れる。ほのかにピンク色かかった部分もあり、まるで桜貝のようだ。口に入れてみると、ぷりっとした歯ごたえのある身が特徴的で、淡白でありながらもしっかりとした魚のうまみが感じられる。川魚特有のくさみはほとんど感じられない。こんなにおいしいのに、他ではなかなかお目にかかることのできない理由はいくつかある。まずは鮮度の問題。生け簀から出してすぐに食さなければならず、さらにおろすと身が縮みやすいという特徴があるため、食べ頃はおろした直後に限られる。身も小さく、ぬめりを持っているために、さばくのには技術が必要になる。鮮度と技術。この条件を揃えられるところはなかなか多くはない。ここ『いわな』では、地下より伏流水をくみ上げ生け簀に使っている。食べる直前まで泳いでいたいわなを、店主が慣れた手付きで生け簀から取り出し、見事な手つきでさばいてくれるのだ。
 「珍しくておいしいからって、店の近くにあるお寿司屋さんにうちのいわなの寿司を持ち込む人がいるらしいんです(笑)。そこの大将に『おまえのところのいわなの寿司を、お客さんが“珍しいから食べてみろ”って持ってきて勧めるんだよ』と言われたことが何度かありました」と店主がうれしそうに教えてくれた。水のきれいなこの地ならではの、贅沢だ。


朝ドラ『花子とアン』の舞台・甲府市も名水の地

 名水を育む条件で言えば、山梨県も負けてはいない。ミネラルをたっぷりと含んでいる富士山の地下水の恩恵を受けられるのと同時に、周りを山と深い森林に覆われていることから、水がおいしい地域として知られている。八ヶ岳や富士山の火山岩、昇仙峡(しょうせんきょう)や尾白川(おじろがわ)に代表される深成花崗岩によって磨かれた水は、古くからその地に暮らす人々の生活を潤してきた。