一方で、プライベートは右肩下がり。気づけば、もう8年も彼氏がいない。そのあいだに女友達は次から次へと家庭をつくって消えていった。ぼうっとしていたら、こうなっていた。

 うん。ほんとに、そんな、実感だ。
 カスミは理想が高いんだよ、と人は言う。が、そうだろうか。別にフツウで良いと思っている。じゃあ、結婚願望がないんじゃないの、と人は聞く。フツウを望む女が結婚を拒む理由がどこにあるのだ、とカスミは思う。
 むしろ、次につき合う人とフツウに結婚がしたいと思っているために、フツウに良いヒトを探しているが、いない。
 うん。ただ、そんな、感じ。
 出会いがない、と言えばそのひと言に尽きる。が、さすがにこのままではヤバイと思い、数年前からは飲み会などにも誘われればなるべく顔を出すようにしてきた。でも、そこにイイナと思う人はいなかったし、もっと言ってしまえば、カスミのことをイイナと思う人もいなかった。
 そんなミジメな結果が招いたのが、このキラッキラに輝く悲惨な現状である。イルミネーションのメッカでもある新宿南口のサザンテラスを、カスミは現在、早足で通過中。
 終電近くまで残業すれば、恋人たちのクリスマスモードは既に街からラブホテルかなんかへと移動済みかと思っていたが、甘かった。
「すみませぇん」
 突然、巨大なツリーの前にいたカップルの女の方が、カスミの方にパタパタと小走りで近づいてきた。
「あの、写真撮ってもらえませんか?」
「すみません急いでいるので!!」
 怪しい勧誘をスルーする時とまったく同じやり方でその場をかわし、カスミは駆け足で駅へと向かう。
 このクソがつくほど寒い中、いつまでもベタなことしやがって!
 つい、つい、つい殺気立って、とっさにそう思ってしまった自分にカスミは凹む。イブごときに感情を乱されるようじゃ、その辺の若いギャルと同じではないか。まだまだ修行が足りていない己を恥じながら、点滅していた青信号をダッシュで渡る。前をちんたら歩いていたカップルの背中を何組も追い抜き、カスミは一番に駅の前に出た。
 って、あたしは、何を、目指してんだ。
 脳内でそんな自分ツッコミをしながら顔をあげた瞬間、安っぽいサンタの衣装を着た男とパッと一瞬目が合った。