震災と海外研修プログラム。2つの経験から生まれた将来の夢。

“当たり前”はない。
震災で気づいた日常の大切さ。

2011年3月11日14時46分、世界は一変した。「その日は学校が休みで、アルバイト先から帰宅するために、駅に向かって歩いていました。揺れがおさまった時には腰が抜けたような状態。建物は崩れ落ちて、砂ぼこりがすごくて。知らない世界、知らない時代にタイムスリップしたようでした」と、当日を振り返る鎌田千里さん。高校2年生への進級を目の前に控えた16歳の時だった。
その日一晩をアルバイト先で過ごした。情報は何も入って来ない。「自宅は海まで歩いて1分もかからないような場所だったので、津波が心配でした」。
ショートメールで家族の無事と、避難場所を知った時には「安心して力が抜けました」。家族と再会出来たのは翌日のこと。
「海に近い地域は、昨日までとはまったく違う風景でした。海が見えないはずの場所から海が見えていたり・・・」。生まれ育った見慣れた場所が激変してしまったことに、震えが止まらなかったという。
「家族に再会した時には安心して、父親に抱きついて号泣してしまいました」。
福島第一原発から近い場所だったため、事故の状況に応じて、避難場所を転々とする日々を過ごした後、横浜にある知人宅に移った。「避難所はプライバシーもないし、食料も十分ではありませんでしたので、横浜に移ってホッとしました」。
「震災を経験して、“当たり前”なんてないんだな、と気がつきました」。家族がいること、日常生活が送れること、食べるものに困らないこと・・・。特別意識したこともなかったことが、かけがえのないことだと気づいたのだ。

世界中が味方だと実感。
TOMODACHI サマーで視野が広がった。

「TOMODACHI サマーコカ・コーラホームステイ研修プログラム」を知ったのは、震災から半年後の2011年秋のこと。「中学生の頃から、海外に行くことが夢でした」。震災後、その夢を忘れかけていた頃に、新聞広告で募集を目にして、すぐに応募を決めたという。「震災で被災した子どもたち向け、というところにひかれました。私たちを応援してくれるのだと、嬉しく感じました」。
アメリカでは約3週間のホームステイを経験。当初は言葉の問題もあって、なかなか打ち解けられなかったホストファミリーと、心が通いあうようになるのに時間はかからなかった。
「“Easy English”と言い続けていたら、みんなが分かりやすく、ゆっくり話してくれるようになって」。ホストファミリーとは、現在もメールのやりとりをしている。
アメリカで東日本大震災について質問されることも多かった。「興味を持って、親身になって聞いてくれました。“大丈夫だったの? 辛くないの?”と聞いてくれたり、“みんな味方だから”と励ましてくれました」。一人ではない、世界中の人が心配して、応援してくれているのだと実感出来たことが何よりも嬉しかったという。
「研修プログラムに参加して、視野が広がりました。いっしょに行った仲間たちもそう言う人が多くて、また行きたいね、と話しあっています」。

災害時にもパワーを蓄えられるよう栄養士に
なって災害時の食事を改善したい。

2013年4月、管理栄養士を目指して大学で勉強を始めた。そのきっかけとなったのは震災だった。「福島は原発事故の影響で、救援物資が届きにくく、食べ物も不足しがちでした」。食事はピンポン玉大の冷めたおにぎりが1個だけ。栄養が偏るのはもちろん、「食べないと、考えることもできないし、次の行動を起こすエネルギーも湧いてきません」。食べることの大切さを痛感する体験だった。
アメリカ滞在中にも、栄養について考える機会があった。「アメリカ人は糖尿病の人が多いと、ホストファミリーから聞きました」。生活習慣病は食べ物も大きな原因。栄養の知識があれば、大好きな人たちの役に立つことができるに違いない。栄養士になろう、と決意した大きなきっかけの一つだった。
「特に、災害時の食事の献立について勉強したいと思っています。野菜の切り方や、調理方法を工夫することで、みんなに平等に、栄養のあるものを食べてもらうことができます」。避難所では食事が原因で争いが起こることもあった。
何よりも、極限の生活の中で、食事がパワーの源であることを知っているからこそ、ぜひとも実現したい夢なのだ。
災害は世界中どこでも起こりうること。「そういう献立を考えて、世界中に情報を発信していきたい」と、夢は大きく広がっていく。

「被災地はまだまだ復興していません。
継続的なご支援を、これからもお願いします。」

最後に、被災者として、いちばん訴えたいことについて聞いた。「今までたくさんの方々から、さまざまなご支援を頂きました。本当に感謝しています。しかし、被災地はまだまだ復興していません。これからも継続的なご支援を、お願いします」。

「コカ・コーラ サスティナビリティーレポート2013」より


TOMODACHIサマーコカ・コーラホームステイ研修プログラム