スパークリングウォーター「DASANI」ホワイトピーチフレーバーの缶。
リサイクルを促すロゴが表示されている

ザ コカ・コーラ カンパニー(米国本社)は、多数のパートナーと協力して「廃棄物のない世界」を目指す包括的なビジョンを掲げています。 目標の一つは、「2030年までに、同社が世界で販売する容器(ボトルや缶)と同じ数量の容器の回収・リサイクルを実現する」というもの。同社がこの大胆な目標を設定したことで、世界中の多くの企業や団体が、パッケージのライフサイクルというテーマに注目しています。

しかし、このような壮大な目標は本当に達成可能なのか? 具体的な施策は? など、さまざまな疑問が浮かんでくるのも事実。そこで『Coca-Cola Journey』グローバル版編集部は、ザ コカ・コーラ カンパニーの環境方針の立案・推進を担当するシニアディレクターのベン・ジョーダンにインタビューを実施。「廃棄物ゼロ」を目指すこの取り組みについて、詳しく聞きました。

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文=ジェイ・モイエ

 

■かつてないほど深刻化する廃棄物問題

──まずは、「廃棄物ゼロ」の目標を今このタイミングで発表した背景を教えてください。

ジョーダン ザ コカ・コーラ カンパニーはこれまで数十年間、さまざまなパートナーと提携し、サスティナブル(持続可能)な容器の開発や、リサイクルプログラムの効率化に取り組んできました。多くの企業がサスティナビリティーに注目している今こそ、その取り組みをさらに前進させる好機だと考えています。私たちは清涼飲料業界のリーダーとして、問題を生み出す側ではなく、ソリューションをつくり出す側になりたい。消費者の方々も、私たちが業界を先導することを期待しています。

容器由来の廃棄物、特に海洋廃棄物の問題は、かつてないほど地球に深刻な脅威を与えています。当社は他の企業と同様に、その問題を解決する責任を負っています。昨年ザ コカ・コーラ カンパニーは 1,280億本のPETボトルを販売しましたが、そのうちあまりにも多くが廃棄され、回収されないままとなっているのです。リサイクル率を上げて素材を経済的に活用するとともに、自然環境を守ることは、私たちの企業としての責任に他なりません。

以上のことは、ザ コカ・コーラ カンパニーが「総合飲料企業」を目指すうえでのビジネス戦略の一つとして、CEO(最高経営責任者)をはじめとする経営陣が熱心に議論してきたことです。当社は“良心を伴った成長”を志向する企業です。私たちがこれまで実施してきた、水環境保護や糖分の削減といった取り組みと同様、「廃棄物ゼロ」に向けた取り組みは、世界にとっても私たちの事業にとっても正しいことだと確信しています。

 

■リサイクル=「資源を増やすこと」

──この取り組みを通して、企業としてどのような成果を期待しているのでしょうか?

ジョーダン ザ コカ・コーラ カンパニーの事業はボトルや缶に依存していますから、私たちには容器のライフサイクルをもっとサスティナブルにしていく責任があります。この取り組みは必ず、当社事業だけでなく、世界中のコミュニティーの役に立つと確信しています。容器をリサイクルし資源を循環させることによって、最終的には、世界経済を成り立たせるために採掘される自然資源の量を減らすことができます。これは長期的に見ると、コスト削減と自然環境の保護につながっていきます。

PETボトルに使われるプラスチックは ボトル以外にも自動車部品、繊維製品、カーペットなど、多くの製品の原料となります。つまり、PETボトルの回収率を高めることは、さまざまな業界の原料供給を助けることになるのです。リサイクルすればするほど、皆が使えるプラスチック資源の量も増えるわけですから。

「廃棄物ゼロ社会」は実現可能なのか? コカ・コーラ社が掲げる「容器ビジョン2.0」

ザ コカ・コーラ カンパニー 環境方針担当シニアディレクター
ベン・ジョーダン

 

■各地の現状に即したリサイクルシステムを

──コカ・コーラシステム(*1)は世界中に展開していますが、目標達成に向けてどのような連携・報告体制を取っているのでしょうか?

ジョーダン 全体の進捗は、ザ コカ・コーラ カンパニーの年次サスティナビリティー報告書で公表します。なお、今回の目標はコカ・コーラシステムにとって非常に高い目標にはなりますが、私たちはまったくのゼロから始めているわけではありません。 サスティナブルなパッケージ開発には1960年代から取り組んでおり、一定の成功を収めていますし、コカ・コーラシステム全体が、常に高い意識を持って日々の活動に取り組んでいます。 私たちにとってこれは、既に進めてきたことのレベルをさらに引き上げる試みなのです。

動画:「廃棄物ゼロ社会」を目指して
*英語のみ

──具体的に、どのように原材料の回収とリサイクルを実施するのでしょうか?

ジョーダン 私たちの目標は、販売する容器と同じ数量の容器の回収・リサイクルを2030年までに達成することです。回収する容器が当社のものか、競合他社のものかは問いません。1社単独でこのような目標は達成しようがありませんから、現地コミュニティー、NGO、 顧客企業、消費者団体など多くのパートナーと協力し、より効果的な回収・リサイクルのシステムを、それぞれの地域の文化やニーズに合った形で構築していきたいと考えています。

多くの場合、ザ コカ・コーラ カンパニー自体が物理的に資源を回収するわけではありません。既存のインフラをこれまで以上に活用するための支援をしたり、新しい回収システムの構築をサポートしたりといった活動を計画しています。

世界で最も進んだシステムが構築されているコミュニティーでは、そこで発生するボトルや缶の80%以上を回収できていますが、すべてのコミュニティーにそのまま適用可能なベストな手法というものはありません。さまざまなアプローチが成功する可能性を持っていますから、各国の事情に応じて、既存のシステムを活用するか、新しいシステムを構築するかを決めていきます。

*1 コカ・コーラシステム:原液の供給と、製品の企画開発・マーケティングを担うザ コカ・コーラ カンパニーと、製品の製造、販売などを担うボトラー社や関連会社などで構成される。

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