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蟹江憲史氏(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)

パートナーシップの深化・拡大による新たなフレームワーク構築を期待

2019年1月、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラムにおいて、ザ コカ·コーラ カンパニーのジェームズ・クインシー会長兼最高経営責任者(CEO)は、「World Without Waste(廃棄物ゼロ社会)」の実現を目指すという宣言を行いました。これは、昨今深刻化するプラスチック汚染に対する先進的かつ意欲的な取り組みとして、世界に対して非常に大きなインパクトを与えました。特に評価できるのは、目標が明確な点です。2030年までに平均50%のリサイクル素材を自社製品の容器に含有する、全世界で販売する自社製品の容器と同等量を回収・リサイクルするという具体的な目標値を定めることで、取り組みの効果測定や結果の検証ができ、着実な活動促進が可能になります。

日本のコカ·コーラシステムが「World Without Waste」を加速するために掲げた「容器の2030年ビジョン」でも、同様に具体的な目標が設定されています。中でも重視されているのは「ボトルtoボトル」リサイクルの推進ですが、しかし、多くの消費者を巻き込むリサイクルは一企業だけで行えるものではありません。行政、他企業、NGOなど多方面でのパートナーシップが必要となります。「World Without Waste」でも「容器の2030年ビジョン」でも、3つめの項目として「パートナー」が掲げられていることから、その重要性は十分に認識されていると推察できますが、2030年の目標実現に向けては今以上のさらなるパートナーシップの深化・拡大が望まれます。これまでに行われた日本コカ·コーラとセブン&アイ・ホールディングスや日本財団などとのリサイクルや廃棄物に関する取り組みも、非常に有効な一手です。この流れを止めずに、今後さらに進めていただきたいのが各自治体との協働です。廃棄物回収・処理を担う自治体でも、近年、SDGsへの理解・取り組みが進んでおり、SDGsの観点からもパートナーシップの強化が求められていることから、企業との連携に積極的な姿勢が見られます。自治体との協働により、より効率的・効果的な回収・リサイクルのスキームを構築できるでしょう。

日本コカ·コーラでは、サスティナビリティーの取り組みがどのようにSDGsの17のゴール達成に貢献できるかを検討・提示していますが、まだまだ貢献できる余地はあると考えられます。例えば、SDGsの「11 住み続けられるまちづくりを」を2019年度から「地域社会」を通じて達成できるものに追加されていますが、容器のリサイクルで都市の環境影響を軽減できれば、「資源」の面からも「11 住み続けられるまちづくりを」へ貢献することができます。17のゴールだけでなく169のターゲットにまで踏み込んでサスティナビリティーの活動を見直し、実効性の高いアクションプランを策定されることを期待します。

ザ コカ·コーラ カンパニーは世界各国で事業を展開する飲料業界のリーディングカンパニーであり、日本コカ·コーラは日本の飲料業界を牽引するリーディングカンパニーです。廃棄物をゼロにする、ごみのない社会を実現するという大きな社会変化を実現するためには、そのような大きな影響力を持つリーディングカンパニーが先頭に立ち、新たなフレームワークや仕組みを創造・実行する役割を担うことが重要です。ぜひ、ボトラー各社をはじめ、業界を横断したり、業界を超えて、さまざまなステークホルダーとともに、これからも先進的かつ実効性の高い取り組みを推進していってください。

蟹江憲史(かにえ・のりちか)氏
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授。政策・メディア博士。慶應義塾大学SFC研究所xSDGs・ラボ代 表。日本政府SDGs推進円卓会議構成員など多くの政府委員を務める。専門は国際関係論、地球システム・ガバナンス。SDGs策定過程から国連におけるSDGs設定に参画。SDGs研究の第一人者であり、研究と実践の両立を図っている。編著書に「未来を変える目標 SDGsアイデアブック」(紀伊國屋書店出版)、「SDGs(仮題)」(中公新書近刊)ほか多数