コーポレートガバナンスや製品の品質管理を徹底する「良い企業」としてだけでなく、地域社会の良き職人として社会責任を果たす「善い企業」を目指す企業が増えている。コカ・コーラシステムのサスティナビリティーアンバサダー、岡田武史さんとティム・ブレットがその定義を探った。

岡田:今、世の中が大きく変わってきていますよね。環境破壊や経済格差が深刻化する中で、企業に対する社会の目も厳しくなり、「自分たちだけが儲かれば良い」というスタンスが認められない時代になっている。企業として利益を出さなければならない、でも社会貢献もしないといけない。御社はこのジレンマをどのように解消しているのですか?
ブレット:重要なのは、その利益を上げる方法に重点を置くことです。地域の自然環境やコミュニティーに配慮しなくてはなりません。企業は持続可能な方法で利益を出すことが求められます。
岡田:「持続可能な方法」というのは、具体的には?
ブレット:たとえば、私たちは清涼飲料をつくるために地球上の水を使用しています。ですから、水を大切な資源として扱わなければなりません。持続可能なビジネスの取り組みの一例が、使った水を自然に「還す」ことです。私たちは実際に、これまでに使った水を2020年までに地球に還すというプロジェクトを世界で進めています。日本のコカ・コーラシステムはそれを順調に進めていて、すでに80%の還元を達成しています。このまま100%を目指していきます。
ティム・ブレット社長
ティム・ブレット社長

岡田:素晴らしいことです。でも、ですよ。そのような活動をしなければ、もっと利益を出せますよね。僕は今、愛媛県今治市にあるFC今治のオーナー兼社長をやっていますが、小さな会社なのでとにかく利益を上げないと潰れてしまうという危機感があります。目の前の利益を取らずに「善いこと」をすることについて、ステークホルダー(利害関係者)にはどう説明を?
ブレット:大事なのは順番です。まず健全なことをキチンと実行して、それから話をするようにしています。我々は何十年にもわたって日本でサスティナビリティー(持続可能性)の基盤をつくりあげてきたので、ステークホルダーの関心も高い。コカ・コーラシステムの自動販売機としては最も省エネの進んでいる「ピークシフト自販機」の開発、東日本大震災の被災地への復興基金の創設、活動的で健康的な生活習慣の普及・啓発なども、持続可能なビジネスの一環として取り組んでいるところです。
岡田:ビッグカンパニーがそういう取り組みをしながら利益を出して生き残ることはとても意味のあることだと思います。でもそれは経営者だけがそう思っていても実現できない。社員一丸でなければいけませんね。
岡田武史さん
岡田武史さん

ブレット:おっしゃる通りです。私たちも社員一人ひとりが地域社会の一員としての自覚を持つ必要があります。工場も、社員も、お客様も、ステークホルダーも、同じ地域社会の中で共存している。そこで認められることから私たちの事業のすべてが始まるのだと思います。

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 関連リンク
 コカ・コーラシステムのサスティナビリティーフレームワーク
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