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高岡美佳(立教大学経営学部教授)

<評価できること>
米国ジョージア州アトランタに本社を置くザ コカ・コーラ カンパニーの日本法人として1957年に設立された日本コカ・コーラは、今年で創立62周年を迎えました。「世界中にさわやかさをお届けすること」「前向きでハッピーな気持ちを味わえるひとときをもたらすこと」「価値を生み出し前向きな変化をもたらすこと」というミッションに基づきビジネスを展開しており、国内では、炭酸飲料からコーヒー、お茶、水、ジュース、エナジー飲料に至るまで50以上のブランドと800以上の製品を提供しています。本レポートは、日本コカ・コーラと5つのボトラー社・関連会社(以下、コカ・コーラシステム)が取り組むサスティナビリティー活動をわかりやすくまとめており、レポートを読むことで、同社が清涼飲料ビジネスを通じて地域に貢献し、持続可能な社会の形成を目指していることが理解できます。安全で美味しい清涼飲料を提供することにとどまらず、地域貢献型自動販売機の設置を通じた災害時支援、環境活動、障がい者への支援、女性の活躍推進など、コカ・コーラシステムは多岐にわたる社会貢献活動を続けており、日本の各地域のサスティナビリティー支える活動を推進しています。まずは、本業をベースとした上記の活動を高く評価したいと思います。

今回のレポートで最も評価したいのは、日本のコカ・コーラシステムが2019年7月に、「容器の2030年ビジョン」を更新して新たな環境目標を設定したことです。トップメッセージにあるように、コカ・コーラ社は、2018年1月に清涼飲料業界で初となるグローバル目標「World Without Waste(廃棄物ゼロ社会)」を発表しました。その内容は、「2030年までに、世界で販売する自社製品に使用されている容器を100%回収し、すべてリサイクルする」というものでした。日本はリサイクルに対する意識が高く、2017年時点でPETボトルのリサイクル率は84.8%に達しています。この現状をふまえて、今回の更新では、「設計」「回収」「パートナー」の3つの柱に沿って、「2022年までにリサイクルPET樹脂の使用率50%以上達成、2030年には『ボトルtoボトル』の割合90%を目標」「2025年までに国内で販売するすべての製品にリサイクル可能な容器を採用」「2030年までにすべてのPETボトルを100%サスティナブル素材に切り替え、新たな化石燃料使用ゼロの実現を目指す」「2030年までに国内で販売した自社製品と同等量のPETボトルを回収」「政府や自治体、飲料業界、地域社会と協働し、より着実な容器回収・リサイクルスキームの構築とその維持に取り組む」という意欲的な目標を設定しました。現状に安住せず、チャレンジャーとして課題に向き合い強みを発揮することによってのみ事業と環境の持続的成長がもたらされると考える姿勢は、清涼飲料業界のトップカンパニーとしてふさわしいインテグリティ(誠実さ、高潔さ)を示していると言えるでしょう。今後も業界を牽引していただくことを期待します。

製品のカーボンフットプリントにも注目しています。2018年のCO2原単位排出量(kg−CO2/L)は大幅に低下したことが環境データとして示されていますが、容器包装だけでなく、販売領域における削減率も高く、「エネルギー削減・温暖化防止」に本気で取り組んでいることが見て取れます。今後も地球環境の保全に力を注いでいただきたいと考えます。

 

<要望したいこと>
本レポートでは、日本のコカ・コーラシステムがサスティナビリティー活動として取り組んでいる3つの重点領域・9つの重点分野と、「持続可能な開発目標」(SDGs)との関連性が検証されています。次回のレポートでは、重点的に取り組むべきマテリアリティ(重要性)の特定を進めるとともに、アクションプランを数値化していただくことを検討してはいかがでしょうか。すでに高い水準に達しているサスティナビリティー活動を「見える化」し、PDCAを回すことでより効果的に活動を推進できると思います。