地下水で育った究極の「うなぎ」

 小淵沢ICから7㎞、JR甲斐小泉駅から徒歩5分のところにある三分一湧水(さんぶいちゆうすい)に着いたとき、ぐんと空気が澄んでひんやりとした感じがした。八ヶ岳の麗に広がる高原の町らしく、道中右も左も新緑が鮮やかで美しい。
Good Water Makes Good Food
水のおいしい地域のおいしい食べもの
三分一湧水は森に囲まれている。平日の午後ひとけはなく、
足を踏み入れた途端、最高の森林浴気分を堪能できる

 この場所も武田神社と同じく、武田信玄にまつわる言い伝えがある。三分一湧水の名は、現在から450年ほど前、水争いの続いた三つの村を治めるために信玄が石の三角柱を主流の中央に置き、湧水の流れを三方向に平等に分けたことに由来するのだそうだ。ここの水量は、1日あたり8500tにものぼり、煮沸をすれば飲用可とされている。
Good Water Makes Good Food
水のおいしい地域のおいしい食べもの
蒲焼と白焼が一度に楽しめる店の人気メニュー「うな箱 二のう」3,600円。
ふっくらとした食感が絶品だ。

 『井筒屋』(*4)は小淵沢駅にほど近い、うなぎ中心の料理を出す和食の店で、店内は、築80年超の重厚な和洋折衷空間だ。
 うなぎは少なくとも注文から提供されるまでに30分の時間がかかる。調理法は江戸前の、裂く→打つ→焼く(余分な脂と臭みを落とす)→蒸す→焼くという昔ながらの手法。「できるだけ待たせたくはないけれど、一番おいしい状態で提供したい」という思いを実現するためには、この時間が必要なのだ。
 料理にはすべて、ボーリング(掘削)した地下水を使用している。「うなぎは水道水では生きていられないため、この水なしにはうちの料理は提供できないんです」と、店主の小池さんは語る。
 国産うなぎを使うのはもちろんのこと、毎日店に産地を表示し「味に感動、人に感謝しながら、正直な仕事をしていきたいです」と話してくれた。